2008年05月26日 (月) | 編集 |
![]() | 百万の手 (創元推理文庫) (2006/06/10) 畠中 恵 商品詳細を見る |
主人公の音村夏貴は十四歳の中学生。父親を三年前に交通事故で亡くし、現在は母一人子一人の母子家庭に暮らしている。しかし父を失った悲しみのあまりか、母は次第に息子に執着するようになった。その母の異常な独占欲に身震いが走り、夏貴の持病である過呼吸の発作もひどくなってゆく。そんな中、兄弟同然に育った親友の日野正哉だけがいつも頼りになっていた。
その正哉が両親を助けるために、目の前で燃えさかる自宅の中へ飛び込んでいった。夏貴の手に残ったのは漫画雑誌の読者プレゼントで貰ったストラップの付いた彼の携帯電話だけ。嘆き哀しむ夏貴だが、死んだはずの正哉がその携帯電話から語りかけてきた。「どう考えてもおかしいんだよ」彼が巻き込まれたのは不審火だったという。その真相を探ってほしいと。家の中に火の気がなかったうえに、消化活動が終盤に入ってもなお激しく燃え上がる不可解な火事だった。何故正哉と彼の両親は死ななければならなかったのか。真相を探るために夏貴は正哉と動き出す。
読み出してすぐに突然母が再婚すると言い出して、未来の養父が夏貴の前に現れる。それが水商売のオーナーをしている東省吾という男で、夏貴曰くところのこのおっさんが、アウトローの匂いがしてやたらとカッコいい。このおっさんはやがて、正哉とパートナーの役割を交代するのだが(ここはちょっと引っかかった)、それ以降はこのおっさんの魅力で読ませていくように思った。
事件は、日野家の家事、突然現れた正哉の妹、DNA鑑定、受精卵流用、夏貴の家の家事…、と流れて行き、やがて夏貴の命も何度と狙われるようになる。犯人を追っているのか、それとも追われているのか、という展開になり、到達点にどんな結末が待っているのだろうと興味を持って読み進めたが…。
残念だった点をはっきり言うと、夏貴と正哉が携帯電話で話すという設定は肩透かしだった。それにファンタジックな世界だと思わせておいて、途中から科学的なものにすり替わっていたのはいただけない。なんか以前に読んだことがある作品を、無理やり繋ぎ合わせたような感じを受けてしまった。作品としてのまとまりがないように感じた。
だけど、少年の苦悩や心情もすごくわかりやすいし、彼を助けることになるおっさんは素敵だった。その新しい家族を築くきっかけとしては面白く読めた。でも人物の立ち位置や役割などが「しゃばけ」と被っていたようにも思えた。発作をおこす夏貴が若旦那で、心配する武等派のおっさんが手代の妖で、最後にボスと対決みたいな。こんなことを思ったのは自分だけだろうか。養父と未来の息子という関係はマル。それ以外はバツ。こういった評価になったけれど、みなさんはどう思われましたか??
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