--

--.--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

スポンサー広告
トラックバック(-)  コメント(-) 

    2010

04.30

4月に買った書籍

単行本
桐島、部活やめるってよ桐島、部活やめるってよ
(2010/02/05)
朝井 リョウ

商品詳細を見る

オー!ファーザーオー!ファーザー
(2010/03)
伊坂 幸太郎

商品詳細を見る

マドンナ・ヴェルデマドンナ・ヴェルデ
(2010/03)
海堂 尊

商品詳細を見る

主よ、永遠の休息を主よ、永遠の休息を
(2010/03/20)
誉田 哲也

商品詳細を見る


文庫本
猫にかまけて (講談社文庫)猫にかまけて (講談社文庫)
(2010/04/15)
町田 康

商品詳細を見る


ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
スポンサーサイト

お買い物
トラックバック(0)  コメント(0) 

    2010

04.27

「潮風に流れる歌」関口尚

潮風に流れる歌潮風に流れる歌
(2010/02/18)
関口 尚

商品詳細を見る

学校のクラスには、そのクラス特有の雰囲気というものがある。三年A組の雰囲気を作っていたのは二人の生徒だった。クラスの実質的な支配者である柳戸稜と、女子は貝原美玲が仕切っていた。このクラスにはいわゆる学校裏サイトがあった。トリプレアと呼ばれる掲示板で、夏休みのあいだに広まった。このトリブレアは謎だらけで、由来はわからないが、みんな利用していた。

その裏サイトで、かわいらしさを褒めちぎられていた楓が一転、クラスから空気同然のような扱いを受けるようになった。しかし、楓は以前となにひとつ変わらぬ態度で登校した。楓のその正しさが疎ましく思われて、拒否反応が起きたようだ。楓をずっと思い続けていたリッツこと律は…。彼の名前の由来は、自分を律することができる人間になるように、だった。

目立たないよう適当に過ごせればいいと思っていたが、勇気を出して行動したリッツ、勉強熱心な姿勢は変わらず、放課後は真直ぐ家に帰る楓、いつも自分の苛立ちを抑えることができず、わがままなクラスの女王である美玲、ラグビー部のキャプテンで、根が真面目な真吾、対等な楽園が欲しくて、裏サイトのトリプレアを作ったボク、クラスの実質的な支配者である柳戸。

ほとんどみんなが、裏サイトのトリプレアに振り回されている。ここで叩かれた者は、クラスのみんなの前では透明人間。裏のネット上では陰口の的。しかし、そのターゲットは、容易に変わる。みんなをそそのかして悪口を書かせることでも、その煽動していたことがばれると、誰よりもひどい罵詈雑言を浴びせられることにもなるのだ。ネットの匿名性と、集団による暴力。これがめちゃめちゃ怖い。

昔から、こういう裏サイトのようなやっかいなものはあった。自分の年代で言えば、それは授業中に回される小さく折り畳まれた手紙だった。書かれていた内容は、誰々の悪口であり、その人物を馬鹿にした内容だったように思う。今と変わらないかもしれないが、その狙われた本人は、その内容を知ることがなかった。裏サイトになって一番に変わったこと。それは、本人が、自分の悪口を直接見ることだ。これって、エグいよ。

そんな今風高校生のちょっとした群像劇だ。それは、今も昔も好まれるキャラは同じだ。リッツであり楓であり真吾だ。何がしかの弱さを持っているが、すごく優しいとか、すごく頑張っているとか、すごく朗らかだとか。一方で、そこに加わるのが、身勝手で自己中で、わがままで、それでいて寂しがりやで、家庭にも問題があるという美玲の存在も大きい。

でも最後まで彼女を好きになれない。リッツや楓や真吾のとった行動は甘すぎる、許せる許容範囲を超えているという読者がほとんどだと思う。というのも、自分がその一人だったからだ。その一方で、取り巻きを率いている側にも心の弱さがあると示唆している部分は面白かった。こういう強者にいる人も裏サイトに一気左右しているのだから。そしてあっと言う間に落ちるのだから。今も昔も一緒だけど、やはり今の方がエグいよ。ざまあみろ、だけど。

ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

関口尚
トラックバック(0)  コメント(0) 

    2010

04.24

「岸辺の旅」湯本香樹実

岸辺の旅岸辺の旅
(2010/02)
湯本 香樹実

商品詳細を見る

餡をこしらえ、さてこれをしらたまでくるもうと思ってふと顔をあげると、夫の優介が立っている。優介がいなくなって三年が経つ。ただし、夫の体は、とうに海の底で蟹に喰われてしまったという。髭も伸びる。好物のしらたまも食べる。仕草も癖も、なんら変わりはない。だけど、死んだということは事実らしい。ここまで歩いて戻るのに三年もかかってしまった。そこから、二人は旅に出る。それは、夫の優介が歩いて帰ってきた道を、今度は逆にたどる旅だった。

港町の寂れた商店街にある島影さんの新聞販売店、神内さんとその妻フジエさんの営むギョーザのおいしい中華料理店、星谷老人が栽培しているタバコ農園。行く先々で心温かい人々と交流しながら、二人はしきりに語り合い、それぞれの人生を振り返る。親とのあつれき、ピアノへの思い、夫の不倫。夫婦ふたりともお互いのこと、知らないのに知っているつもりになっていた。もっと前から知っていれば、知らないって知っていれば、何か変わったと思う? もっと前から…。

死んだ者どうしは会えない。死者は断絶している、生者が断絶しているように。死者は繋がっている、生者と。生者が死者と繋がっているように。それは多分、生きている者同士は、夫婦や子供でも、他者である、ということなのか。この夫婦は、死者となって語り合うことで、初めて繋がることができるのだ。彼らが行くところ、常に、水の音が聞こえてくる。運河の音、波の音、深夜電力を利用した温水器にお湯がぽたりぽたりと蓄えられている音、水量豊富な滝の音。それは、彼らが、三途の川の岸辺にいるからだろうか。

ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

湯本香樹実
トラックバック(0)  コメント(0) 

    2010

04.20

「掏摸」中村文則

掏摸掏摸
(2009/10/10)
中村 文則

商品詳細を見る

お前は、運命を信じるか? 東京を仕事場にする天才スリ師。彼のターゲットはわかりやすい裕福者たち。ある日、彼は「最悪」の男と再会する。男の名は木崎―かつて一度だけ、仕事を共にしたことのある、闇社会に生きる男。木崎はある仕事を依頼してきた。「これから三つの仕事をこなせ。失敗すれば、お前を殺す。もし逃げれば…最近、お前が親しくしている子供を殺す」その瞬間、木崎は彼にとって、絶対的な運命の支配者となった。悪の快感に溺れた芥川賞作家が、圧倒的な緊迫感とディティールで描く、著者最高傑作にして驚愕の話題作。《出版社より》

スリの場面は圧巻だ。そのスリリングな瞬間にゾクゾクする。だが主人公の僕はどこまでもクールだ。そんな僕が回想する。三本の指で財布を挟み、僕に後ろ手に渡し、僕が中身を抜いて彼に戻した時には、もう次の財布を取り、相手に視線を向けず腕を当て、またポケットに財布を戻す。僕の目に、彼の動きは、その人生の美の一つだった。その彼、石川は死んだ可能性が高く、東京に戻れば、自分も安全ではないはずだった。その大がかりで強引な事件を計画したのが、木崎という謎の男だった。

木崎が今また、眼前に現れた。木崎は三つのスリを僕に強要する。仕事に失敗すれば、僕を殺す。仕事を断れば、子供が死ぬ。その子供は、母親からスーパーで万引きの手伝いをさせられていた。その子供との交流は、裏社会を描いた作品の世界観の中で、一服の清涼剤のように爽やかだ。いつしか僕は、その子供に、自分の少年時代を重ねてみたりもする。子供の先行きだって心配する。それ故に、盗んだ金にも執着することがなかった僕の、足かせになっていた。

それまでは、幸福とは言い難い過去を持つが、ある意味で自由だった。スリの仕事だって、自らの積極的な意志でやってきた。貧しい者からは盗まないという制約も、僕なりの犯罪の美学だ。そこに、運命の支配者である木崎という絶対的な悪意が、僕をどっぷりと呑み込んでいく。ここでは、木崎という謎の男の人格や背景は重要ではない。圧倒的な悪意が、たまたま木崎という人の姿形をとっただけだ。主人公の僕の運命はいかに。緊迫感ある描写と疾走感あるストーリー展開とで、ぐいぐい引き込まれる読書となった。そして、妙に後を引く。


中村文則さんのサイン。

中村

他のサイン本はこちらをクリック。→「サイン本」

ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

その他の作家
トラックバック(0)  コメント(2) 

    2010

04.17

「小太郎の左腕」和田竜

小太郎の左腕小太郎の左腕
(2009/10/28)
和田 竜

商品詳細を見る

一五五六年。鉄砲が伝来して十三年。戸沢家が国人たちを従え、領地を膨らませた結果、同じく台頭著しい児玉家と、開戦の運びとなるのは、当然の成り行きであった。当主の利高はこの戦に出ていない。家督を継ぐ甥の図書に、戦の一切を任せていた。功名漁りの異名で称される林半右衛門は、図書の武将としての力量を買っていない。軽蔑さえしていた。案の定、敵の策にはまった図書は完全に包囲され、全滅は見えていた。卑怯を嫌う半右衛門は、わが身を省みず、混戦に踊り込み、図書を逃がすための殿軍を請け負う。

児玉家の軍勢の重囲を突破し、半右衛門主従は、山中に逃げ込んだ。そこで猟師の要蔵という老人と少年の小太郎に半右衛門は救われる。戸沢家が、大敗を喫してからひと月後、年に一度の鉄砲試合が開催された。孫の鉄砲試合出場を異常なまでに阻止しようとする要蔵だが、半右衛門の強い推薦で小太郎は出場を果たす。あのじい様は、何かを隠している。皆から阿呆扱いされているこの少年は、実は左構えの種子島を取っては誰もが及ばぬ絶人であったのだ。

戸沢家で万夫不当の勇士と評される林半右衛門、その半右衛門をいつまでも坊と呼ぶ養育係だった三十郎、そして児玉家で隠れなき勇士と名高い花房喜兵衛、その喜兵衛に雇われた伊賀忍者・無痛の萬翠、猟師の息子で餓鬼大将の玄太、さらに敵は身内にあり?と思わせる愚鈍な戸沢家の後継者である図書など、そのキャラは濃い。特にこの時代ならではの豪放磊落な武者ぶりは、なんとも清々しく、読んでいて胸が高まる気持ち良さだ。その一方で、無垢な少年・小太郎の影が薄い。

だが、待ちに待った小太郎の持つ鉄砲が火を放てば、その瞬間、わくわくするどころか、凍りつくようななんとも言えぬ痛さを胸に感じた。あっけなく人々が死ぬ。ボタンひとつでミサイルが飛ぶ、現代の戦争と重なったからだ。そして、小太郎が目覚めたことで、良くも悪くも物語は急速に展開してゆく。小太郎という、くじを引いた半右衛門はババだったのか。漢(おとこ)半右衛門を贔屓だったせいか、そんなことを思ってしまった。

そして迎える結末は…、武に生きるおとこ同士は清々しい。敵味方を超えたやり取りに感動する。だが、この作品の問題児となる小太郎の行方がなんとも…。ありといえば、ありだが、なんとなくすっきりしない。どうしても鉄砲という飛道具が卑怯に思えてしまうからだ。戦国エンタメとしては面白かった。ただ個人的には、小太郎の扱いがなあ。一番の被害者ではあるが、そこにもやもや感が残ってしまう読書となった。


和田竜さんのサイン。

和田3

他のサイン本はこちらをクリック。→「サイン本」

ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

その他の作家
トラックバック(2)  コメント(0) 

    2010

04.14

「SOSの猿」伊坂幸太郎

SOSの猿SOSの猿
(2009/11/26)
伊坂 幸太郎

商品詳細を見る

遠藤二郎は家電量販店の店員で、一方で、エクソシスト=悪魔祓いのようなこともモグリでやっている。誰かが悲鳴を上げていたり、救いを求めて手を伸ばしていると、助けてあげるべきだ、と思ってしまう。そういう損な性格なのだ。だから悪魔祓いを素人のくせにやろうとしている。遠藤二郎は母親同士が友人の辺見のお姉さんから相談を受けて、ひきこもりの息子の悪魔祓いを依頼される。困っている人を見過ごせない性分の遠藤二郎は、そのひきこもりの眞人青年の下へ向かう。

五十嵐真は、いつだって客観的に、効率的に、論理的に物事を捉え、選択をし、行動をしてきた。時折、現実とは思えない出来事に遭遇することがあった。そのことについて、自分のストレスやコミュニケーションに対する警戒心が、脳の中で、現実の光景を歪ませているのではないか、と五十嵐本人は解釈している。その日、取引先の証券会社が誤発注を起こした。二十分間で三百億円を失った計算らしい。向こうはそのミスの原因を、うちのシステムのせいにしたがっているという。五十嵐真はその原因の聞き取り調査をはじめる。

交互に語られることになる二つの平行した物語は、一見何の関係もなさそうで、でも両方のストーリーに突然、孫悟空が割り込んでくる。この孫悟空は何ぞ? 読者は後半になるまで頭に?マークを浮かべたまま読むことになる。実はこの二つの物語は繋がっていて、さらに、さらっと描写された事件や事故にも繋がっていて、読み進めればこれも伏線だったのか、あれも伏線だったのか、と読者は著者の仕掛けの数々に気づくことになるだろう。そう、これはまさに、お釈迦様の手のひらの中の孫悟空状態なのだ。

一方で、悪魔祓いや心理学など、ちょっと難しい説明が眠気をぐうっと誘うことになった。だが、二郎と辺見のお姉さんの母同士の素人漫才や、ゲリラで歌っている雁子さんや金子店長が見せるユーモアが、その眠くてたまらない状態をくすっと笑わせてくれて、ふと正気に戻してくれた。もちろん、これまでと同様に、世間の常識に対する伊坂の毒も健在だ。しかし、ここ数作続いている新境地と同じく、快作と呼べるようなエンタメ性はない。その部分は、読者の好みによって、好き嫌いが別れるだろうな。


伊坂幸太郎のサイン。伊坂のサインは三冊目みたいね。

伊坂3

他のサイン本はこちらをクリック。→「サイン本」

ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

伊坂幸太郎
トラックバック(2)  コメント(5) 

    2010

04.10

「インディペンデンス・デイ」原田マハ

インディペンデンス・デイインディペンデンス・デイ
(2010/02/20)
原田 マハ

商品詳細を見る

この物語の主人公たちは、今日すれ違った、偶然隣り合わせた、あの人の物語かもしれません。女性たちの成長と再生を描いた短篇集。《出版社より》

女性を主人公にした短編集でありながら、一つ前の作品で登場した脇役が次の作品では主人公になっているという、リレーのようにバトンをパスしてゆく連作短編になっている。父の元から独立したい娘、だんなとは死別した未亡人、母が経営したスナックを継いだ娘、クラスのいじめを知った女教師、退職に追い込まれた元人気レポーターなど、彼女たちは日常の中にストレスを抱えている。あるいは友人や恋人、家族の問題で疲弊している。

彼女たちと境遇は違えども、同じ経験をしたとか、周囲にそういう人がいたとか、それは誰の身にも起こりうる事柄だ。そして軽いものから、結構しんどいものまで、そのバリエーションは豊富だ。そこに原田風の優しいスパイスが加わることで、彼女たちに明るい転機が訪れる。他の作家さんなら、その荒っぽさから豪腕ぶりが目についたかもしれない。だが、文章が端麗な原田風はとても自然だった。

ほろっとくるもの、ぷっと噴いてしまうもの、じーんとくるもの、ドキッとするもの、ニタっと笑ってしまうもの、あるあると膝を叩くもの、どれもこれも原田さんらしい優しさに溢れていた。灰色から黒色になりがちな今の自分の心をさっと透明に塗り変えて癒してくれる。でも、もったいないと思うこともあった。短編のひとつひとつは完成度が高い。しかし、いい話でもずらっと並ぶと、お腹いっぱいになって。

一日に二、三編ずつ読めば、元気のもとになるのかもしれない。でも自分のようにまとめて読むと、食傷気味になって、ひとつひとつを大事に読まずに途中から流し読みしてしまう可能性も。これには失敗したと反省。とびきりの心打つ短編と出会うたびに、浅く読んでいた部分を二度読みするはめに。それにぐるっと回って、というおまけもあって。図書館で借りたけど、これは買って読むべき本だと思った。買おうかな~。

ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

原田マハ
トラックバック(0)  コメント(2) 

    2010

04.07

「インビジブルレイン」誉田哲也

インビジブルレインインビジブルレイン
(2009/11/19)
誉田 哲也

商品詳細を見る

警視庁刑事部捜査第一課殺人犯捜査第十係。姫川令子はその第二班、通称「姫川班」の主任を務めている。東中野にあるマンション一室にて、男の惨殺死体が発見された。マル害氏名、小林充、二十九歳。大和会系、石堂組傘下、仁勇会の下部組織、六龍会の構成員だった。捜査本部は小林充についての調べを進めていたが、これといった成果はあげられずにいた。そんななか、玲子たちは、上司である今泉係長から奇妙な指示を受ける。捜査線上に「柳井健斗」という名前が浮かんでも、決して追及してはならない、と。

謎の女からのタレ込み電話。小林殺しの犯人は、柳井健斗、二十六歳。九年前に起こった事件の被害女性、柳井千恵の弟が、柳井健斗。一方、事件の重要参考人だった父親、柳井篤司は、警察署内で警官から拳銃を奪って自殺。最終的に検察と警察が選んだのは、被疑者死亡により不起訴という幕引き。この事件で、当時の刑事部長を始めとする、捜査責任者は全員更迭。拳銃を奪われた巡査部長は、勤務中に交番で首吊り自殺をしていた。そして、今回殺された小林充は、千恵の元恋人だった。

石堂組若頭補佐の牧田勲。柳井健斗とは、単なる情報屋と客以上の付き合いをしてきたつもりだった。ある意味、信頼もしていた。その柳井が飛んだ。石堂組長の病状は思わしくない。そんなときに、共に石堂組を支え、跡目筆頭と目されている若頭で仁勇会組長の藤元が、おかしな動きを見せていた。柳井健斗は、仁勇会絡みのネタを握っている。それを上手く使えば、いま石堂組が抱えているゴタゴタを、綺麗さっぱり掃除することも不可能ではない。その肝心の柳井が、姿をくらましたのだ。

女刑事の姫、ヤクザの牧田、謎の男・柳井。この三視点でもってストーリーは展開し、やがて姫川は牧田をヤクザと知らずに出会い、惹かれていく。決して幸せな結末を迎えられるはずはないと知りつつも、つい姫と牧田の仲を応援したくなる。また読者をそう思わせる禁断のデート場面が…。それらと共に、少しずつ現在の事件と過去の事件の本質が見えてくるのだ。今回で第一シリーズは終わりなのかしら。そういうエンディングだったので、これには正直驚いた。でも帰ってくるんだろうな。姫は人気者だから。


単行本と文庫本を併せて、これで五冊目となる、誉田哲也さんのサイン。

誉田2

他のサイン本はこちらをクリック。→「サイン本」

ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

誉田哲也
トラックバック(3)  コメント(2) 

    2010

04.05

「青森ドロップキッカーズ」森沢明夫

青森ドロップキッカーズ青森ドロップキッカーズ
(2010/02/01)
森沢 明夫

商品詳細を見る

地下一階、地上三階建ての巨大複合スポーツ施設。青森市スポーツ会館の一階にある多目的運動場の床には、厚さ約二五ミリのアイスがびっしりと張られていた。その透明なアイスの表面下には、赤と青の二色で描かれた円が透けて見えている。日本では数少ない、カーリング専用ホールだ。初老のアイステクニシャン・岡島と弟子の桃子が四週間かけて作ってきた今シーズンのアイスが完璧に仕上がっていた。

柚香がカーリングを始めたのは、大学生だった二十歳の頃で、現在は二十五歳になり、図書館で働きながらカーリングを続けている。柚香と双子の妹の陽香はいま、青森の女子カーリング界のホープになった。今度、長野県から日本のトップレベルの選手二人を招き入れて、青森で全国優勝を狙えるくらいの強い女子チームを作ろうっていう計画が協会にあった。金城と金田の技術レベルは、沢井姉妹よりもかなり上だった。姉妹は、ゴールデンコンビと師弟関係になるのだった。

宏海と雄大は幼なじみで、六年生まで親友だった。宏海に対するいじめは中一から始まり、雄大は確かに猪瀬たちのグループにいたが、でも、宏海に直接手出しをしたことはなかった。いつも少し怒ったような顔をして、グループの連中にいじめられている宏海をじっと眺めているのだった。元親友の目の前で、やりたい放題のいじめを受ける。この恥辱と屈辱は、宏海がいちばん受け入れがたい感情だった。

そんな彼らはカーリングを通して出会い、やがてチームを結成する。青森ドロップキッカーズ。彼らのモットーは、いつも楽しく真剣に! また、カーラーは、どんなことがあってもカーリングの精神に則って試合をしなければならない。カーラーは、不当に勝つなら、むしろ負けを選ぶ。カーラーは、ルール違反をしたとき、自ら申告する。カーラーは、思いやりを持ち、常に高潔である。カーリングとは、己に厳しい紳士なスポーツなのだ。

いわゆるYAのど真ん中をいく作品だと思う。諦めや挫折という、停滞した負の日常から脱却し、仲間と共に前を向いて歩き出す。そして、カーリングという旬だけどいまいちルールの判らないスポーツを交えた一つの作品に仕立て上げられている。若者たちの成長物語、カーリング小説、どちらも爽やかで、読みやすい作品だと思った。ただ、印象に残るかと言うと…。それと読むタイミングを間違ってしまった。これは五輪前でしょう。

ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

その他の作家
トラックバック(1)  コメント(2) 

    2010

04.04

「船に乗れ! 3 合奏協奏曲」藤谷治

船に乗れ! (3)船に乗れ! (3)
(2009/11/05)
藤谷 治

商品詳細を見る

チェロを弾くことは、あれ以来、日を追うごとにつらくなっていた。「あれ以来」というのが、どの時点をさすのか、ドイツから戻って以来なのか、それとも南のことからなのか、それとも金窪先生の事件のあとなのか、自分でも判らなかった。だんだんと、楽器が重く感じられるようになったのだけは確かだった。付き合っていた南の妊娠、それを告げずに彼女は去り、その南の親友だった鮎川から、僕はすべての事情を知った。

しかもそれは同じ日だったのだ。鮎川から南の話を聞いたのと、僕が金窪先生にでたらめな問いかけをしたのとは、ほんの二時間ほどのあいだに起こったことだった。金窪先生は僕の馬鹿みたいな問いかけに誠実に答え、その誠実さに僕は、勝手に屈辱を感じ、そのせいで理不尽なほど卑劣なことを、金窪先生にしてしまった。僕のチェロは、自分でもどこか機械的に音を出しているのが判った。前へ向かっていく力が、決定的に失われていた。

最高学年になったサトルたちだが、才能豊かな新入生たちが入学してくる。しかも新入生は全員が女子だったのだ。新生学園は、三流から一流の音楽学校へと変化を始めていた。さらにサトルは己のチェロリストとしての限界を知ってしまう。チェロを辞める、音楽の道には進まない、ということは、自分の進路を、まったく新しく決めなければならないということだけれど、同時にチェロという重荷を下ろしたことでもあるのだ。

作品のテーマは、音楽と恋と友情と哲学。主人公の津島サトルは、挫折を味わい、罪を告白し、懺悔することによって、青春時代のいい思い出として昇華させていく。また大人になったサトルの回想形式にすることによって、青春時代の傷ついた自己再生物語にもなっているのだ。文化祭でのミニコンサート、今年のオーケストラの発表会、楽器専攻の生徒が全員参加した「ハフナー」の第一楽章、そんな彼らのコンサートシーンは感動的だ。そして圧巻だ。

音楽はサトルたちを救おうとしていた。その明るさで、その活力と律動で、そしてその美しさで音楽は、立ち直らせようとしていた。彼らはそんな音楽に触れた。伊藤は、鮎川はそれに触れた。サトルも触れた。南も確かに触れた。全員が協奏し、同時に独奏し、そして合奏していたのだ。青春の喜びも苦悩も全てが、ひとつの音楽となって美しい音楽を見せてくれた。音楽の力って偉大だ。本書を読んでつくづくそう思った。素晴らしい。


三部作のすべてをサイン本で揃えちゃった。
藤谷治さんのサインです。

ふじたに3

他のサイン本はこちらをクリック。→「サイン本」

ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

藤谷治
トラックバック(0)  コメント(0) 

    2010

04.03

3月に買った書籍の代金

個人メモです。


ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
 ...READ MORE?

自分への戒め
トラックバック(0)  コメント(0) 

    2010

04.02

3月に買った書籍

ピストルズピストルズ
(2010/03/24)
阿部 和重

商品詳細を見る

カルテット!カルテット!
(2010/01/21)
鬼塚 忠

商品詳細を見る

僕たちのプレイボール僕たちのプレイボール
(2010/03)
鬼塚 忠

商品詳細を見る

甘い水 (真夜中BOOKS)甘い水 (真夜中BOOKS)
(2010/03/08)
東 直子

商品詳細を見る

コロヨシ!!コロヨシ!!
(2010/02/27)
三崎 亜記

商品詳細を見る

光媒の花光媒の花
(2010/03/26)
道尾 秀介

商品詳細を見る

完全犯罪研究部 (講談社ノベルス)完全犯罪研究部 (講談社ノベルス)
(2010/03/05)
汀 こるもの

商品詳細を見る

想い雲―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)想い雲―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)
(2010/03)
高田 郁

商品詳細を見る

QED 河童伝説 (講談社文庫)QED 河童伝説 (講談社文庫)
(2010/02/13)
高田 崇史

商品詳細を見る

蒼きサムライ(MF文庫ダヴィンチ) (MF文庫ダ・ヴィンチ)蒼きサムライ(MF文庫ダヴィンチ) (MF文庫ダ・ヴィンチ)
(2010/02/23)
福田栄一

商品詳細を見る

λに歯がない λ HAS NO TEETH (講談社文庫)λに歯がない λ HAS NO TEETH (講談社文庫)
(2010/03/26)
森 博嗣

商品詳細を見る


ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

お買い物
トラックバック(0)  コメント(0) 

 |TOP
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。