2008年07月22日 (火) | 編集 |
![]() | 密室に向かって撃て! (光文社文庫 ひ 12-2) (2007/06) 東川 篤哉 商品詳細を見る |
デビュー作「密室の鍵貨します」に続く、烏賊川市を舞台にしたシリーズ第二弾。
烏賊川市警の砂川警部と志木刑事のコンビは、傷害事件の容疑者を逮捕しようと向かったところ、相手の男は拳銃密造のことがバレたものと勘違いした結果、拳銃を取り出して抵抗を始めた。まさか拳銃を持っているなんて知らなかったへっぽこ刑事たちはあっさり逃亡を許してしまうが、男は四階の窓から転落してあっけなく死んでしまった。しかし、砂川たちが転落死体に駆けつけるまでのわずかの間に、男が所持していたはずの拳銃が偶然通りかかった何者かに持ち逃げされてしまった。
その拳銃が、次々と事件を引き起こす。事件から二週間後、馬ノ背海岸にて、男性が頭を銃で撃たれて死亡しているのが発見された。被害者は、前作にも登場したホームレスの金蔵で、鵜飼杜夫と戸村流平に関係する人物であった。金蔵を供養しようと現場を訪れた流平は、美少女という言葉が似合うお嬢様の十乗寺さくらと、愛犬のスルメオーと、その祖父で有名食品会社を経営する十乗寺十三翁と知り合う。
流平から鵜飼の名探偵ぶりを聞いた十三翁は、さくらの花婿候補という三人の男の女性関係を調査するよう、鵜飼に依頼してきた。かくして、名探偵の鵜飼と弟子の流平は、その報告書を抱えて十乗寺邸を訪れたその夜、白覆面を被った怪人物が出現し、花婿候補の一人が銃弾に倒れた。しかも、衆人環境の密室で起こった射殺事件だった。
砂川警部と志木刑事のコンビと、名探偵の鵜飼と弟子の流平のコンビが、くだらないやり取りをするドタバタコメディだ。そこに新レギュラーとして、オーナー兼二番弟子の二宮朱美が常識人で加わり、ゲストの十乗寺さくらが天然ぶりを発揮して、読者の笑いであったり、あるいは失笑を誘う作品だ。とにかく軽い。だけど、リズム感がよくて、難しいことを何も考えずにスラスラ読むことができる。
その一方で、あいかわらずミステリとしては物足りない。読者への挑戦状っぽいことは茶目っ気があったが、今回は犯人がわかったし、最後のトリックも見破ってしまった。だけど、この人にはミステリをハナから求めちゃいない。お目当ては笑いだけにある。
でも、この笑いのセンスが非常に優れていると、個人的に評価している。会話のやり取りなどの文章だけで、そう簡単に読者を笑わせることはできない。その高い壁を、この著者はあっさりとクリアしてくる。このユーモアや笑いのセンスは稀有なものだと、毎回読むたびに感心してしまうのである。
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