2008年05月19日 (月) | 編集 |
![]() | QED 竹取伝説 (講談社文庫) (2006/03/15) 高田 崇史 商品詳細を見る |
元オカルト研究会会長で、漢方薬局に勤めるタタルこと桑原祟。1つ後輩で薬剤師の棚旗奈々。タタルと対照的な体育会系新聞記者の熊つ崎こと小松崎良平。いつもの店「カル・デ・サック」に集まるいつもの3人。そこで熊つ崎が持ち出した話題が、奥多摩にある魔のカーブであった。何の変哲もないただのカーブなのに、不思議な交通事故がよく起こる。しかも事故を起こした人物は、その事故直前に、竹藪の竹が物凄い光を発したと証言しているという。地元には笹姫様の伝説があり、その祟りだともいわれていた。タタルはこの話題をきっかけに、竹取物語に隠された真実を語り出す。
一方、奈々の働くホワイト薬局の上司である外嶋一郎は、奥多摩へ散策に来ていた。清冽な空気を楽しんでいた外嶋だが、竹槍で体を貫かれた若い男の死体を発見してしまう。警視庁捜査一課警部の岩築竹松が捜査に当たるが、事件は進展をみせないまま、さらなる事件が起こる。織部村に伝わる笹姫手毬唄をなぞったような、首吊り死体が発見されたのだ。竹取物語の真相に迫ったとき、タタルたち一行は、奥多摩の織部村へ向かう。こうして過去と現実が繋がり、事件の真相が明らかになる。QEDシリーズ第6弾。
今回の歴史ミステリは竹取物語。かぐや姫から、小野小町、鬼、七夕、タタラ、出雲と、タタルの飛躍が展開していく。まあ、いつもの如く、文献資料による考証、薀蓄、言葉の語源など、博学ぶりは本当にすごい。これはすごいとしか言いようがないから困る。興味のない方にはちんぷんかんぷんだろうけど。ただ、どこまでが検証されたもので、どこからが著者の創作なのかが、もっとはっきりわかればいいのだが。それに、言霊信仰や呪といった縛りや、小野小町などの掘り下げ部分は、過去の作品と重複していたので、目新しさはなかった。
それに、現代に起こった事件パートの動機や謎の解明、あるいは関係者の描写が、かなり薄弱になっているのが気になった。歴史の謎に重点を置くのはわかるが、殺人事件を絡ませるのであれば、もっとそこにしっかりとした理由が欲しかった。魔のカーブの正体があれでは、肩透かしとしか言えない。それに犯人への追求場面も、緊張感が欠如していたように思う。せめて出入り口ぐらいは塞いでもらわないと。
今回は、事件と歴史の謎部分のバランスが悪かった。ちょっと荒さが目だってしまった内容だが、次のシリーズ作も読むつもり。だって走り出したら止まれないのだから。しかも、すでに続編を買ってあるし。というわけで、シリーズ6冊目は厳しい評価になってしまった。
| ホーム |



