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    2008

12.31

2008年度の書籍代

個人メモです。


年間合計137.167円

ありゃりゃ。昨年とほぼ同じ金額に、反省。
来年こそ、もっと減らすぞ…。 


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自分への戒め
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    2008

12.31

12月に買った書籍代

個人メモです。


合計9.130円


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自分への戒め
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    2008

12.31

12月に買った書籍

個人メモです。

四とそれ以上の国四とそれ以上の国
(2008/11)
いしい しんじ

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オリンピックの身代金オリンピックの身代金
(2008/11/28)
奥田 英朗

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エリアの魔剣〈1〉 (YA!フロンティア)エリアの魔剣〈1〉 (YA!フロンティア)
(2008/12)
風野 潮そらめ

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太陽の坐る場所太陽の坐る場所
(2008/12)
辻村 深月

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蛇衆蛇衆
(2009/01/05)
矢野 隆

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人類は衰退しました 4 (ガガガ文庫)人類は衰退しました 4 (ガガガ文庫)
(2008/12/19)
田中 ロミオ

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月への梯子 (文春文庫)月への梯子 (文春文庫)
(2008/12/04)
樋口 有介

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訪問者ぶたぶた (光文社文庫)訪問者ぶたぶた (光文社文庫)
(2008/12/09)
矢崎 存美

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お買い物
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    2008

12.30

「流星の絆」東野圭吾

流星の絆流星の絆
(2008/03/05)
東野 圭吾

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ハヤシライスが看板メニューの洋食店『アリアケ』の経営者夫妻が殺された。功一、泰輔、静奈の三兄妹は、両親に内緒で二階の窓からこっそり抜け出して、ペルセウス座流星群を見に出ていた間の惨劇だった。泰輔は店の裏口から出ていく男を目撃していた。だが、柏原たち警察の捜査は難航し、時だけが過ぎ去った。

14年後。大人になった三兄妹は詐欺行為を始めていた。施設を出た静奈が、資格商法に引っかかったことがきっかけだった。功一が提案したアイデアは、全く同じ手を使い、別の誰かに資格商法を仕掛けようというのだ。回収は容易に成功したが、これを本業にしようとは三人のうち誰もいわなかった。だが、あろうことか、功一が被害にあったのだ。この世は騙すか騙されるかだ。俺たちは騙すほうに回る。

作戦の立案と調査は功一の仕事。泰輔と静奈は実行役となる。まず静奈が男を騙し、金を騙し取る段階になって泰輔が登場する。三兄妹の新事業は、じつにうまくいた。静奈は美しい容姿を持っているだけでなく、うぶな男の心を摑む天分に恵まれていた。一方の泰輔は、功一や静奈にいわせれば、擬態の天才だった。保険の外交員、銀行マン、どんなものにでも変身できた。

次のターゲットが決まった。名前は戸神行成。レストランチェーン『とがみ亭』の御曹司だ。彼は近々、新店舗の新しい店長になる予定だった。行成が出席するワインの試飲会に潜入した静奈は、計画通り『とがみ亭』という店の名前を出し、行成と接触、行成の興味をひくことに成功する。そして次に会う約束を取り付ける。

静奈は『とがみ亭』で行成と再開。その後、泰輔と合流したところ、ビルから行成が出てきた。泰輔はもう一人の男の顔に釘付けになった。呼吸が乱れていた。あいつだ。あの男だ。父さんと母さんが殺された夜、家の裏口から出ていった男。行成の父、戸神政行があの時の男だった。

静奈は行成が企画した新店舗の試食会に招待された。料理は次々と進んでいき、ついに最後のハヤシライスが客の前に出された。静奈は口にした途端、その目から涙があふれ始めた。『とがみ亭』のハヤシライスは、父さんが作ってくれた『アリアケ』のハヤシライスと全く同じ味だった。

功一は計画を全面的に変更する。ターゲットは戸神行成ではなく、父親の政行。狙うのは金銭ではなく、有明夫婦殺害事件の犯人だという証拠。しかし、証拠は集まらない。そこで功一が指示した計画は、柏原たち警察を煽る証拠の捏造。だが、彼らが仕掛けた計画の最大の誤算は、静奈が犯人の息子に惚れたことだった。

ミステリの感想は苦手~。というわけで、またもやあらすじに力を入れてしまった。こんなのでいいのかね…。いいんだよ、と天の声。それに自分の備忘録にもなるし…。テレビのドラマは見ていない。というか、自分はテレビを見ない人。だから本書のことだけでいえば、ミステリ作品としては普通かも。

ドキドキ感はあまりなく、おおおっという驚きもない。三兄妹の絆というわりには、静奈と行成の関係の方がメインになっていて、有明夫婦殺害事件についてもぼやけてしまっている。だけど、気疲れすることなく、軽く読める作品になっている。普段本を読まない方が、テレビドラマを見て、原作を手に取るには丁度いいぐらいでしょうか。本読みさんには、ちょっと物足りないかも、です。

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東野圭吾
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    2008

12.29

「土井徹先生の診療事件簿」五十嵐貴久

土井徹先生の診療事件簿土井徹先生の診療事件簿
(2008/11)
五十嵐 貴久

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殉職警官を父に持つ令子は、24歳にして南武蔵野署の副署長。毎日暇にしていたら、「命を狙われている」と訴えるノイローゼ気味の偏屈な老人を訪ねることに。その老人宅で出会ったのが、病気のダックスフントを往診していた獣医の土井徹先生とその孫・桃子。ダックスフントと「話した」先生は、驚きの真実を令子に告げる…(「老人と犬」)。いつでも暇な副署長・令子、「動物と話せる」獣医・土井先生、おしゃまな先生の孫・桃子。動物にまつわるフシギな事件を、オカシなトリオが解決。心温まるミステリー。《本の帯より》

やっちゃったな~、というのが正直な感想。五十嵐さんじゃなくとも描けると思われる作品で、その上に面白さが平凡。確かに読みやすいのだけど、逆に平坦すぎて興味がわかず、何度も中途で休憩を入れてしまった。集中力が続かないというか、飽きがきてしまうのだ。それにゆるキャラをわざと狙っていると思われるが、それが空回りしていたように感じられた。

主人公は東大卒で就職難から公務員になることにした。国家公務員?種試験に合格すると、主人公の父親が殉職した名刑事であったため、父を慕う警察上層部によって警察庁で働くことになった。そしてキャリアとして南武蔵野署の副署長のポストに就いた。そんな主人公は、仕事がないとぼやきながらも、いざ事件が起これば面倒くさいと思う不届きな奴。この主人公には、もう勘弁してくれって感じ。拒否反応しか出てこないのだ。著者はこのゆるキャラをどう読ませたいのか甚だ疑問が残った。

それに土井先生が事件を解くミステリにしても、読者にとっては、アンフェアなものとしか思えなかった。推理のポイントは、動物の生態に詳しい知識で、正解は?これ″と提示されても、これでどう納得しろというのか。まあ科学を根拠としたミステリなど他にもあるにはあるが、そういう作品には読ませる部分がそこ以外にもあって、本書の魅力はどこにあるのかと問われると、う~んと沈思し続けるしかない。桃子ちゃんに萌えろとでもいうのだろうか。それにしてはキャラが弱いんですけど。

随分と強く言っちゃってますが、ここ最近、良作が連続して続いていたので、本書の出来には思わずズッコケてしまった。そこでふと思いついたことがあるので調べてみた。これまで読んだ作品の中で、自分の中で評価が低かった作品を挙げると、リカ、安政五年の大脱走、交渉人と、幻冬舎ばかりなんですけど。これって、担当編集者にも問題があるということかしら。いずれにしろ、続編が出ても読む意欲がわいてこない。偉そうに言ってごめんなさい。でも、たぶん面白いと思われる方もいるかと…。

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五十嵐貴久
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    2008

12.28

「ぶたぶたのいる場所」矢崎存美

ぶたぶたのいる場所 (光文社文庫)ぶたぶたのいる場所 (光文社文庫)
(2006/07/12)
矢崎 存美

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海辺の瀟洒なリゾートホテルには、知る人ぞ知る神出鬼没のホテルマンがいた。見た目はかわいいぬいぐるみだが、中身は頼りになる敏腕執事。お客が困っていると、何処からか現れ、疾風のように去ってゆく―。その姿を目撃した者は、幸せになれるという伝説があるのだ。今日も新たなお客がやってきて…。とっても不思議で心温まる、超人気シリーズ最新作。《背表紙より》

「人形の夜~春の物語」
毎年恒例の桜祭り。来年は桜祭りが二十周年の記念ということで、市民から役を募って、シェイクスピア劇を上演ことになった。場所はグランドホテル。演目はオセロー。杉山織はテレビの脚本などを書いてきたが、母が倒れたことをきっかけに実家に帰ってきていた。そして成り行きで演出助手として参加することになった。織の初仕事は、ホテルの執事(バトラー)ぶたぶたにイアゴー役をするよう説得することだった。

「柔らかな奇蹟~夏の物語」
流星が降る夜空に願いをかければ、幸福になれるという伝説の祭り。それを執り行うホテルがあるという。そのホテルに泊まると幸せになれるという伝説もあるらしい。昭光の苦労が実り、愛らしい香奈恵と恋人になれた。その彼女の希望で、このホテルにやって来た。カウンターの脇の柱から、小さなぬいぐるみが、顔を半分だけ出している。また廊下の端で、ぬいぐるみのしっぽが見えた気がする。あれは何?

「不機嫌なデズデモーナ~秋の物語」
母親の誕生日にと有働賢が思いついたのが、地元の高級ホテルでの夕食とエステのサービスだ。そして当日、ホテルに向かう車中、意外なことを知った。母がつぐみとメル友だったことだ。つぐみとは、高校二年になる有働の娘の名前だ。離婚して一緒には住んでいない。有働はひょんなことから、桜祭りのオーディションを受けることになり、主人公役に受かってしまった。しかもヒロイン役は娘のつぐみだった。

「ありすの迷宮ホテル~冬の物語」
原稿、一週間後に三百枚って無理。一介のホラー作家に、どうしてこんな豪華なカンヅメ部屋を用意したのか。熊野井は泣きたい気分になっていたら、ルームサービスのドアがノックされた。どう見てもワゴンが勝手に動いている。ホラー作家のくせに、そういうことにめちゃくちゃ弱いタイプだ。ワゴンの向こう側で、何かがうごめいた。ぎゃあああっ! なんかピンクの塊が、塊があああっ!

「小さき者と大きな空~再び、春の物語」
桜祭り。グランドホテルの舞台観客席には、これまでに登場した脇役たちがいる。初めてひとりでやって来た香奈恵、自分の娘と別れた夫が夫婦役を演じる寛子、熊野井に電話で聞いていた鳥海、姉が舞台の演出助手をした義成と利香の夫婦、つぐみと何となく距離ができてしまった未来。そして、イアゴー役を演じるぶたぶたのオセローが始まった。


今回のぶたぶたさんは少し変わった連作集。これまでとちょっと違う部分は、ぶたぶたさんが見えない人がいることと、見て怖くなる人がいること。特に、ぶたぶたを見て怖がるホラー作家の熊野井が最高に面白かった。そしていつも通り、ぶたぶたさんと出会った人はほんの少し幸せになる。今回もまた、ピンクのぬいぐるみに癒されました。

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矢崎存美
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    2008

12.27

「あなたがパラダイス」平安寿子

あなたがパラダイスあなたがパラダイス
(2007/02)
平 安寿子

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人生を生き抜いたごほうびの場所では、まだまだいける恋心が健在でした。3人の中高年女性、夫と家族と恋人による、ユーモアたっぷりのアンチエイジング小説。《本の帯より》

「おっとどっこい」
内村敦子はクールな大人。勤め先の公立図書館では、もっぱらそう言われている。敦子も若い頃は、自分もいつかは結婚するのだろうと、タカをくくっていた。しかし五十のいかず後家だ。会っては話してセックスして別れる関係のボーイフレンドは常に複数いた。だが、その性欲も更年期がきて枯れた。敦子は自分の人生を生きる。一番はジュリー。四十年ずっと追っかけだ。心の真ん中にぽっかり開いた深い穴を、彼は埋めてくれた。同居する母とはそりが合わないが、その母のせいで、ジュリーのCDを紛失した。未練が募るばかりで、つい、ファンサイトで愚痴った。同じく亡き妻がファンだったという男性がCDを譲ってくれるという。その坂崎と出会い、男を意識してしまった。

「ついに、その日が」
それは西嶋まどかが五十歳になった年の十二月のことだった。急にムワッと暑くなった。額に汗が滲み、トレーナーの首まわりもじっとり濡れてくる気配。ホットフラッシュ。更年期の代表的症状だった。あれから足かけ三年。生理がなくなって、これで自由だ。いろいろ計画した矢先、義理の両親と実の両親が次々と倒れた。姑が骨折をしたのを皮切りに、父が脳梗塞、舅が心筋梗塞、母が初老期うつ病。その母のうつ病が重くなり、朝の二時間は妹、昼間はヘルパーと弟の妻、夕食はまどかが世話をすることに決まった。そこに、義兄夫婦のゴタゴタに巻き込まれてしまう。義姉は同居嫁として、ギリギリのところで踏ん張っていた。その悦子が家出した。なんと韓流の追っかけに生き甲斐を見出していたのだ。

「こんなはずでは」
食欲がない。ときどき、こめかみあたりがキリキリと痛む。夜、眠れない。それでいて、朝、起きられない。離婚からくるストレスなのだろうか。医者からは、四十三歳にして更年期を示唆された。病院を出た千里は、すぐさま有季子を呼び出した。有季子は、女性向け医療情報を収集する会社を経営している。千里は体調を崩すまで、専属の取材記者として働いていた。その有季子に訳もわからず連れてこられたのは、更年期を考える会。ジュリー作詞のテーマソングの合唱が始まった。「最近元気じゃない/怒りっぽいんじゃない/汗っぽい感じ違うかな」違わない。その通りよ。「ぎゅっと抱きしめ合おう/そうね楽しめない/惨め ため息を吐こう」それって、わたしのことだけど。

「まだまだ、いけます」
街路樹が葉を落とす舗道で、まどかは立ち止まった。ライブ会場の名前は知っているが、どこに向かえばいいのかわからない。そのまどかの袖を、悦子が引っ張った。三人の中年女が楽しそうにおしゃべりしながら、まどかたちと同じ方向に歩いていた。座席に並んで腰掛けてから、坂崎は持っていたグッズを敦子に差し出した。そうはいかないと言い張るのは、やめた。敦子にとって坂崎の好意を拒否する理由がない。千里が楽しみしているのは新曲だ。老いることの苦悩の次は、老いのとば口に立った今の情感だった。光の中に彼が進み出てきた。ファンが一斉に立ち上がる。空間の温度が、一気に上昇した。ジ・ュ・リ・-!!!


本作品は更年期とジュリーがすべて。自分が男だからか、更年期と言われてもピンとこない。男にもあるそうだけど、まだその年齢には早すぎる。それにしてもしんどそうで、男の理解が必要だとツクヅク思った。そしてジュリーこと沢田研二。ジュリーにしても年代が合わない。幼稚園のお遊戯会だったかで、TOKIOを歌った記憶があるぐらい。あとはパラシュートの人という印象。だけど、何故かベスト盤CDを二枚持っていた。それもたぶん引っ越した時に紛失してしまった。誰かのCDだったのだろうか。そんな訳で、これまでの作品のように、共感を得られる作品ではなかった。ユーモアがあるにはあるが、それ以上にイライラや年老いた親の介護のことが重すぎた。よって個人的な評価としては、微妙。

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平安寿子
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    2008

12.26

「パラレル」長嶋有

パラレル (文春文庫)パラレル (文春文庫)
(2007/06)
長嶋 有

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妻の浮気が先か、それとも僕の失職が原因か?ともあれ僕は、会社を辞め離婚した。顔面至上主義のプレイボーイ津田と、別れてもなお連絡が来る元妻、そして新しい恋人…。錯綜する人間関係と、男と女の行き違いを絶妙な距離感で描く長嶋有初の長篇。斬新な構成と思わず書きとめたくなる名言満載の野心作。《背表紙より》

主人公はゲームデザイナーの僕こと七郎。今年の正月明けに離婚届を出したが、今なお元妻は電話やメールをしてくる。人には元妻といえるのに、自分の意識のうちでは妻のままだ。未練や執着ではないつもりだが、次の恋愛がはじまらないと呼称も更新されない感じがしている。友人の津田はなんだか彼女のことを気にしている。狙っているというのと違って、興味深いという感じ。特に僕との不和を知ってから興味が増したようだ。

なべてこの世はラブとジョブ、それが津田の座右の銘だ。津田は女を口説くときに予算をきる。五十万から、多いときは百万円。津田が社長だからだ。実際には百万円も使うことなくオトしてしまう。オトしたという報告も、律儀になされる。どこまでいけばオトしたことになるのか。とりあえずは、挿入だよ。ふにゃふにゃと津田はいった。

さて、似ていない男二人がメインの「パラレル」だが、場面が次々と飛ぶ。現在の話から、ふっとその日の日中に場面が変わり、また今いる場面に戻ってくる。それだけでなく、離婚前後や大学時代にまで戻ったりもする。時系列の展開がパラレルになっているのだ。また登場する女性たちもパラレルである。キャバ嬢のサオリ、ゲーマーの女、唇の赤い女、そして、前奥と。

彼女たち女性陣と付き合う(振り回される)男二人が、どうにも情けなく、また切ない。だけど可笑しくて、憎めないヤツらである。そして危ないくらいに気持ちがいい。女性からするとブーブー文句がでそうだけれど、男が読むとすげえわかる。また、自分が彼らと世代が近いから尚更なのだ。F1ではセナよりマンセルだけど、セナの死にずたぼろになったり、マニュアル男になってみたりと、ぐっと共感できる部分が多々あった。

これまでに読んだ長嶋作品の中で、一番好きかもしれない。どうってことのない日々だけど、大変善良な主人公のはずが女に飢えていたり、新しく彼女が出来たり、相方もまた少し考え方がずれていったりと、変わらないと思う日常にも少しは変化がある。人と繋がっていることで逃げ口を確保し、醒めた人ほど繋がりに飢えている。そして人のストレートな感情がしっくりと伝わってくる。等身大の女性を描いた作品は多いけれど、男性を描いた作品は極端に少ない。だから、こういう作品が増えるといいな~、と思った。好し好し。

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長嶋有
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    2008

12.25

「おいしい水」原田マハ

おいしい水 (Coffee Books)おいしい水 (Coffee Books)
(2008/11)
原田 マハ伊庭 靖子

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泣き顔の女の子がポジフィルムに写っている。必死に走る女の子が写っている。どちらの写真も、神戸で撮影された、十九歳の私。まるで恋人に会いにいくように、毎週末、私は心を弾ませて出かけていった。大好きな通りがあった。大好きな店があった。おいしいコーヒー屋があった。心にいつまでも残る、山と海と街の風景があった。憧れのひとが、いた。あの頃。十九歳の私。

出勤時間よりも一時間早く、三宮駅に到着し、ベベの姿を見たくて、その店まで歩いていく。ママさんはときどき、ベベツ君と呼びかけることもあった。ベベツ、という苗字のようだ。いつものように、ベベが座っている。そのくせ、いったん彼の隣に座ると、もう顔を向けることもできない。テーブルの上には、いっぱい小さなスライドのポジ写真が並んでいる。なにが写ってるの。あなたが撮った写真? 

元町北の路地裏に、私のバイト先があった。「スチール・アンド・モーション」はポストカードや外国の文房具、写真集や画集などを売る輸入雑貨の店だ。その日、フランスの大写真家、ロベール・ドアノーの写真集が入荷していた。私は毎月のアルバイト料をもらうと、そっくりそのまま店で使ってしまっていた。この日もドアノーの写真集を買った。ふと、ベベの隣に座って、これを広げて見よう、と思いつく。

次の日、いつものように、いちばん奥の席に、ベベがいた。ただし、ひとりではなく、男のひとと一緒に。大柄な男は、何か激しくわめいている。次の瞬間、男はコップの水をベベの頭の上からかけた。ベベは、ぴくりとも動かない。男は荒々しく店を出て、やがてベベも出てきた。私は無意識に彼の名を呼んでいた。私は一歩も踏み出せずに、その場に立ち尽くしたまま、ドアノーの写真集を恐る恐る差し出した。ベベは黙って受け取った。私たちは、ぽつぽつと会うようになった。

原田さんの新刊は、わずか85ページの短篇で、画家の伊達靖子さんとのコラボ作品になっている。絵のことはよくわからないけれど、なんとなくおしゃれだ。作品の舞台は八十年代の神戸。今と変わらずあずき色の阪急電車が走り、だけど、携帯電話なんてなく、ましてやメールやインターネットなんてなかった。だから、待ち合わせをすれば、ただ、信じて待つしかない。そして、ベベは何ひとつ、自分のことを教えてくれない。好きなひと、いるの。私のことを、どう思っているの。と不安を抱えながらも、だけど、惹かれている。

まるで8ミリの短篇映画を観ているような作品。読んでいると、映像が脳裏にはっきりと浮かんでくる。一人の女の子が神戸の街を走り、大好きな店で働き、憧れの人をそっと見つめる。淡い恋心を抱き、その瞬間を生きている姿が、愛おしく思える。こういうのを、情感があるというのだろう。そして作品のラストを読み、冒頭を読み返してみると、ふるふると感動が込み上げてくる。懐かしい昭和の時代がここにあり、とても素敵な作品だと思った。

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原田マハ
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    2008

12.24

「僕の好きな人が、よく眠れますように」中村航

僕の好きな人が、よく眠れますように僕の好きな人が、よく眠れますように
(2008/10/30)
中村 航

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ゲスト研究員として、北海道から女の子がやって来た。今日は理工学部応用化学科の研究室の懇親会。院生は僕ら二人だけで、あとは四年生が十四人いる。くるくる変わる彼女の表情を見つめていたら、可愛いな、と思っていた。斉藤恵って素敵な名前ですね。でもですね、前の名字のほうが、ずっといいんですよ。北海道で生まれ育った現・斉藤恵さんは、大学生になってすぐ、三年先輩の男と付き合いだした。そして彼女が三年生の時、二人は結婚したという。人妻研究員に、告白もしていないのにフラれた気分。

それは七月の終わりの頃で、僕らが出会って四ヶ月になろうとしていた。それまでは、学校の外で個人的に会うことはなかった。学校からの帰り道、彼女と飲みにいくことになった。二人でいろいろ話をして、たくさん笑った。次の終末も飲みにいった。僕らは前みたいに、愉快に飲んだ。二十三時の少し前だった。彼女がその時刻になると彼に電話をするのがわかっていたから、その前に店を出ようと、僕は決めていた。その帰りの電車の中で、好き、と僕は言った。長くて遠い沈黙は続く。同じです、と、小さな声が聞こえた。

うわーっ、不倫ものかよ。と思ったのはつかの間の出来事。これ以上近づけないところまで近づいたら、お互いに距離を取ってしまう。まあ、不倫だからねぇ。だけど、結局は気持ちが止まらなくて付き合いが始まる。その後はもう、べたべたしまくりで、おもいっきりバカップルしてます。好き。おれも好き。私の方が好き。大好き。心から好き…。だー、おまえらは高校生かよ、というようなちょっと堪え切れないやり取りの数々。これが若さというものですかね。三十越えると、こんな恥ずかしいことはできねえやい。つうか、読んでるだけで昇天しそう。

こんな感じで、不倫のドロドロした部分はほとんどない。だから嫌悪感みたいなものはなかった。北海道で待つ夫を想像すると、かわいそうだけど。だけど、人を好きになるのに理由はいらないし、出会った順番が間違っていただけかもしれない。また、この熱い気持ちが冷めるかもしれない。夫と離婚してくっ付く道を進もうが、別れてしまおうが好きにして、という感じ。だけど現時点では、彼女と一緒なら、何でもできるような気がして、どこまでも強くなれるし、どこまでも優しくなれるし、いつだって面白くなれる気がする。恋に落ちている瞬間って、ポジティブな病気なのかもしれない。

そんな二人の関係とは別に、「絶対最強の恋のうた」に登場した変人・木田が登場していた。主人公が春休みにバイトしていた先で出会い、何故か坂本という偽名を使っている。そして僕が木戸部屋に通うようになり、古いゲームソフトをプレゼントしたところ、勇者キド、戦士オオノ、僧侶サカモト、という三人パーティーを編成している。これってあの三人組じゃん。その木田とともに、主人公の妹もまた、強い印象を残した。そんなキャラ読みをしつつ、言葉遊びも面白く、バカップルの会話に身悶えて、あとはツケであるケジメはどうするのかな~というところで終了。二人とも、このあと十分に苦しんでください。おほほっ。まったくの他人事として読むと面白かったです。

中村航さんのサイン。
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他のサイン本はこちらをクリック。→「サイン本」

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中村航
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    2008

12.23

「福家警部補の挨拶」大倉崇裕

福家警部補の挨拶 (創元クライム・クラブ)福家警部補の挨拶 (創元クライム・クラブ)
(2006/06/27)
大倉 崇裕

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徹夜明けで現場を検分、鑑識の報告を受けて聞き込みを始める頃には、事件の真相が見えている?!  身長は一五二センチ。縁なしの眼鏡をかけ、髪は真っ黒なショートヘア。眉の上で切り揃えられた髪のせいで、ひどく幼く見えるが、三十は超えている。捜査一課の女性刑事、福家警部補。おなじみ刑事コロンボ、古畑任三郎の手法で畳みかける、「最後の一冊」「オッカムの剃刀」「愛情のシナリオ」「月の雫」四編を収録したシリーズ第一弾。

「最後の一冊」
その額めがけて本を振り下ろす。宏久は叫び声をあげることなく、くずおれた。脚立を降りた祥子は、本棚の後ろに回った。部屋全体を震わせながら、巨大な書棚は前方に倒れこんだ。書棚と床に挟まれた宏久は完全に絶命していた。「ここは売ることにした」オーナーの宏久の口からそう告げられたときの衝撃。図書館を取り壊し、マンションにするという。そんなこと、させてたまるか。本への愛を貫く私設図書館長、天宮祥子の計画はその瞬間から始まった。

「オッカムの剃刀」
柳田は満身の力をこめてバットを振り下ろす。池内は悲鳴をあげることもなく、路上にくずおれていた。うつぶせになったその体をまたぎ越え、頭の方に回る。バットを両手で握り、振り上げた。殺された犯罪学助教授の池内の研究テーマは複顔術。退職後大学講師に転じた元科警研科学捜査部の柳田嘉文は複顔術の権威。貪欲に知識を吸収したい池内は、柳田の手元にあったデーターを盗んだ。そして、秘められた真実を知った池内は柳田を強迫した。

「愛情のシナリオ」
マリ子は恵美のマグカップをハンカチでくるみ、手元に引き寄せた。粉末の睡眠薬を入れる。かき混ぜると簡単に溶けた。女優の小野木マリ子と柿沼恵美はデビューもほぼ同じ。常にライバルとしてマスコミをにぎわしてきた。二人は常に一定の距離を置き、冷戦を続けることになった。だからといって、憎み合うほどの明確な利害はなかった。「今度のオーディション、降りてくれない?」封筒に入っているのは、四枚の白黒写真だった。恵美の目を見れば、強迫が本気であることは判った。

「月の雫」
谷元は目をつぶり、肩から佐藤にぶつかっていった。佐藤は足場の柵を乗り越えた。ガツンという鈍い音と同時に、激しい水音が響いた。醸造タンクの水を張ったタンクに落ちたのだ。醸造組合の副理事を務める豪腕佐藤。彼が社長の佐藤酒造が造っているのは、機会醸造による粗悪なものばかり。昔ながらの手法を守る谷元酒造の谷元は、ただ良い酒を造りたかった。だが経営が厳しく、そこに佐藤の乗っ取りまがいの吸収合併を受けた。佐藤は月の雫という銘酒を自社のものにするつもりだった。


倒叙形式のミステリとしては王道の作品集。知的で論理的な犯人と、小憎らしいほどに冷静で怜悧な福家警部補の対決。事件の関係者から証言を集め、推理に合う証拠を集めて真相を突きつけるという、どれも同じパターンの作品。だから、これ以上の収録作があったならば飽きていたかもしれない。長編ならともかく、短篇集で同タイプは四作がぎりぎりだったかも。

それともう少し福家警部補の素顔が知りたかった。外見の特徴と、警察手帳をどこにしまったのかオロオロするところ。あとは自分勝手に話を進めていくこと。ラストに酒豪ぶりがわかるぐらいで、彼女の情報がこれくらいしか披露されていないのだ。それは鑑識の二岡についても同じことが言える。単に名前がついているだけの記号にしか思えないのだ。もっとキャラ立てれば、コロンボや古畑任三郎並に面白くなっていたのかもしれない。そこが少し残念だった。だけど倒叙ミステリとしては十分に面白い作品と言えるだろう。

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大倉崇裕
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    2008

12.22

「チェーン・ポイズン」本多孝好

チェーン・ポイズンチェーン・ポイズン
(2008/10/30)
本多 孝好

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個性のない会社に通い、個性のない仕事をした。ありふれた失敗をして、ありきたりの当てこすりを言われ、あてもなく落ち込んだ。孤独で未熟な三十六の女。結婚の焦りはいつしか、諦めに変わっていた。女は想像してしまった。このまま一人で暮らす生活を。その未来を。定年まであと二十年。それは絶望的な未来だった。もう死にたい。気づくとぽつりと呟いていた。そこに突然、声をかけられた。「本当に死ぬ気なら、1年待ちませんか? 1年頑張ったご褒美を差し上げます」 一年。それは決して悪い取り引きではなかった。

自殺したのは高野章子。三十七歳。元OL。週刊誌記者の原田は、東京都内で毒死した人間を追っていた。二人のインタビュイーが自殺して死んだ。突発性難聴に襲われた天才バイオリニストの如月俊。加害者が死刑になった犯罪被害者遺族の持田和夫。二つのキーワードが頭に引っかかっていた。なぜ服毒自殺なのか。なぜその原因とされる事態からわざわざ一年以上もの時間を置いて死んだのか。二人の死は、本当に無関係なただの自殺なのか。ともにアルカロイド系の毒物による心停止だったが、その毒物は特定されなかった。

そして今、三人目の自殺者が出た。持田和夫の死からおよそ一月、如月俊の死から二週間ほどしか離れていない。けれど、その死因がアルカロイド系の毒物という点を除くなら、三人目は前の二人とはまったく性質を異にする。誰も知らない、ただのOLだからだ。警察も完全に自殺と断定している。それでは、時間は? 高野章子が死んだ理由は何だったのか。その理由から死まで、どれだけの時間があったのか。高野章子。もう少し調べてみよう。原田はそう決めた――。

これのラストにはやられた。やられたー。しかし、そのラストに辿りつくまでがしんどかった。一年後に眠れるように楽に死ねる手段をもらえる。その申し出を信じた女性は、なんとなく会社を辞め、一年間の暇つぶしとして、なんとなく児童養護施設でボランティアを始める。あと一年、半年後に私は死ぬのだ。眠れるように楽に。彼女は、この言葉を支えに今日という一日を過ごしてゆく。はっきり言ってしまえば、彼女に対して、これっぽっちも共感できないし理解も出来ない。第一、死にたくないのだから。

週刊誌記者・原田サイドでは、自殺した高野章子の空白の一年間を調査する。高野章子の関係者に問うと、返ってくる言葉は、真面目で律儀、要領が悪く面倒を押し付けられる、誰も親しい者がいない、結局のところ何も知らないなど、とにかく影の薄い空気のような存在だったと明らかになっていく。こちら側にもあまり興味がわかなくて、原田が何故そこまで執着していくのか、彼女のどこに惹かれるのかがよくわからない。ただのつまらない女としか思えないのだ。

しかし、不思議とページが進む。しんどい、しんどいと思いながらも、読むスピードがまったく止まらない。これまでにも思ったことだが、本多作品はどこか納得いかないんだけど、何故か読めてしまう。どこがどう良いのか、いまいち理解が出来ない。だが、なんとなくすううっと消化してしまうのだ。だから、声高に好きとも言えないし、絶賛も出来ない。しかしまた、読んでしまうという変てこな位置にいる作家なのだ。本当に自分にとって相性がいいのか悪いのかよくわからない不思議な作家だ。だけど…、面白い。

またサイン本を見かけて、つい買ってしまった。財布の紐が緩いな~。

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本多孝好
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    2008

12.22

「サイン本」あ・か・さ行の作家

よく聞かれるのは、サイン本を何冊持っているの?という質問。そこで、カテゴリを作ってみた。ただ、コメントをもらってもお返事を返せませんので、そこは了承ください。

※注 写真をクリックすると大きくなります。


あ行の作家


相沢1 相沢ロート
相沢沙呼さん


青山
青山繁晴さん


朝井
朝井リョウさん


朝倉
朝倉かすみさん


浅田
浅田次郎さん


あさのあつこ
あさのあつこさん


我孫子
我孫子武丸さん


阿部
阿部和重さん


綾辻 綾辻2
綾辻行人さん


有川浩1 有川3_r1
有川浩さん


Image228_r1.jpg 有栖川らっぱ
有栖川有栖さん


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飯嶋和一さん


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五十嵐貴久さん


Image190_r1.jpg 伊坂2 伊坂3
伊坂幸太郎さん


諌山創
諌山創(いさやまはじめ)さん


Image199.jpg
いしいしんじさん


市井
市井豊さん


Image227_r1.jpg 宇江佐2
宇江佐真理さん


沖方
沖方丁さん


江國
江國香織さん


大島1
大島真寿美さん


大沼
大沼紀子さん


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小川糸さん


小川洋子
小川洋子さん


荻原1
荻原浩さん


奥田 奥田2
奥田英朗さん


越智
越智月子さん


乙一
乙一さん


恩田 恩田2 恩田の夢
恩田陸さん


か行の作家


海堂さん
海堂マリア
海堂尊さん


垣根 垣根月は
垣根涼介さん


Image088_r1.jpg
角田光代さん


Image156_r1.jpg  Image104_r1.jpg
金城一紀さん


Image0161_r1.jpg
川上弘美さん


川上2
川上未映子さん


1貴志
貴志佑介さん


京極1
京極夏彦さん


桐野
桐野夏生さん


倉知1 倉知2
倉知淳さん


紅玉1 紅玉2
紅玉いづきさん


越谷1
越谷オサムさん


近藤2 近藤エデン
近藤史恵さん


今野
今野敏さん


さ行の作家


西條
西條奈加さん


Image140_r1.jpg  Image141_r1.jpg  Image137_r1.jpg 坂木アン
坂木司さん


okann_r1.jpg
咲乃月音さん


Image232_r1.jpg 桜庭ポート 桜庭特攻 桜庭八犬 桜庭ばらばら
桜庭一樹さん


佐々木譲
佐々木譲さん


Image068_r1.jpg 佐藤音楽
佐藤多佳子さん


塩田
塩田武士さん


Image098_r1.jpg
雫井脩介さん


Image189_r1.jpg
柴崎友香さん


島本理生
島本理生さん



Image055_r1.jpg 小路幸也
小路幸也さん


真保_r1
真保裕一さん


Image085_r1.jpg
末浦広海さん


瀬尾 瀬尾おしまい
瀬尾まいこさん


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    2008

12.22

「サイン本」た・な・は行の作家

た行の作家


Image147_r1.jpg
平安寿子さん


高田1 高田ありえねえ 高田出世 高田レシピ
高田郁さん


高野
高野和明さん


瀧羽
瀧羽麻子さん


竹内真
竹内真さん


嶽本野ばら1 嶽本野ばら2
嶽本野ばらさん


多島
多島斗志之さん


Image184_r1.jpg
田辺青蛙さん


辻
辻真先さん


Image183_r1.jpg 辻村深月2 辻村3
辻村深月さん


恒川
恒川光太郎さん


Image073_r1.jpg 津村
津村記久子さん


東郷
東郷隆さん


富樫
富樫倫太郎さん


Image185_r1.jpg
堂場瞬一さん


Image097_r1.jpg
豊島ミホさん


な行の作家


中島京子
中島京子さん


たい子
中島たい子さん


Image109_r1.jpg
長嶋有さん


永嶋
永嶋恵美さん


中田1 中田聖歌
中田永一さん


Image173_r1.jpg 中村 中村抗星に
中村航さん


中村
中村文則さん


中山1
中山七里さん


夏川
夏川草介さん


仁木
仁木英之さん



Image113_r1.jpg Image0051_r1.jpg 
西加奈子3 西加奈子4
西加奈子さん


貫井
貫井徳郎


Image074_r1.jpg 法月2
法月綸太郎さん


は行の作家


橋本長道
橋本長道さん


橋本
橋本紡さん


Image090_r1.jpg
畠中恵さん


原田
原田マハさん


東
東直子さん


東野
東野圭吾さん


樋口有介 樋口片思い
樋口有介さん


Image069_r1.jpg 百田2
百田尚樹さん


平山
平山夢明さん


ふじたに1 ふじたに2 ふじたに3
藤谷治さん


本上まなみ
本上まなみさん


Image172_r1.jpg Image236_r1.jpg
本多孝好さん


誉田 誉田2 誉田主よ
誉田哲也さん


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    2008

12.22

「サイン本」ま・や・わ行の作家

ま行の作家


万城目学 万城目学 万城目3 万城目しゅらら
万城目学さん


Image038_r1.jpg Image234_r1.jpg 町田人間
町田康さん


松尾
松尾祐一さん


松崎
松崎有理さん


麻耶
麻耶雄嵩さん


Image186_r1.jpg
三浦しをんさん


こるもの
汀こるものさん


三崎 三崎ころよし
三崎亜記さん


道尾秀介1 道尾秀介2
道尾秀介さん


光原
光原百合さん


湊告白 湊少女 湊かなえ2_r1湊Nのために 湊観覧者 境遇1 境遇2
湊かなえさん


宮木
宮木あや子さん


宮下
宮下奈都さん


Image112_r1.jpg
宮部みゆきさん


宮本
宮本輝さん


村山
村山由佳さん


室井
室井滋さん


Image153_r1.jpg
本谷有希子さん


Image035.jpg
森絵都さん


森見_r1森見恋文
森見登美彦さん


や行の作家


薬丸  Image034.jpg
薬丸岳さん


柳
柳広司さん


Image089.jpg 山崎ナオコーラ2
山崎ナオコーラさん


吉田 吉田平成
吉田修一さん


Image157_r1.jpg 米沢折れた竜骨
米澤穂信さん


ら行・わ行の作家


雷句誠
雷句誠さん


Image0251_r1.jpg  Image037.jpg 和田3
和田竜さん


Image238_r1.jpg 綿矢2 綿谷かわいそう
綿矢りささん


寄せ書き
汀こるものさん 法月綸太郎さん 綾辻行人さん 光原百合さん 北村薫さん
西澤保彦さん 小森健太郎さん 芦辺拓さん 有栖川有栖さん 辻真先さん



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    2008

12.21

「詩羽のいる街」山本弘

詩羽のいる街詩羽のいる街
(2008/09/25)
山本 弘

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あの日まで、僕はこの世に奇跡が存在するなんて信じていなかった。マンガ家志望の飯塚陽生は、寂しげな公園にぶらりと入った。やがて、数人の子供たちにせきたてられるように、一人の女性が公園に入ってきた。それが詩羽との出会いだ。詩羽の仲立ちで子供たちのカード交換会が始まった。終了した時には、ほぼ全員が満足していた。その詩羽が声をかけてきた。ねえ、これからデートしない? 理由は、あなたが幸せそうじゃないから。あたしは言ってみれば、あなたにとっての幸運の女神。今日という一日、ハッピーにしてあげることをお約束します。こうして僕と詩羽の奇妙なデートが始まった。

家庭菜園のおじさんから収穫したたくさんのネギをもらうことから始まり、詩羽はワラシベをしていく。彼女はお金を持たず、家もなく、人や物を結びつけることで生活していた。詩羽の知り合いは街中にいる。彼女の行くところ、どこにでも笑顔がある。みんな親切にしてくれる。ちょっとした会話の中から、彼女は情報を得て、誰が何を必要としているか、何を手放したがっているか、誰と誰を引き合わせれば、その人たちにとって有利になるか。冒頭の子供たちのカード交換会のように、トレードを次々と成功させる。親切をすることに対して、お金以外で報酬をもらう。それが彼女の仕事であった。彼女はたった一人で、この街に巨大なネットワークを構築していたのだ。

第一話の主人公はマンガ家志望の青年。第二話は自殺志願の女子中学生。第三話は陰湿な嫌がらせに人生の喜びを感じる大学教授。第四話は詩羽を探しに来たある女性。彼らは詩羽と出会ったことがきっかけで、自分の可能性を見つけたり、意識が一八〇度引っくり返ったり、ちょっと生き方を変えるだけで幸せになれることを知ったり、行き詰まりに先が見えてきたりする。詩羽はそれを引き出す。自分は変わらずに、他人をどんどんと変えてゆく。

本書は、ネットなどで暴走する悪意へのアンチがありつつ、一つの切り替えで幸せになれるという啓蒙としても読むことができる、ちょっとしたファンタジー作品だ。詩羽は善意の人でありながら、法律を手段としてとらえ、場合によってはやってはいけないことに手を染める。そこがなんとも人間臭く、また魅力的である。それに、本のソムリエや、自費出版のコーディネータ、元ごみおばさんや、お寺の住職など、彼ら脇役たちのくったくのなさがそれぞれにいい味を出していた。

また、参考資料の活用のしかた面白いと思った。それらが本文の中で実在の作品として登場したり、薀蓄などに形を変え、それがマニアックな会話となって中々興味深く読むことができる。予想以上に面白かったです。好みの問題で絶賛とまでは言えないけれど、これは掘り出したなと満足できる読書となりました。お薦めです。

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    2008

12.20

「チーム」堂場瞬一

チームチーム
(2008/10/17)
堂場 瞬一

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誰のために、何を背負って、俺たちは襷をつなぐのか――。
母校代表としての箱根駅伝出場を逃した「敗れた強者」たちで構成される、<学連選抜>チームが挑む二日間、東京~箱根間往復217.9kmの苦闘と激走を描く! 俊英が迫真の筆致で書き下ろした、入魂の長編駅伝小説!《本の帯より》

城南大の浦大地は箱根駅伝出場を逃した。自分としては十分納得のいく走りができたが、駅伝は一人で戦うものではない。総合タイムの差は、十位の大学との間に一分もなかった。皆が、ほんの少し余分に力を出していれば。一秒ずつ詰めていたら。後の祭りだと分かっていても、そう考えざるを得ない。全員の責任。ということは、当然自分の責任でもある。連続出場三十二回。それがついに今年で途切れた。

出場を逃したチームの中から、好タイムを出した選手が選ばれて、箱根を走る学連選抜。自分のチームを失い、それでも走る権利を手に入れた時、彼らは何を目標とするのか。寄せ集めのチームで何を背負って走るのか。自分のために走るのか。モチベーションは上がるのか。駅伝という究極のチームスポーツで。浦大地は学連選抜のキャプテンに選ばれた。だが、そこにチームとしてのまとまりなんてものはなかった。

半年で急に実力がのびた一年の朝倉功。陸上に対して情熱を失ってしまった門脇亮輔。絶対的なスーパースターの山城悟。そしてキャプテンの浦大地。彼ら四人の選手にスポットを当てた学連選抜チームの箱根駅伝。箱根の怖さを知らない者や、出場すること自体を夢のまた夢だと思っている者や、自分のためだけに走ることしか頭にない者に、自分が犯した失敗にリベンジを誓う者。彼らが学連選抜という特殊なチームの中で、どのような心境の変化をみせるのか。またレースの行方は。というのが大まかな内容。

箱根駅伝の始まる前のこの時期に読んで正解だったと思う。まず学連選抜なんてこれっぽっちも注目していなかった。箱根といえば、同じ思いを持った仲間が襷を繋ぎ、二日間をかけてゴールを目指す。そして優勝争いだけでなく、翌年のシード争いにも一喜一憂する。そこに学連選抜というチームがあって、その寄せ集めの選手たちが優勝を目指す。この目の付け所が面白いと思った。第一部では、母校ではなく学連選抜で走ることになった葛藤が描かれ、第二部では、ハラハラどきどきのレースが待っている。

このレースを走っているランナーたちの心理描写や、ランナーが見る情景描写は半端じゃなくすごい。また、ぐずぐずだった選手の意外な活躍に心が踊り、化け物だと思われたランナーの一回り大きく成長する姿に感動。これは読んで損なし。「風が強く吹いている」と比べてみても引けを取らないと思い、今年読んだスポーツ小説の中でもベスト3に入る作品だと思った。

堂場さんはお初の作家だけど、サイン本を発見。
というわけで買っちゃいました。

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    2008

12.19

「Bランクの恋人」平安寿子

Bランクの恋人Bランクの恋人
(2005/10/16)
平 安寿子

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王道からちょっぴりずれた、いろいろな“愛”の形を描いた作品集。「Bランクの恋人」「アイラブユーならお任せを」「サイド・バイ・サイド」「はずれっ子コレクター」「ハッピーな遺伝子」「利息つきの愛」「サンクス・フォー・ザ・メモリー」を収録。

「Bランクの恋人」
七塚次郎、二十八歳。独身。モテる男。獲りやすいターゲットは、あんまり男に縁のなさそうな女。百点満点の八十五点はいってると思ってる七十八点レベルの女が、いつも出会いを求めている。そいつらに、さりげなく声をかける。というわけで、常時十二、三人はいる。恋人が欲しいんじゃない。俺はモテたいんだ。

「アイラブユーならお任せを」
幼少のみぎりから落語に親しんできた信友氏は、敬愛する柳昇師匠の「愛してる」と言いなさいという考えを胸に刻んで育った。だから、おまえも言ってみなさいと、きわめて厳かに杉生くんに言った。従業員の杉生くんが恋しているのは、近所の薬局の娘さんだ。そうだ。ラブラブ・メッセンジャーになるぞ。

「サイド・バイ・サイド」
小郡美由紀は四十二歳のキャリアウーマン。けれど、一皮剥けばバリバリの結婚優先主義者。会社では傍迷惑なコネ坊やを押し付けられ、帰宅すると二十五歳にもなってデレデレした女を預かっている。淡い付き合いの男が、いきなり私生活の問題を持ち込んできたのだ。生真面目な美由紀の身の因果なのか。

「はずれっ子コレクター」
可哀想だから惚れるが持病の女と出会ったのは、オカマのコーちゃんが一人で切り盛りするバーだった。澄香さんは小学校の音楽教師。三十五歳の女盛りだが、見た目はひたすら、おばさんである。今で言うなら負け犬だ。しかしゲテモノ食いの彼女は、三十五歳で二十三人もの男とこなしていた。

「ハッピーな遺伝子」
二十七歳の今のルミにとって、両親は他人より遠くにいる存在だ。母は仕事に夢中なせいか、近頃めっきり遠慮がちになっている。問題は、チャーリーである。五十五歳でデブはげ初老になりはてたチャーリーはミュージシャン。その狂騒型の一人娘であるルミは、思いっ切り引っ込み思案の性格だった。

「利息つきの愛」
くうちゃんが失恋した。美和とくうちゃんは、男の趣味がかぶらない。それが友情を保っている理由かもしれなかった。くうちゃんこと邦彦は、ゲイだ。誰にも隠していない。正々堂々の同性愛者だ。くうちゃんとは一番の仲良しだ。そのくうちゃんが、美和の知っているストレートの男に恋をしてしまった。

「サンクス・フォー・ザ・メモリー」
二年前、長男の修平が亜希と結婚した途端、おとーさんが脳梗塞で半身不随になった。そのおとーさんが突然亡くなった。おとーさんの葬儀ということは、憎たらしい小姑がやって来る。市会議員の女王様。実の娘のくせにおとーさんの世話は任せっぱなし。修平だってムッツリしっぱなし。おとーさんだけがありがとうって、ちゃんと言ってくれた。


モテてるつもりが弄ばれている「Bランクの恋人」で早々と世界に引き込まれ、無茶苦茶キュートな信友氏が微笑ましい「アイラブユーならお任せを」でさらに好きになり、こういう因果の人っているなと「サイド・バイ・サイド」で少し休憩し、モテない系が好みだと遊び放題という「はずれっ子コレクター」にうへーとなり、困った親父が勇気の素になる「ハッピーな遺伝子」で持ち直し、二人の友情がとにかく気持ちいい「利息つきの愛」でニンマリとなり、ラストの「サンクス・フォー・ザ・メモリー」で泣きそうになった。やはり平安寿子さんはいい。一見等身大なくせに、不器用な危うさに面白味があって、落とすキレが抜群。それに加え、そこらに載っている恋愛攻略特集よりも勉強になったりもする。これらを参考にすると、自分らもモテることができるかも。

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平安寿子
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    2008

12.18

「猫はこたつで丸くなる」柴田よしき

猫はこたつで丸くなる  探偵猫  正太郎の冒険(3) (光文社文庫)猫はこたつで丸くなる 探偵猫 正太郎の冒険(3) (光文社文庫)
(2006/02/09)
柴田 よしき

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人間顔負けの推理力で難事件を解決する猫探偵・正太郎。親友犬・サスケや、近所の猫仲間とまたまた大活躍。そんな正太郎が恋い焦がれる永遠のマドンナ、美しきシャム猫・トーマ。去勢猫・ゴンタと雑種の正太郎、それぞれへの愛情に揺れる彼女の物語も収録。人間も猫も恋する女は悩むものなのだ。殺人事件、恋のさやあて…好評、猫探偵の七つの事件簿。《背表紙より》

「正太郎ときのこの森の冒険」
きのこ採りにやって来たのは、正太郎と同居人の桜川ひとみ、親友兼保護者の浅間寺の親父さんとチャウチャウ混じりの雑種サスケ。そこに偶然やって来たのは、官能小説家の如月睦月。その如月から、血の匂いがすると、嗅覚するどいサスケが言い出した。

「トーマと蒼い月」
山県雅美の家には先住猫のゴンタがいた。ゴンタは去勢猫なのだが、引き取られたトマシ-ナはゴンタに恋をしている。トーマは血統書のあるシャム猫で、お見合いをさせられるが毎回大失敗に終わった。お見合いを終えた飼い主は、自分に起こっているミステリを語りだす。

「正太郎と秘密の花園の殺人」
いつもの正太郎たち一行は、毒草を栽培している花園にやって来ていた。その毒草を研究しているという男が、何者かに後頭部を鈍器で殴打されて殺された。男はクサノオウという毒草を花壇からむしり取るようにして掴んでいた。そして日本に一株しかない蘭の鉢が盗まれていた。

「フォロー・ミー」
編集者の山県は、同業者の女性に遊ばれて捨てられた。その翌日、「あなたのあとを、いつまでもついていきます」という匿名のメールが届いていた。その日の帰宅途中、何者かがあとをつけて来る気配を感じた。そうして帰宅したマンション下に人がいた。追いかけたが姿はなかった。

「正太郎と惜夏のスパイ大作戦」
正太郎は同居人と散歩をしていた。そこに近所の飼い猫で自由外出を許されている金太がやって来た。その後、あちらこちらで缶バッチが落ちているのを次々と発見する。すべて金太の家の子のバッチで、届けにいったところ、その子と同じ学校に通う子が誘拐されていたと知る。

「限りなく透明に近いピンク」
あたしはトマシーナ。人間たちは無粋な話題に熱中している。雅美とそのガールフレンドだ。妻子ある男に二千万円を結婚詐欺された女が男を殺した。その後、女は薬を飲んで、遺書を残して首吊り自殺をした。しかし、女が大事にしていた婚約指輪がその現場から見つからなかった。

「猫はこたつで丸くなる」
突然に今日、炬燵がリビングに出現した。正太郎あこがれの炬燵だった。どうやら同居人が福引きで当てたそうだが気に入らないらしい。炬燵を死守せねば。そこに訪問していた山県が知恵を貸してほしいとと暗号を出してきた。「rgw@r」猫でも解ける暗号らしい。


シリーズ第三弾は、正太郎たちの環境が変わるかもという予感のする短編集になっている。前作で恋人ができたひとみさんだが、その彼氏が琵琶湖畔を離れて東京に行くかもしれない。そして一緒に来ないかと誘われているのだ。そのひとみさんのひっつき虫をしている編集者の糸山を加えた三角関係あり、それと正太郎が恋い焦がれるトマシーナと同居しているゴンタとの猫の三角関係もあって、人も猫も恋に忙しくしている。今回はそのトマシーナのおうち(山県宅)での作品が正太郎たちと交互に描かれている。その猫たちが謎を解き、そしてその仕草に癒される。これがとてもかわいい~の。だから猫好きは必読のシリーズなのだ。

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柴田よしき
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    2008

12.17

「イノセント・ゲリラの祝祭」海堂尊

イノセント・ゲリラの祝祭イノセント・ゲリラの祝祭
(2008/11/07)
海堂 尊

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東城大学医学部付属病院不定愁訴外来の責任者で、万年講師の田口公平は、いつものように高階病院長からの呼び出しを受けていた。高階病院長の“ささやかな”お願いは、厚生労働省主催の会議出席。依頼主は、厚生労働省役人にてロジカル・モンスター、白鳥圭輔。名指しで指名を受けた田口は嫌々ながら、東京に上京することを了承した。行き先は白鳥の本丸・医療事故調査委員会。さまざまな思惑が飛び交う会議に出席した田口は、グズグズの医療行政の現実を知ることに・・・・・・。《出版社より》

事件は現場で起こっているんじゃない。会議室で起こっているんだ。とどこかであったセリフの逆を行く作品。リスクマネジメント委員会委員長の田口は、厚労省役人・火食い鳥こと白鳥に招聘されて、厚労省医政局長の私設懇談会、医療事故調査委員会創設検討会の立ち上げに協力することになった。しかし白鳥いわく、検討会の議論なんて前菜。その内容を拡散し攪拌し、ひっちゃかめっちゃかにして、始めからあった結論をぽんとメディアに投げる。これが厚労省のやり方で、官僚は医療なんてどうでもいいと思っており、大切なのは予算と法律だけとのこと。その典型が、ミスター厚生省こと八神課長という男の存在だ。

始まった検討会では、病理学会の田沼教授と法医学会の西郷教授がいがみあっていて、同じ解剖同士でも縄張り争いが激しいのだから、実際に何も進まない。それにミスター厚生省と議事はなあなあの仲。そのミスター厚生省の画策をなんとか防ごうと、白鳥が水面下で動いている。そのひとつのキーが招聘された田口であり、もうひとつが作品タイトルの「イノセント・ゲリラ」である異端の病理医・ひねくれ彦根の存在だ。白鳥と彦根は田口にとって軍師のようであり、一方で田口はただの駒のようでもある。検討会での田口は、すべてを俯瞰するただひとりの男。唯一まともな思考を持った存在だ。。

そんな不毛な議論、医療事故および解剖制度の立て直しとして登場するのが、エーアイ主体の新システムである。このシリーズは一環してエーアイを推進しているので、今更エーアイについて説明することはしない。読んでいると、なんでこんな簡単なことがすんなり通らないのか不思議。官僚というのは、本当になんて頭でっかちなどうしようもない存在なのだろうとしか思えない。それと既得権益を守ろうと固執するエライ人たちや、現代に適応しない法律を後生大事にしている法律家。そんな悪弊を本書はバッサバサと気持ちよく斬っちゃている。その一方で夢物語の大風呂敷も広げている。そこはやりすぎかなとも思ったけれど、海堂さんのご指摘は明快である。

今回は問題提起が前面に出ているので、少し小難しい内容になっている。またエンタメ要素も大幅に控えられている。できれば東城大学医学部付属病院が舞台の作品が読みたかったけれど、こういうのもありかなぁ、なんて思った次第です。

海堂さんのサイン会に参加してきました。意外と男性のファンの方が多かったです。ご本人は、見た目は三谷幸喜で、話口調は酒井敏也とそっくりでした。(おい)

海堂さん

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海堂尊
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    2008

12.16

「退出ゲーム」初野晴

退出ゲーム退出ゲーム
(2008/10/30)
初野 晴

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穂村チカ、高校一年生、廃部寸前の弱小吹奏楽部のフルート奏者。上条ハルタ、チカの幼なじみで同じく吹奏楽部のホルン奏者、完璧な外見と明晰な頭脳の持ち主。音楽教師・草壁信二郎先生の指導のもと、廃部の危機を回避すべく日々練習に励むチカとハルタだったが、変わり者の先輩や同級生のせいで、校内の難事件に次々と遭遇するはめに―。《本の帯より》

「結晶泥棒」
文化祭が中止に追い込まれそうな危機が起こった。掲示板に脅迫状が貼られたのだ。要求を呑まなければ屋台の食べ物に毒を盛ると。でも確か去年は、クレープ。一昨年は、たこ焼き。今年は、やきそば。そして今年の要求は、教頭のかつら。毎年恒例の脅迫状だった。だけど今回は、科学部の展示から硫酸胴の結晶が何者かに盗まれた。劇薬の盗難なら、すぐに警察に届けないといけない。だが、そんなことをしたら、文化祭が中止になってしまう。文化祭の実行委員をするチカは、ハルタに助けを求める。

「クロスキューブ」
文化祭の余韻からさめた十一月の上旬、学校で突然ルービックキューブが流行り出した。先輩がバザーで売れ残ったルービックキューブを部室に持ってきて、机の上にコロンと転がした。すくない部員たちがわらわらと集まる。翌日、一個が三個に増え、一週間後、三個が七個に増えていた。さらにその数日後、校舎のあちこちでキューブを見かけるようになった。そんなとき真打ちが登場した。スピードキュービストのハルタだ。いまハルタが挑戦しているのは、六面すべて白色のルービックキューブだった。

「退出ゲーム」
吹奏楽部と演劇部。みんながハッピーになれるために、ハルタは戯曲を創作した。だが、その演劇部部長とハルタが喧嘩をはじめてしまう。その結果、演劇部と吹奏楽部で即興劇対決をすることになった。内容は、設定されたシチュエーションでそれに合った役柄になりきる。そして制限時間内にステージから退出すればいいだけの話。どんな理由をでっちあげてもいい。相手のチームはそれを阻止する。想像力を駆使して退出方法を考えること。演劇部部長と看板女優VSハルタとチカの対決が始まる。

「エレファンツ・ブレス」
現実にあった思い出を夢の中で再生できる枕。発明部の萩本兄弟は、作ったオモイデマクラなる発明品を、生徒限定で極秘に販売してしまった。これが表沙汰になれば、二人は停学処分もので、事情を話して返金することになった。購入者はハルタともうひとり。この発明の発想は、夢を三つの色でコントロールできるということ。そこで希望者には、三色の色とその比率を提出させていた。もうひとりの購入者が申請した色は、象の息づかいという誰も見たことがない色のみ。エレファンツ・ブレスの謎を解くことになった。

チカとハルタは、幼なじみにして最大のライバル。廃部の危機を回避すべく、チカは草壁先生と一緒に部員集めに奔走して、ずっと先生をそばで見つづけてきた。だから、他の生徒の「好き」とチカの「好き」は次元が違う(チカ談)。しかし誤算があった。部員集めに奔走して先生を好きになったのはチカだけではない。もうひとりいたのだ。ハルタだった。おいおい、という感じだけれど、ハルタがぽうっとした目で草壁先生を眺めている姿は、確かにかわいい。そのチカがワトソン役で、ハルタがホームズ役というのが本書。そして部員集めという側面も各編に仕込まれている。米澤さんの古典部シリーズを思わせる作品だけど、独自色が出ていて、中々の上質な作品だと思う。今後の部員集めも読みたいし、普門館出場の場面も読んでみたい。というわけで、続刊希望。

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    2008

12.15

「じーさん武勇伝」竹内真

じーさん武勇伝 (講談社文庫)じーさん武勇伝 (講談社文庫)
(2006/08/12)
竹内 真

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あれは、二歳かそこらの頃だろう。僕は投げ飛ばされて宙を舞い、日本酒のたっぷり入った酒樽の中へと落っこちた。そのトラウマからか僕は今でも酒が飲めない。我が神楽坂家の男たちはみんな酒好きなのに。何か悪戯をしでかした僕がじーさんの逆鱗に触れて投げ飛ばされたということらしい。じーさんは畳職人だったから、そこに酒樽があったということは棟上げ式か何かの宴会の席だったのかもしれない。婆ちゃんが我に返って救い上げてくれた時にはすっかり酔っぱらっていたそうだ。

その婆ちゃんはもう亡くなったけど、じーさんは今も元気である。しかし、じーさんの墓というのは立派にたっている。終戦直後には、じーさんはサイパンで戦死したことになっていたのだ。じーさんは生きていた。激戦の戦場を生き抜き、捕虜となっても収容所から脱走していたのである。そして追っ手を巻いてジャングルに潜み、終戦の日を迎えたのだった。じーさんがお墓に入るなんてのはいつになるか知れたもんじゃない。じーさんの喧嘩連勝記録は今でも続いているのである。

とにかくじーさんは強い。僕の生まれ育った田舎町では、じーさんに逆らえる奴など誰一人としていなかった。たった一人、じーさんに命令することができたのは亡くなった婆ちゃんだけだった。なんでも、婆ちゃんは映画女優だったそうだ。一目惚れしたじーさんは、京都に出現した。撮影所に侵入したじーさんは人気女優をひっさらって逃走したのであった。そして、どうか自分と夫婦になってくれと三日三晩にわたって懇願したのだそうだ。一番不可解なのは、何故そこで婆ちゃんがその申し出を受けたのかということである。

そのじーさんが、再婚することになった。こともあろうに、再婚相手は僕の初恋の人だった。小学三年生の時の担任、美人の山咲先生だ。じーさんはスキューバーダイビングを始めていた。二人は趣味のダイビングを通じて知り合ったそうだ。そして、じーさんと山咲先生は、何を思ったのか、しばらくサイパンで暮らすと言って旅立った。後になって届いた手紙によると、じーさんの本当の目的はサイパン沖に沈んでいる船の財宝を見つけることだったというのだ。だが、そのじーさんが海で遭難してしまった。沈没船探しのダイビング中、鯨の群に遭遇するわ嵐に遭遇するわで消息を絶ったのだ。

畳職人という以外には何の肩書も持たないじーさん。だけど、無敵のじーさん。「男の価値ってのはなぁ、どれだけ無茶苦茶やって生きていくかだ」が持論のじーさん。サイパンで遭難したはずのじーさんが、海賊たちをモノともせず大暴れ。あり得ない荒唐無稽なドタバタ劇が、このじーさんならアリに思えてしまう。家族としては大迷惑なじーさんだけど、こんなじーさんがいるなら、そっと観察してみたい。

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竹内真
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    2008

12.14

「公園で逢いましょう。」三羽省吾

公園で逢いましょう。公園で逢いましょう。
(2008/10/23)
三羽省吾

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市営アパートのベランダから見下ろすと、その公園は二つの丸い土地がつながったような形をしている。敷地を縁取るようにサクラやブナやイチョウなどが植えられ、その内側にジョギングコースが少し歪な8の字を描いている。東側の丸の中心には噴水が、西側には花壇と芝生が設けられ、双方とも空いた場所にお決まりの遊具が一通り並んでいる。私達はそこを「ひょうたん公園」と呼んでいた。

「春の雨」
昼下がりのいつもの公園、いつもの場所、いつものみんながやって来た。五人のママと六人の子供達だ。古株のユウマくんママは、新顔であるもう片方のママに押されまくっている。押している方はトラブルメーカーのアキちゃんママ。旦那が勤める会社のマルチ商品を売り付けようと熱弁。それを見かねて仕切りたがりのサトルくんママ登場。楚羅くんと星羅ちゃん兄妹のママは羅々ママと呼ばれ、いつも一人ジャングルジムに腰掛けてメールばかりしている。大輔を連れてきているダイちゃんママこと美咲の役割は、ママ達ではなく子供達を見ること。美咲は小学四年生になる直前に、とても小さな琢矢くんと一緒に学校に行くように頼まれた、あの頃からずっと、物言わぬ者を見ることが私の役割。

「アカベー」
サトルくんママこと里美。弟の誠治は、小さな頃から物を作るのが好きで、作った下駄車がトラックに激突し、木っ端微塵となった。その下駄車には私が可愛がっていたコマネズミを乗せていた。コマちゃんの死から姉弟は不仲になった。里美は悟を抱いていつもの公園にやって来ていた。里美は誰に対しても腹を立てている。アキちゃんママの無神経さに、ユウマくんママの煮え切らなさに、ダイちゃんママの巧妙な狡さにも、羅々ママの奔放さにも。悟は私が何かに怒り始めたと感じるや、すぐに憤る。そうだ。それがどんな種類の腹立たしさであっても、怒った数だけ赦さなければならない。何故なら、私もまた赦されているのだから。あの日、私はそう考えた筈だ。アカベーと呼ばれた彼の引退試合だった。

「バイ・バイ・ブラックバード」
ユウマくんママこと倫子。高校時代、私は瀬川さんと付き合っていた。そこで終わっていれば、青春の一ページとしてはかなりいい線をいっていたのだと思う。別れる別れないで揉めている子がいて、瀬川さんは退屈しのぎのつもりでその男に話を付けに行った。瀬川さんは男から十万円を貰った。援交だった。それから瀬川さんは、知人を集めて援交狩りという名の強請り組織を作った。私の役目は、ヤバい相手か性質を判断すること。私は人がなにかどす黒いものを内側に溜め込んでいると臭いを感じた。今はもう、臭いの感覚はなくなってしまった。ただ、変な癖がついてしまった。この公園に集うママ達とお喋りする時も、よく試す。最も頻繁に試験台になってくれるのが、アキちゃんママ。

「アミカス・キュリエ」
双子のパパこと久保っち。亜希が友人の結婚式に出席することになったので、俺は初めて育児休暇なるものを取った。乳児を世話する労力を舐めていた。しかもウチの子は、双子なのだ。公輔と友美を乗せたツインバギーを押しながら、俺は亜希や近所のママさん連中がピーナッツ・パークと呼んでいる公園にやって来た。亜希によると、俺とは初対面でも、公輔と友美のことは見知っているから、すぐに話し掛けてくれる筈だという。ママさん連中が寄って来た。ここだったのか。だけど、どうもおかしい。間違えて別のコミュニティに来てしまったらしい。あの時も、こんな感じだった。六年前、司法浪人だったあの時、なにもかも嫌になりかけていた俺は、これに似た状況に救われたのだ。

「魔法使い」
羅々ママことあかね/羅夢椰。幼い頃のあかねは公園にいるのが大好きだった。あたしがそこにいても許されて、たいして知り合いじゃなくても構ってもらえた。あたしはそれを、魔法みたいだと感じていた。だから、親子が帰っていく夕暮れの公園や、誰もいない雨の日の公園は嫌いだった。その雨の日、ホームレスのおじさんと出会った。雨が降る度に、五歳のあたしは魔法使いのおじさんとごはんを食べた。でもその日、お巡りさんがおじさんを連れていった。そしてあたしは、あの公園に戻って来た。あたし以外のおばさん達は、全員、魔法使いみたいだった。積極的に会話に加わらないけど、そっと聞き耳を立てる。本当は覚えることがいっぱいあり過ぎて、ケータイにメモったりで、大変だった。


これは本当に良かった。いつもの公園の風景だけど、そこにいるママ達がそれぞれに思うこと。知り合いと言っても、ママたちの本音の部分はわからない。そこで視線のリレーしていくことで、ママ達のドラマがあって、いつもの公園にユーモアが生まれていく。一番強烈なキャラは、マルチを勧めるアキちゃんママ。それと、いかがわしい仕事をしている父親と空気の読めない母親をもってしまったせいか、一歳半にして二日酔いのおっさんみたいな顔(ダイちゃんママ談)、気苦労が絶えない中間管理職のような顔(サトルくんママ談)、という言われようのアキちゃん。いったいどんな顔をした幼児なのだろう。気になる~。

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    2008

12.13

「恋愛嫌い」平安寿子

恋愛嫌い恋愛嫌い
(2008/10)
平 安寿子

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コンタクトレンズ販売店で勤務する二十九歳の喜世美、通販業者の販売データ処理を請け負う会社で働く二十六歳の翔子。スナック菓子メーカーの販売促進部勤務の三十五歳の鈴枝。彼女たち三人は、カフェテリアにそれぞれ一人で来て、相席になったのが縁でいつのまにか仲良くなったランチメイト。そんな恋が苦手な三人の女性たちの揺れる思い、非恋愛模様を描いた連作短編集。

「恋が苦手で……」
喜世美は、恋愛が苦手。実践はもちろん、恋愛一般に対して語る、いや考えることさえ、からっきしダメ。切なさのあまり涙にくれる的な経験がない。恋をしてるんだわとうっとりしたことも、会いたくて会いたくてたまらず、身もだえるというのもなかった。感情に溺れない性分は、喜世美の隠されたコンプレックスだ。喜世美は、初めての男と十年ぶりにばったり再会した。そんな喜世美、十九歳の脱処女奮闘記。

「一人で生きちゃ、ダメですか」
飼い猫のキョロとブログ。それだけで満たされる人生。それでいいさと開き直れない、罪悪感のような、不安感のような、居心地差が常にあって、翔子の胸を漠然と圧迫する。ネットおたくの翔子は、ブログになら、正直になんでも書けた。大好きなジム・キャリーが縁でこぶ茶(ハンドルネーム)とブログ友達になった。こぶ茶のコメントは翔子のツボを激しく刺激した。そのこぶ茶と翔子は二人で映画を見ることになった。

「前向き嫌い」
ベテランOLの鈴枝は部長職を打診された。結婚せずにずーっと働いていると、仕事に生きる女だと思われる。そんなことはない。食っていくために、働いているだけだ。出世したいなんて、思ってない。給料は上がるだろうけど、責任が重くなるのはいや。生きていくだけで精一杯で、バイタリティはない。敢えて言うなら、川の流れに身を任せ主義。だから、前向きになんか、なりたくない。

「あきらめ上手」
コンタクトレンズを販売する際には医師の処方箋が要る。というわけで、販売店には眼科が併設されている。新任の委託医は誰が見ても、どこから見ても、優しそうで感じがいい。こりゃ、モテますぜ。喜世美はモテる男争奪戦レースに加わりたくなくて、遠くから眺める態勢でいた。ところが、無欲の勝利と言うべきか、その中谷のほうからお声がかかった。なんですと?喜世美は内心のパニック状態を悟られないよう、営業笑顔で淡々と対応した。

「キャント・バイ・ミー・ラブ」
翔子がブランドものに反感を抱くのは、それが優越感を得るための道具にしか見えないからだ。お金って、怖い。でも、お金は欲しい。お金のことを考えると、気持ちがヨロヨロしてくる。本来、翔子は金銭にうといほうだ。ところが、最近、プチ成金男との接近遭遇があり、かつ、珍しいことに言い寄られているみたいだ。かつての専門学校の同窓生で、今やIT企業の取締役となったプチ成金から、ブランドもの攻勢を受ける。

「相利共生、希望します」
鈴枝のような知性派美人顔、いわゆるクールビューティーには、大きな欠点がある。考え事をすると、どう見ても、何かに怒っているとしか思えないからだ。美人だけど、モテない鈴枝は、めずらしくムキになっていた。それは、荻野薫子のせいだ。ひいきにしているバーに、最近よく顔を見せるようになったが、名だたる男っ食いだった。それがなんと、鈴枝ごひいきのバーテンダーと薫子が、できているらしいのだ。許せん!

「恋より愛を」
何もかもが、不意打ちだった。三人の女はいつも通り、ランチタイム・トークに興じていた。ごく社会派の会話をやり取りし、コーヒーを半分飲み終えた頃、一人の女性がもじもじと口を切った。わたし、結婚するの。普通、こういう場合に言う言葉はひとつだ。おめでとう。しかしながら、二人ともとっさにその言葉が出なかった。さらに、相手は五歳の子持ちで、その子がいるから結婚することになったと言い出した。


感情に溺れない性分の喜世美。飼い猫とブログだけで満たされる人生の翔子。根っからの前向き嫌いな鈴枝。なんかやたらと、いちいち心に突き刺さる。と思っていたら、男女の違いはあるけれど、この人たちって自分とそっくりな人ばかり。恋することにめんどくさくなって、一人が楽ちんだから好きで、熱くなってる人をしらけて見てしまう。でも、それでもいいじゃん。悪い? 本人がいいって言ってるんだからさ。そんな自分への応援歌として、とても面白く読むことが出来ました。実際のところは、身につまされるけれど。ははっ。

平安寿子さんのサイン。

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    2008

12.12

「ジョーカー・ゲーム」柳広司

ジョーカー・ゲームジョーカー・ゲーム
(2008/08/29)
柳 広司

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結城中佐の発案で陸軍内に設立されたスパイ養成学校“D機関”。「スパイとは“見えない存在”であること」「殺人及び自死は最悪の選択肢」。これが、結城が訓練生に叩き込んだ戒律だった。軍隊組織の信条を真っ向から否定する“D機関”の存在は、当然、猛反発を招いた。だが、頭脳明晰、実行力でも群を抜く「魔王」―結城中佐は、魔術師の如き手さばきで諜報戦の成果を挙げ、陸軍内の敵をも出し抜いてゆく。東京、横浜、上海、ロンドンで繰り広げられる最高にスタイリッシュなスパイ・ミステリー。《本の帯より》本作品は「2009年版このミステリがすごい!」二位作品。

「ジョーカー・ゲーム」
ジョン・ゴードンは、三年前、日本の大手貿易会社の招きで来日。以来、すっかり日本文化の虜となり、日本に腰を落ち着けた。そのゴードンに、突然スパイ容疑が浮かんだ。よりにもよって、陸軍が使用している暗号表を密かに盗み撮ったという。ゴードンの傍らを通り過ぎ、日本家屋に足を踏み入れてから、佐久間はふと、奇妙な違和感を覚えて足を止めた。悪名高き憲兵隊に踏み込まれたというのに、ゴードンは困惑したふりをしているが、その青い目に浮かんだ笑みは依然として消えていなかった。

「幽霊 ゴースト」
蒲生次郎が英国総領事公邸に通うようになって、ちょうど一週間になる。テーラー寺島の店員として洋服を届けに来たのが、先週の日曜。その時公邸にいて暇を持て余していた総領事アーネスト・グラハム氏からチェスのお相手をおおせつかった。以来、グラハム氏は蒲生を呼び寄せてチェスのお相手をさせている。英国総領事アーネスト・グラハム氏が、爆弾テロ計画と関係があるのか否か、容疑を確定しろ。それが依頼内容だ。今回の任務において、蒲生は標的の前に姿を晒し、直接調査を行うことになった。

「ロビンソン」
ロンドンで、目も当てられない失敗が演じられた。伊沢和男が謎の男たちに連れていかれた部屋は、まるで警察の取調室のような狭い部屋だった。日本陸軍のスパイだということがばれた。最近ロンドン駐在になったばかりの新米外交官が、英国のセックス・スパイにあっさりと搦め捕られ、極秘情報を喋っていた。尋問する男はハワード・マークス中佐。英国諜報機関に籍を置くスパイの元締めの一人だ。いずれにしても、正体が知れたことで伊沢は逆に腹が据わった。スパイ対スパイの駆け引きが始まる。

「魔都」
上海に派遣されて三ヶ月、本間英司憲兵軍曹は極秘任務を任命された。上海派遣憲兵隊の中に敵の内通者がいる。それが誰なのかを調べ出せ。及川大尉は冷ややかな声でそう命じた。前任の伍長は何者かに銃撃され、死体で発見されていた。その時だった。ズシンという轟音と共に足元が揺れた。現場は川向いの共同疎開。爆弾で爆破されたのは及川の住居であった。その翌日、本間は新聞記者の訪問を受け、陸軍内部でD機関と呼ばれる秘密組織に属している友人を見かけたという情報を知る。

「XX ダブル・エックス」
死んだのは、ドイツ人カール・シュナイダー。表向きはドイツの有名新聞の海外特派員記者ということになっているが、同時に彼はナチスとソヴィエト共産党のために働く二重スパイだった。その二重スパイだという確実な証拠を押さえ、かつ彼が日本で組織した連絡員、及び協力者を洗い出すことが必要である。飛崎弘行はD機関の卒業試験として調査を命じられた。だが、身柄を押さえる前に標的に死なれた。それは、D機関に籍を置く者には、あってはならない失態であった。


本書は「魔王」と称される結城中佐の存在がすべてだろう。また、D機関という特異な作品世界ゆえに成立するミステリになっている。結城中佐によって鍛え上げられた若いスパイたち。彼らは徹底して指導されたスパイたるものを持って、着実に任務を遂行していく。その彼らの影には、必ずと言っていいほど結城中佐の影がある。それらは短編となって、コンパクトに一話がまとめられているので文章もとても読みやすい。ただ、スパイの心得が重複する部分が多々あって、そこが若干うるさいように思った。ミステリとしての完成度も優れ、ドキドキを楽しめるエンタメ要素も非常に高い。だけど、少年マンガっぽいところが微妙に乗れなかった。これは作品がどうこうではなくて、自分の年齢が関係あるように思う。ヒーローもの?を手放しで絶賛するには、少々、年を食いすぎたのかも。続編が出版されれば読むだろうけど……。

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    2008

12.11

「魔女」樋口有介

魔女 (文春文庫)魔女 (文春文庫)
(2004/04/07)
樋口 有介

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大学を卒業して半年、広也は定職もなく就職活動もしていない。恋人の美波は、フリーのガーデニングプランナーをしており、その現場作業の日だけ、広也は雑用のアルバイトをする日々。いわゆる就職浪人中だ。また美波は広也の五歳年上の姉貴と高校時代の同級生でもある。その姉の水穂はTV局の報道部に勤めており、美波との情事の帰り道に会うと、この新聞記事を読んでみなさいよ、と記事を拡大コピーしたものを渡された。二年前につきあっていた千秋が変死した事件だった。彼女は眠らされ、生きたまま焼かれていた。

野心家の姉から事件の調査を命じられた広也は、千秋の故郷が山形の米沢ではなく千葉の行徳であったことに不審を覚えつつも、関係者に聞き込みに回る。千秋の同僚は仕事熱心な博愛主義者のように言い、付き合っていた男は淫乱で天性の娼婦と言い、大学時代の親友は高慢な冷血女と言う。そして千秋の妹みかんは姉が魔術を使っていたと言い出した。次々と思いがけない千秋の素顔が明らかになっていく。はたしてみかんが主張するとおり、千秋は魔女だったのか? そして事件の真相とは。

樋口ミステリの正統を行く作品。クールで理屈屋の主人公に、女王様然とした美人の姉、年上の恋人、いつも仏頂面だけど大人っぽい十六歳のみかんと、いい女がいっぱい登場。だから魔女云々の講釈が多少うるさくとも、これだけで樋口ファンは満足するだろう。彼女たちとのやり取りがいつものアレと同じだからだ。そして今回は濃厚な場面もあっておおっとなり、その一方で甘酸っぱさも堪能できてしまうのだ。まったくもって羨ましい。

そして主人公はいつものように東京近郊をテクテク歩く。ハードボイルドとしては地味だけど、これが季節感や町の匂いをこちらに伝える役割を果たしているのだ。プラス携帯電話を持たないことで、主人公の孤高さを演出している。それに千秋=魔女?と疑わせながらも、主人公の周りには魔女ならぬちょい悪女たちが平然と配置されているのだ。もう期待通りの内容で、充分満足することができた読書となった。樋口ファンなら必読の作品。お薦めです。

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    2008

12.10

「一分間だけ」原田マハ

一分間だけ一分間だけ
(2007/04/08)
原田 マハ

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ファッション誌『JoJo』編集部に勤続十年になる藍は、とあるきっかけでゴールデンリトリーバーのリラを飼うことにした。雑誌でワン&ニャン特集をすることになり、訪れたペットショップで明らかに成長しすぎた子犬と出会い、明日には保健所へ連れて行かれると聞いたことで、胸があふれてあふれて、もう止まらなかった。恋人で同居人のフリーコピーライターの浩介とともに、都心から郊外へ引っ越して、リラ中心の生活が始まった。

早起きをしてリラの散歩。バス停までひたすら駆け足。電車の席を獲得できるのは三回に二回。編集部に一番乗りで席についたら、ゆうべやり残した原稿のチェック、メールのチェック。ばりばり仕事をして、午前零時、終電に向けて駅へダッシュ。元気も余裕も、いまは一ミリも残っていない。だけど、ドアの向こうに、リラが待っているのがわかる。そわそわした気配が伝わってくる。「ただいま、リラ」 勢いよくリラが飛び出してくる。大きな身体を全身で受け止める。この瞬間のために、わざわざこんな遠くに引っ越したのだ。

だが、若隠居のような浩介にふがいなさも感じてしまい、違う男に惹かれはじめたり、仕事が上手くいかない苛立ちを、リラに八つ当たりしてしまう。自由になりたい。もっと思う存分仕事をしたかった。恋もしたかった。おしゃれもしたかった。別れよう、と切り出したのは藍のほうだが、結果的にそれを望んでいたのは浩介のほうだった。

浩介が去り、残されたリラとの生活にも苦痛を感じ始めたころ、リラの容態が急変した。診察をしてもらうと、リラの全身に癌が転移していると告知を受ける。そして、リラにも自分にも、後悔のないように、いまを生きるリラと闘病生活をはじめることになる。愛犬との出会いと別れを通じて本当に大切なものに気づくまでを描いた、涙なしでは読めない感動の物語。

いやー、泣いた、泣いた。ぼろぼろに泣いた。まず冒頭で泣き、リラとの出会いで泣き、リラの癌発見からはずっと泣きっぱなしだった。だけど、リラとの闘病生活をはじめるまでの主人公に、動物を飼うということに覚悟をもってくれと言いたい。生き物を飼うということは、その子の命の責任を預かるということだから。

リラがいると仕事にならない。郊外からの通勤が大変。だから、リラが疎ましいとか、いなくなってしまえばいいとか、そうすれば仕方ないとあきらめられる、自由になれる、楽になれる、などという無責任で自分本位なだけの考えにイライラが募った。まあ、その大事なものに気づくまでのお話なんだけど。

それにしても、終盤は気持ちのよい人のオンパレードでした。リラとやっと家族になった藍をはじめ、獣医の宮崎先生、タクシー運転手の斉藤さん、後輩の奈津美、本当の意味で人物を知る北條編集長、そして、浩介と。こういうご都合なら大歓迎。それにやはり、リラの存在がなんといっても大きい。そこにリラがいると思わせるような著者の文章力がすごいのだ。その一例を本分から引用して、終わりにしたい。

ほんの少しまえを行くあの子が、ときどき私を振り返る。
ちゃんといっしょにあるいてるよね? そう確認するように。
うん、一緒に歩いてるよ。 私は目でそう答える。
ああ、よかった。 そう言うように、あの子はまた
ときどき立ち止まりながらゆっくり進んで行くんです。
いつもと変わらない、いつもの散歩道。
《本文より》

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原田マハ
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    2008

12.09

「ぼくは悪党になりたい」笹生陽子

ぼくは悪党になりたいぼくは悪党になりたい
(2004/07)
笹生 陽子

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主人公は兎丸エイジ、十七歳。兎丸家は三人家族。母親のユリコは、いわゆる未婚の母。小学三年生の弟ヒロトとは異父兄弟。輸入雑貨のバイヤーをする母が二ヶ月間の海外出張に出かけ、エイジはいつものパターン通りに動きはじめた。掃除に洗濯、炊事に買い出し、風呂の湯沸しにゴミ出しにヒロトの世話にアイロンがけにちらし広告の赤札チェック。主要な家事のローテーションはばっちり頭に入っている。

だが、修学旅行を三日後に控えたその日、ヒロトが水ぼうそうで倒れた。隣のおばさんにサポートしてもらえるよう考えていたけれど、それはヒロトが元気な場合にかぎったお願いごとで、病気の子供を丸三日間も看てもらうとなると、話は別だ。そこで、電話台の上に置かれた緊急時用のアドレス帳のページをくった。これは母親が社会に出てからこれまでに培ってきた人脈が、ほぼ完璧に網羅されているのだ。そこで、家が近くて会社勤めをしていない男の人が真ん中あたりでみつかった。杉尾ヒデノリさんとの電話会談は、びっくりするほど早く終わり、一時間もしないうちにかけつけてくれた。

人選はなかなかのヒットと思われた。その杉尾さんがふとつぶやいた。「こんなに早く会えるとは思ってなかった。驚いた」と。幼なじみのモテ男こと羊谷はおたくゲームのヒロインに惚れてしまった。仮想空間の住人に負けた恋人のアヤは荒れ、ふっぷん晴らしに付き合ったエイジは、幼なじみの恋人とやっちゃった。万引き犯の濡れ衣を着せられたヒロトとは、兄弟愛が冷え込んだ。

気が小さくて、現実に流されていて、シングルマザーの長男としての自覚を持って、子供らしくない我慢をして、でも、自由奔放な母親と、その母親の血筋をひいた自由闊達な弟と、わけありな杉尾さん。ロリおた道に転んでも、ただでは起きない羊谷。生きたいように生きている周囲の人たちの中で、自分だけが貧乏くじをひいているのではないだろうか? ストレスの貯金が満期になったエイジは家出をすることに――。

あいたたたた、という痛さが面白い。真面目君が悪党になろうとしても、所詮悪党としての素質がない。上には上がいて、ただ痛い目に合うだけだ。だけど、彼の気持ちはすごくよくわかる。弱り目に祟り目とはよくあること。何もかもがやりきれなくて、ふとやさぐれてみたくなる時もある。だからといって、自暴自棄になってみても身の丈に合わない。これぐらいならかわいいものでしょ、反抗期としては。そういえば家出ってしたことはないな~。連続のお泊りは経験したことがあるけれど。

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笹生陽子
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    2008

12.08

「枝付き干し葡萄とワイングラス」椰月美智子

超短編を含む短編集 枝付き干し葡萄とワイングラス超短編を含む短編集 枝付き干し葡萄とワイングラス
(2008/10/21)
椰月 美智子

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「城址公園にて」「風邪」「夜のドライブ」「たんぽぽ産科婦人科クリニック」「プールサイド小景(仮)」「七夕の夜」「枝付き干し葡萄とワイングラス」「甘えび」「おしぼり」「どじょう」を収録した超短篇を含む短編集。

「城址公園にて」
実家に、昨日から兄の子どもが遊びに来ている。時間をもてあましていた万里子は、双子の姪たちを誘い、城址公園に向かった。母親も付いてきた。ツヨシに「離婚したい」と言われたのは、今年に入って一週間ほど経ったときだった。万里子は絶句して、二の句が継げなかった。結婚して五年目に入っていた。猶予期間は、自分を納得させるためだけに存在する。

「風邪」
三連休はのんびりと過ごそうと考えていた。夫はさっき、若い友人たちと一緒にスノーボードに出かけてしまった。小気味よい咳を何回かした。次の日、やけに寒気がしてくる。咳がとまらなくなってくる。頭がおそろしく重い。喉が痛い。物音で目が覚めた。夫が帰ってきたようだ。「洗濯物」と、ひとことだけ言うと、その声のひどさに二人とも驚いてしまった。

「夜のドライブ」
夜のドライブは、綾部夫婦にとって、比較的頻繁にするストレス解消のひとつだった。ハンドルを握った夫が、ほんの少し上気した顔で、今日の会社での出来事を話す。今度は妻が、今日、会社であった出来事を報告する。帰りの道中、彼女はドライブが終わることを残念に思い、夫は明日の仕事のことを思って、早く帰りたいと思う。

「たんぽぽ産科婦人科クリニック」
一年と三ヶ月前、ここで長男を産んだ。第二子を妊娠しているらしいと気づいたのは、ついおとといのことだ。すごく混んでいた。妙な違和感。待合室に、男が多いのである。象柄のトレーナーの男がよくしゃべっている。象妻が甲高い大きな声でかえす。象男の娘は、ちょこちょこと一人で歩いている。さりげなく象夫婦を眺める繭子だった。

「プールサイド小景(仮)」
彼女は、およそ五ヶ月ぶりにプールに現れた。どうやら今日は泳がないで、歩くだけにするつもりらしい。二十代前半と思われる女の子がいた。スポーツクラブではめずらしい、赤いビキニを身に着けている。係長という肩書がぴったりな感じの男がいた。準備運動している白パン男がいる。鍛えられた筋肉が隆々と動く。彼らを窺っている正体とは。

「七夕の夜」
四歳のかなえの日常は、大人たちによって支配されていて、もちろん、かなえは、それ以外になにかしらの手段、方法があるなんて知らなかった。隣町では、毎年恒例の七夕祭りが行われる。見せ物小屋に両親は顔を見合わせた。親子は結局、中に入ることにした。かなえはこの夜に、自分というものは自分でしかあり得ない、ということを悟る。

「枝付き干し葡萄とワイングラス」
それを知ったとき、妻はひどく混乱した。妻は、まず僕に平手打ちした。妻はひとしきり泣いた。「これからどうするの」「産むっていうんだ」妻は悲鳴をあげて、その女を罵倒した。そして、そこらへんにあるいろいろなものを僕に投げつけてきた。僕はふわふわ浮いてる気がする。確かに今は、あのかわいらしい娘にまいっていると思う。でもわからない。

「甘えび」
ことのはじまりは、歯ブラシだ。新しい歯ブラシを出し忘れていた。次はガサガサのバスタオルについて、湯飲みの茶渋について、子供たちの寝巻きについて、そして、クリーニングから戻ってきたスーツについて、また夫が声を荒げた。何様のつもりなの。私だって仕事持ってるの。もう我慢の限界。そうして、私たちの夫婦喧嘩は始まった。

「おしぼり」
睦美はなんだか飲みたい気分だったし、隆明は猛烈な勢いで腹が減っていた。睦美と隆明の夫婦は飲み食いに関しては正反対のタイプだ。そして、こういうときの助っ人役として、天野が登場する。天野は睦美の同級生だけど、今では睦美と天野より、隆明と天野のほうが仲がよい。そうして、満腹になった隆明のいつもクセが始まる。おとぼりをトントンと。

「どじょう」
白色のありきたりのセダンには、今日まで夫婦である一組の男女がのっている。これから、正式に届けを出すつもりでいる。それまで、好意的に感じていた妻の行動がある日突然、腹立たしいものに映る。そう思った自分をひどい男だと思ったし、そう思わせた妻は、もっと性質が悪いと思った。そうしてもう、二人が終わりに近づいていることを知った。

同時刊行の「みきわめ検定」の方が好きかも。著者曰く「みきわめ検定」は結婚前、「枝付き干し葡萄とワイングラス」は結婚後。こちらは主人公が大人なだけに近すぎてしんどさを覚えた。そんな中で好みだったのは、ただただ苦しんでいるだけの「風邪」と、ストレス解消なのか疲れるだけなのかという「夜のドライブ」と、人間ウォッチングが楽しい「たんぽぽ産科婦人科クリニック」と、子どもなりに悟りを得る「七夕の夜」と、自分の黒い感情に気づいてしまう「甘えび」と、トントンしたくなる「おしぼり」だった。あれ?向こうが良いといいながら、好みの作品が多いな。

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椰月美智子
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    2008

12.07

「ロードムービー」辻村深月

ロードムービーロードムービー
(2008/10/24)
辻村 深月

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誰もが不安を抱えて歩き続ける、未来への“道”。子どもが感じる無力感、青春の生きにくさ、幼さゆえの不器用……。それぞれの物語を、優しく包み込んで真正面から描いた珠玉の3編を収録。涙がこぼれ落ちる感動の欠片が、私たちの背中をそっと押してくれます。はじめましての方にも、ずっと応援してくれた方にも。大好きな“彼ら”にも、きっとまた会えるはず。冷たい校舎の時は止まる』から生まれた珠玉の短編集。《出版社より》

「ロードムービー」
三月二十三日。小学校六年生に進級する四月を目の前に、トシとワタルは家出した。ワタルの家に、一千万円が必要だった。そうしないと、ワタルの父が経営する工場がなくなるのだ。ワタルたち家族は田舎のおばあちゃんの家で暮らすことになる。トシの計画は、自分自身の身柄を人質に、医者の母さんと政治家のオヤジから身代金を要求すること。このままだと、次の春休みにはワタルがいなくなる。気の強いアカリが嫌うワタルと友達になったことで、トシはアカリとその取り巻きから執拗な嫌がらせを受けるようになった。だけど、トシはそれでもワタルと友達になれたことを後悔していなかった。ワタルはトシにとって一番の友達だった。

「道の先」
大学の掲示板に、塾講師募集の貼紙がされたのは三ヶ月前。バイトを始めて二週間が経過した頃だった。俺はバイト仲間と一緒に塾の学院長に呼び出された。大宮千晶のことだった。とても成績が良く、頭のいい子。物言いも大変大人で、クラスの中でも中心人物。その彼女に嫌われたことで、今まで学生のアルバイトが三人辞めているということだった。俺も理科と数学は受け持っていたが、特に困った生徒ではなかった。しかし、彼女は先生イジメを趣味にしているという。大宮千晶はクラスの中心人物にしてクラスの英雄。なぜか千晶に気に入られた俺は、彼女に呼び出されると断らず向き合う。俺は嫌と言わないし、受け入れる。それが俺だから。

「雪の降る道」
ヒロは時々、夢を見た。その子の名前も「ヒロ」という。隣町のひまわりの家という地域の施設で友達になった「ヒロちゃん」は、みんなのリーダーで自分の親友だというのが心強かった。そのヒロの大好きだった「ヒロちゃん」は、彼自身のお母さんに殺されてしまった。「ヒロちゃん」を失ってから、ヒロは何度も何度も嘔吐と発熱を繰り返した。ヒロはずっと泣いていた。ヒロが学校を休むとその度にみーちゃんがお土産を持ってやってきた。来なくてもいいのに。それがヒロの本音だった。そしてついまた、酷い言葉を投げかけてしまう。それでも明日になれば、彼女はやってくるんだろう。みーちゃんなんか、いなくなっちゃえ。立っていたみーちゃんの唇はバイバイと動いた。みーちゃんがいなくなった。


感想だけど、ネタバレありでいきます。未読の方はご注意を。


「ロードムービー」
アカリがどうしようもないぐらいムカついたけれど、その一方でトシとワタルが健気だ。そのトシがかくまってもらう先の目処にしたのが、オヤジと母さん両方の共通の親友、タカノのおじさんだ。本文ではカタカナのおじさんだけど、漢字にすると鷹野博嗣かな。そのおじさんの部屋にいたのは、ふわふわとした白いお菓子のような小柄な女の人。名前は出てこないけれど深月という名前だったりして。で、さばさばした独自の物言いをするトシの母さんは旧姓が桐野景子で、オヤジは生徒会でコンビだった諏訪裕二かしら。トシとワタルの友情にぐっときて、懐かしい面々の登場にわくわくして、ラストにはお得意の叙述トリックが炸裂。やられたー。

「道の先」
主人公の俺の名前が一切でてこないので、はじめは誰だか見当がつかなかった。読み進めると、危うい女の子ばかりを引き寄せてしまう人物だとわかる。そして他人を受け入れるだけの無責任な優しさに、片瀬充を思い出した。その彼を慕う女王様のような千晶もまた、そうとう危うい状態にあって、さりとてその手をとるわけでもない距離感がもどかしくもある。けれど、彼らしい成長が見えて、そこにじーんときた。それと美少女に言い寄られて身を崩さないなんて、とてつもない意思の人だと思った。そんな彼と留守電で連絡を取り合っていたのは佐伯梨香で、変わってないな~というのが微笑ましい。

「雪の降る道」
これは本編を読んでいると、さらにおおっとくるだろう作品。小学生の頃の鷹野博嗣と深月。幼なじみの二人。夜店でスガ兄に買ってもらった指輪を送るほどの仲。だけど、ヒロは親友の死を引きずって心を閉ざしてしまった。そんなヒロを元気付けようと見舞うみーちゃんに対して、強く当たってしまうヒロ。親友がいなくなった辛さもわかるけれど、ちょっとやりすぎじゃないでしょうか。自分はかわいそうだから許される、みたいな勘違いは読んでいてむずむずした。その一方でみーちゃんの健気さに胸を打たれる。本編では好きになれなかったみーちゃんだけど。それにしてもスガ兄こと菅原榊が男前だ。

辻村深月さんのサイン。

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辻村深月
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