2008年04月29日 (火) | 編集 |
![]() | ビールボーイズ (2008/02) 竹内 真 商品詳細を見る |
一九八三年、十二歳の少年たちが秘密基地に集まった。正義感の強いリーダー的存在の正吉、頭脳明晰で参謀役の広治郎、ドジで泣き虫だが優しさを持つ勇、そして、男勝りで喧嘩っぱやいが孤独を内に秘める紅一点の薫。北海道の新山市にあったビール工場の閉鎖で、家族と町を離れることになった茜をしのんで、憎いビールを飲み干すことにしたのだ。これが記念すべきビール祭の第一回目だった。
中学の修学旅行では、旅館の蒲団部屋に忍んで酒盛りし、離れ離れになった高校生時代、将来の道への分岐点、あるいは自分というものを見つめたり、かつての恩人を助けたり、その時々の彼らの転換期には、仲間と共に、傍らにはいつも、ビールがあった。12歳から30歳までの年月を共に過ごし、あるいは地元を離れても、お互いの繋がりは薄らぐことなく、いつもビールを通じて、友情に、お互いに頑張る姿を励みに成長していく。
やがて正吉はある目標を持つようになる。それは、自分自身で会社を興して新山の町にビールを生み出すこと。それがやがて、大きなうねりとなって、仲間を招集することになり、大きなビール祭へと繋がっていく。「カレーライフ」の系統を継ぐビール小説。ビールの歴史が詰まったコラム付き。
ビール・デビューというか、お酒との付き合いはわりと早かった。酒飲みの親父がいたし、子供がお酒を飲むことに寛容な親だったので、高校時代にはすで家で飲んでいた。親公認なので、友達が遊びにくれば、ジュース代わりにビールやチューハイを飲んでいたし、勢いがつけばマイ・ブランデーを飲んでいた。いま考えると変な家庭に育ったものだ。もちろん居酒屋でも…、おっとっと。
そんな環境で育ったせいか、正吉や勇たちが、酒盛りして騒ぐ気持ちがすごくよくわかる。ビール・ダーッシュ!なんてはしゃぎぶりも可愛らしかった。それに修学旅行での夜のお楽しみも、同じようなことをかつて経験したことがある。女子の部屋で遊んでいるところを見つかり、こっぴどく説教された。それも酒くさい先生に。ただ本書と違うのは、仲間と一緒に捕まったのではなく、捕まったのが自分ひとりだけだったということ。仲間に裏切られたのではなく、単独行動をしていたからだ。いやー、若かった。そして、青かった。
本書の話に戻るが、この作品で上手いのは、夢が先にありき、ではなく、彼らが成長する過程でそれが人生の大きな目的になっていく点だ。それに正吉以外の勇、薫、広治郎のエピソードもしっかりと書かれている。各々の進路や仕事によって、ばらばらに暮らすことになるが、三人になったり二人になったり、あるいはその時々で参加する人物が入れ違ったりしながらも、ビール祭が続いていくことで繋がっている絆。彼らの友情の絆と成長する姿が微笑ましくて、すごく羨ましく思った。
| ホーム |



