2009
![]() | ねずみ石 (2009/09/18) 大崎 梢 商品詳細を見る |
サトとセイは、中学に入学して間もなく親しくなったクラスメイトだ。セイは話題が豊富で、ボケと突っ込みの合間が抜群。勉強はけっこうできるのに優等生らしさがまったくなく、つきあいがめっぽういい。ただ、好奇心旺盛で、無頼の知りたがり屋だった。セイにはサトの住んでいる神支村の祭りについて教えることを約束した。山間の小さな集落にある神支神社の祭りには、恒例の子供向けイベント「ねずみ石さがし」がある。
祭りの夜には、ねずみ石と呼ばれる「子」という漢字が入った七つの石が、お祓いをうけた後にありがたいご利益を授かり、村のあちこちにこっそり隠される。それを子供たちが探す。石を見つけたら願い託す特別な石だ。一生に一度とも言われている。サトには、四年前のお祭りの記憶がない。ねずみ石を探して迷子になり、翌朝山の中で見つけられた。熱を出して寝込み、元気になったら、夜の記憶がごっそり抜けていた。
同じ夜、村では尾ヶ滝という小さな滝のそばに住んでいた女子高校生とお母さんが惨殺されていた。事件は未解決で、犯人はまだ捕まっていない。事件を担当する刑事は、犯人を見てるんじゃないかと、サトにしつこく会いにくる。サトにとっては胸のざわつく相手で気に食わない。セイはその殺人事件に興味を持ったらしい。そして四年前に殺された三島理恵と同級生で、事件にこだわっていた顔なじみのタマさんが殺された。
なんか微妙に引っかかる部分があって、うまく乗り切れなかった。まずサトが一番大好きな近所のおにいちゃんの修ちゃんに嫉妬をしたりと、サトに対するセイの執着が理解できなかった。そのセイや修ちゃんも、サトに何やら隠したまま、自分本位に行動を命じてきたりと、イライラを感じさせるところが多々ある。それには後に明らかにされる理由があるのだが、サトにとっては知ったことではない。そういう自分勝手が鼻についた。
中盤になってからは幾分読みやすくなるのだが、「ねずみ石」などの土俗的な魅力が生かされていたとは思えず、セイや修ちゃんのことはサト目線で語られているけれど、サト自身は、四年前の一夜の記憶がないとだけしか提示されておらず、どういう性格の少年なのかわからないままでは感情移入がしづらい。そうして途中から一人で行動することになる主人公サトの人物像が見えてこないまま、気がつけば犯人と向き合っている。
そういうわけで、美点を見つけられないまま、読み終えてしまった。書店ものは新シリーズがスタートして、まんねり気味をひょいと避けた。ミステリ色が薄い「夏のくじら」では、よさこい祭りの熱気にわくわくした。ただ、「片耳うさぎ」に系譜する作風はまだまだ。これからもっと頑張れという感じでしょうか。というか、光文社の編集者よ、しっかりせい。他社は、この作家を育てているぞ。なんてね。
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