「主題歌」柴崎友香
2008年04月06日 (日) | 編集 |
主題歌主題歌
(2008/03/04)
柴崎 友香

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デザイン関連の会社でOLをしている実加の楽しみは、三つ上の三十一歳の小田ちゃんと、テレビの中でも身の回りでもかわいい女の子を見つけて報告し合うこと。同期のいつ子を加えた三人組でランチに行っても、かわいいアルバイトの女の子を見つけて盛り上がり、仕事場に一カ月ほど前からアルバイトに来た、背が高いというよりでかいという印象の愛ちゃんも、かわいいな、ええ子やよ、と言い合い、雑誌「PLAYBOY」の綴じ込み『永遠のセクシー女優名鑑』を歩きながら見入ってしまい、路上駐車の車にぶつかりそうになったり、同棲中のもうすぐ三十四歳になる洋治よりも、プレイボーイを必死に見てしまうほど、とにかくかわいい女の子が大好き。

女子好きな女性って、おいらは男だからこういう感性というか何というかはよく分からない。同性愛というわけでなく、ただかわいい女の子を見て楽しんで、きゃっきゃと騒ぐだけ。これとは少し違うが、女同士で手をつないだり、人前で笑いながら女同士でキスをしたりする女の子たちがいる。これはおいらのまわりにいる人たち限定なのかもしれないが。だけど男同士ではとても考えられない。……。うげーーっ、想像したら気持ちが悪くなってきた。これだけは乙女たちの空想上の楽しみだけに留めておきたい。というか、BL(男と男のラブ)をすんなりと受け入れてしまう女の子がいること自体を不思議に思う。どこかで聞いた記憶があるのだが、男は想像する人種で、女は現実がすべての人種。これで言うならば、男性は想像力が強すぎて、ある一定を超えると楽しめないが、女性にとっては、想像はあくまで想像でしか過ぎず、だからあんなにドギツイものでも平気で読めるのかもしれない。あら……、話が脱線しすぎたかしら。えーっと、汗、汗、女子好きのお話だっけ。

主人公の実加は友達の花絵の個展を訪問したり、音楽の趣味が合う森本やりえといっしょにライブに行き、食事をする。それら人とのやり取りを描きながら、周りの風景や人たちも描写し、さらにふっと実加以外の目線で物事を見ることで、全体像が明確に膨らんで、情景が目に浮かぶ柴崎ワールドを構築している。さらりと描いているようでいて、ここに柴崎友香の上手さがあると思う。

女の子の友だちをみんなうちに呼んで開催した女の子カフェも、とても楽しそうで、すごくいい雰囲気だった。柴崎友香が描く女の子って、みんな普通なのだが、それぞれに魅力がある。ある一部分を強調するわけでもないのに、みんなが生き生きしているように感じられるのだ。三十歳になった敬一と、どこかで繋がっている人物たちがリレーする「六十の半分」、恋する女性のなに気ない日常を切り取った「ブルー、イエロー、オレンジ、オレンジ、レッド」が同時収録されている。これら30ページほどの短編二作も、また違った味わいがあって、短いながらも情景が目に浮かぶ。ふつうの日常を面白く読ませてしまう柴崎友香は、やはりすごいと思った。