2008年05月08日 (木) | 編集 |
![]() | SP (2008/03/04) 金城 一紀 商品詳細を見る |
テレビドラマ「SP」の原案・脚本を担当した金城一紀。そのシナリオが一冊の本になって帰ってきた。小説ではなくシナリオという部分が購買欲をそそらなかったので、図書館予約をしていたのだが、結局は、ある理由があって買ってしまった。
警護課第四係に所属する井上は、幼い頃に両親がテロの巻き添えで亡くなったことから、ある特殊な能力を身に付けた。五感から相手の様々な情報が目や耳に流れ込んでくる能力、シンクロ。合コンの場でも、シンクロして相手の女性の嘘を見破って、場を白けさせていたところに、係長の尾形から緊急の呼び出しを受けた。都知事が行動予定にない突然のお出掛けをすることになったからだ。都知事警護に急行したシネコン内で、片足を引きずりながら歩く不審な大男に気づいた井上は、その大男に職質を掛けてみた。すると突然、大男はナイフを抜き、井上に襲い掛かってきた。その男を逮捕するものの、SPがテロリストを逮捕するのは前代未聞のことだった。
尾形率いる尾形班、井上、笹本、山本、石田。彼ら五人のチームが、「東京都知事暗殺を阻止せよ」「元内閣総理大臣を警護せよ」「重要参考人を警護せよ」「警備四係に合流せよ」「巨大アトリウムを警護せよ」で、テロリストからの要人警護のはずが、何故か犯人逮捕の大活躍。そこには、くすっと笑えるユーモアがあり、マニアックな映画へのオマージュがあり、派手なアクションによるわくわくあり。そして影で動く人物の怪しさもある。
本書では、ドラマの裏側をネタバレした、金城一紀による注釈が本文の下段に書かれている。個人的なことになるが、初回の放送を観て、再放送を観て、さらにスペシャル番組を観ても不明だった部分が、この本を読んでやっと理解できた箇所があった。一番の重要ポイントである、何度もフラッシュバックしていた井上の両親が刺殺されたシーンでの、現首相である麻田、秘書の高島、殺人犯になった山西の目線のやり取りは、本書に読んだことによって理解できた。これって鈍いのかな。
それに、ビートルズの名を語った二人が、あやふやなまま埋没したことや、いきなり自殺?した西嶋管理官や、ペイント弾を撃ったスナイパーに、なによりラストでの尾形の怪しい目線。これらは映画へと継続されていくのだろう。それらを再確認できたことで、本書を読んだ意味があったと思う。
これは小説ではなくシナリオなので、会話文がセリフであったり、そのときの心理描写が説明調であったり、背景が抜けていたりと、渇いた感じになっていたが、ドラマを観ていた方なら十分に楽しめる本になっていた。それに、金城一紀の映画への愛も伝わってくる。岡田くんや真木さんを想像して読めば、より面白く読めることだろう。
これを買ったわかりやすい動機はこれ。

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