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    2007

07.07

「浅草色つき不良少年団」祐光正

浅草色つき不良少年団浅草色つき不良少年団
(2007/05)
祐光 正

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戦前の浅草には、親を亡くした子供たちが集まった3つの不良少年団がありました。
冬瓜の百合子を頭目に置いた浅草紅色団。やくざまがいの集団である浅草黒色団。規模は小さいが結束力があった浅草黄色団。

漫画家の私が、戦前の浅草の事を調べるために、当時を詳しく知る神名火譲二老人を訪ねる。その老人は、かつての黄色団を率いていた似顔絵ジョージ本人だった。そんな彼から聞いた、戦前の浅草で起こった様々な出来事を描いた連作短編集です。

「幻景淺草色付不良少年團」追っ手から隠れた家で、目覚めたジョージが死体を見つける。
「墨東鬼啖事件」双子の姉妹と、過去の事件が絡んだ、顔がない幽霊騒動。
「瓶詰少女」瓶に詰められた少女と男が、建物ごと消失してしまった事件。
「イーストサイド物語」決闘する二人と立会人の3人が消えてしまった神隠し。
「二つの墓」関東大震災で水槽に閉じ込められたジョージ。黄色団発足のきっかけ。

軽快な江戸弁を話すジョージの号令で、少年達が事件の謎を追うため浅草を走りぬける。順調に調査は進むが、最後の一歩を何故か、紅色団の冬瓜の百合子に持っていかれる。躍動感があって、少年たちがイキイキしていて、モンクなしと言いたいところ。

しかし、審査員の高橋さんが時代考証の精密さがうるさいとのお言葉。まさにうざい。ストーリーと関係ないところを、いちいち掘り下げて描写する必要があったのだろうか。これが読みやすいリズムを何度も邪魔をして、文章の流れを崩す要因になっている。本の後ろにある参考文献の多さを反映させすぎで、作品の質を落としてしまっている。

似顔絵ジョージに冬瓜の百合子。煙草売りの六、天狗小僧の長吉、さくらの慶治。ジャンケン雅、辰吉。彼らが、個性的で、すごく可愛くて、面白く、元気なのだ。それに、平井太郎なんて実在の大物まで登場する。誰かって?明智小五郎の産みの親よ。

これはたぶん続編が出るだろう。その時にはマイナスだった部分は解消されていて欲しい。そうすれば人気シリーズになる可能性はさらにアップするだろう。今後が期待される。

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comments

私も読みました。
けっこう面白かったです。
確かに参考文献の多かったですね。
続編読んでみたいです♪

naru:2007/07/07(土) 20:41 | URL | [編集]

nanuさん、こんにちは。
そんなに期待をしてませんでしたが、意外と面白かったよね。
今後も面白そうな作家さんが出てきたのは嬉しいっす。

しんちゃん:2007/07/08(日) 16:04 | URL | [編集]

なかなか面白かったです~。
冬瓜の百合子など、個性的な登場人物にまた会いたいですね。
続編に期待したいです♪

エビノート:2007/09/01(土) 22:35 | URL | [編集]

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祐光正『浅草色つき不良少年団』


オール讀物推理小説新人賞受賞。これぞ浅草ワールド!!

2007/07/07(土) 20:35 | 待ち合わせは本屋さんで

浅草色つき不良少年団


これ、シリーズ化されるんでしょうか。続きが出たら、間違いなく買ってしまいますね。本作がデビューとなります、オール読物推理小説新人賞受賞祐光正「浅草色つき不良少年団」は、独特の香りを持った小説でした。舞台は、関東大震災、東京大空襲という二つの災難

2007/08/05(日) 13:41 | 雑読日記

浅草色つき不良少年団 〔祐光 正〕


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