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    2010

06.30

6月に買った書籍

天地明察天地明察
(2009/12/01)
冲方 丁

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あられもない祈りあられもない祈り
(2010/05/13)
島本 理生

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鳩とクラウジウスの原理鳩とクラウジウスの原理
(2010/04/29)
松尾 佑一

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貴族探偵貴族探偵
(2010/05/26)
麻耶 雄嵩

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春狂い春狂い
(2010/05/11)
宮木 あや子

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    2010

06.29

「オール・マイ・ラビング」小路幸也

オール・マイ・ラビング 東京バンドワゴンオール・マイ・ラビング 東京バンドワゴン
(2010/04/26)
小路 幸也

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文明開化に関する些事問題なら、如何なる事でも万時解決。下町の老舗古書店「東京バンドワゴン」、堀田家の家訓だ。この家訓があるからなのか、今回も様々な問題が堀田家に集まってくる。でも、堀田家はマイペースだ。いつものように上座に勘一がどっかりと座り、その正面には我南人。そして店舗側に花陽と研人と青とマードックにかずみちゃん。縁側の方に紺と亜美さんすずみさん。かんなちゃんと鈴花ちゃんはそれぞれお母さんの膝元でご機嫌だ。全員揃ったところで、皆で「いただきます」。恒例の朝ご飯で物語が始まる。

「夏 あなたの笑窪は縁ふたつ」
何やら堀田家は忙しい。常連でIT会社社長の藤島が、堀田家の隣の土地にクラシカルなアパートを建設した。そこに入居するのは、新婚の藍子さんとマードック、そして終戦当時に堀田家で暮らし、勘一にとっては妹のようなかずみちゃん。そんな引越し騒ぎの古書店の手伝いに借り出されたのは、亜美さんの弟の修平さん。彼は何やら道ならぬ恋をしているらしい。そしてあるはずがない百話目があらわれた古い和綴じの怪談本の謎。

「秋 さよなら三角また会う日まで」
朝ご飯も終わり、ガラス戸を開けて外に出ると、玄関先に〈捨て猫〉と書かれたダンボールの箱が置かれていた。箱の中は、猫の本ばかりだった。次は〈捨て犬〉と書かれた段ボールが置かれていた。案の定、中身は犬ではなく古本だった。問題は、誰が、何のために。その一方で、大手の新聞記者と役人が、東京バンドワゴンについての話をいろいろ訊いて回っているらしい。

「冬 背で泣いている師走かな」
紺の大学時代の恩師であり、また紺をその大学の講師に推薦してくれた百々先生が、蔵書の保管場所がなくなるからと、紺を訪ねてやってきた。そういえば、紺が講師を辞めた理由を、家族の誰もが聞いたことなかった。一方、藤島は秘書の永坂さんの想いに応えられず、永坂さんは会社を辞めてしまった。その永坂さんのことを好きなのは、藤島のパートナーの三鷹。そんなわだかまりを抱えた一同が、堀田家のクリスマスパーティーに集う。

「春 オール・マイ・ラビング」
日本を代表する大女優で、青の産みの母である池沢百合枝さん。その池沢さんが〈藤島ハウス〉の空き部屋に入居できないかと言ってきた。それは、我南人の手術がきっかけになったのかもしれない。我南人の手術は無事に成功し、それまでと変わらずに毎日を過ごしている。ただ、やはり歌はまだ唄えないでいた。しばらく経ったある日、我南人を訪ねて因縁あるハリーが訪ねてきた。世界的なミュージシャンであるキースの手紙を携えて。

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小路幸也
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    2010

06.26

「ボーダー」垣根涼介

ボーダー―ヒートアイランド〈4〉ボーダー―ヒートアイランド〈4〉
(2010/04)
垣根 涼介

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三年前、カオルは一人になった。カオルが十六のとき、アキと出会った。渋谷で「雅」というチームを結成し、ファイトパーティーを運営した。二年間で稼いだ金は、二人分で、一千六百万円。アキは、チームの仕切り以外はすべてをカオルにまかせ切っていた。当然、収入の管理もカオルがやっていた。半額の八百万を、アキの口座に振込みを済ませた翌日、PCにメールが入っていた。「ありがとう。元気でな」これ以降、アキからの連絡はなかった。三年の月日が経ち、カオルは東大生に、アキは裏金強盗のプロフェッショナルになっていた。

やや気になるクラスメイトというのが、カオルにもいる。中西慎一郎だ。二人はお互いに何かを感じあう。自分と同じように過去に何かあるのではないかと。その中西がカオルを唖然とさせる話を持ってきた。義理の妹に誘われて見に行った殴り合いのイベント。「雅」の名を騙った偽者たちが、カオルたちメンバーの名前まで使って、ファイトパーティーを開いていたのだ。三年前のあの事件。永遠に封印したはずの事実。しかし、それが掘り起こされる可能性が微塵でもあるのなら、そいつらは葬らなくてはいけない。カオルはアキに接触するが―。

あっという間に読み終えてしまった。それくらい、このシリーズには思い入れがあるし、その過激さがツボだ。しかし、今回気づいたことがひとつある。それは作品のサブタイトルだ。ヒートアイランドⅣとある。確かに四冊目だ。だが、二作目の「ギャングスター・レッスン」にも、続く「サウタージ」にも、そのようなサブタイトルはなかったはずだ。確かに前からシリーズ名があった方が親切だと思っていたが、何故いまさらなのか。内容とは関係ないところで、ちょっとひっかっかりを覚えた。

そうしたシリーズものでありながら、もうひとつの作品とコラボしているのにも、垣根ファンなら気づくことだろう。その作品とは、デビュー作「午前三時のルースター」だ。はっきり言って、内容はほとんど覚えていなかった。だが、過去語りという形式で、そのストーリーのほとんどが読めてしまうのだ。これは既読の人にとっては親切だが、まだ未読の人にとってはネタバレでしかない。これってどうなんだろう。そこにも少しひっかかりを覚えた。

とは言うものの、作品自体はすごく面白かったし、大変満足のいくものだった。アキとカオルの再会に、柿沢と桃井の渋い大人たち。カオルの同級生として登場する中西慎一郎に、血の繋がらない妹のアキラ。このじゃじゃ馬にはイラッとくることしばしだが、余計なことに興味半分に首を突っ込んだせいで、裏家業の大人に痛い目に合わされることになる。そこはおもいっきり溜飲がさがった。そして「雅」のワンナイト復活パーティーに胸が熱くなった。「ヒートアイランド」ファンなら読むべし。

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垣根涼介
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    2010

06.21

「星がひとつほしいとの祈り」原田マハ

星がひとつほしいとの祈り星がひとつほしいとの祈り
(2010/04/15)
原田 マハ

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20代から50代後半まで、それぞれの世代の女性が様々な試練や人々のあたたかさに触れる。娘として母として、女性が誰でもむかえる旅立ちのとき、人生の旅程を指し示す七つの物語。電撃が走るような作品はないが、なんとなく、じーんとくる。こういう積み重ねもありだ。個人的に好きだった作品は、「斉唱」「長良川」「沈下橋」の後半三作品だった。


香澄の職場は小さな広告プロダクションだった。グラフィックデザイナーを志して二年目。妊娠二ヶ月だった。彼は大手広告代理店のアートディレクター。彼には妻子がいた。香澄と結婚することなど毛頭考えていない。もちろん、香澄もそれを望んだわけではないけれど。香澄は産婦人科で女子高校生と、出口で彼氏らしい少年と出会う。(「椿姫」)

日本を離れてから三年。その間、ひかりは一度も母のもとへ戻ることはなかった。日本映画界不世出の女優、堂本あかりの娘、という立場から、できるだけ遠いところへ行きたかった。一方で、父の記憶は何ひとつない。その母が亡くなった。末期癌だった。母の最期の願い。それは遺骨を母の生まれ故郷に連れ帰ることだった。(「夜明けまで」)

世の中、自分の意のままに動かない事はあまりない。いつからか、売れっ子のコピーライターになった文香は、そんな風に考えていた。恋愛以外は。上司との不倫旅行に馬鹿馬鹿しく思い、ひとり松山までやってきた文香は、ホテルでマッサージを頼んだ。そこでマッサージの老婆から語られる、忘れることのないひとりの女性の話。(「星がひとつほしいとの祈り」)

ハグこと波口喜美と、ナガラこと長良妙子は、大阪の大学時代のゼミ仲間だ。三十六歳になったふたりは、この五、六年のあいだ、日本中のあちこちへ女ふたりで旅をしている。今回もそうだ。今日の予定は、半日で白神山地を回るガイド付きツアーだった。このツアーの中に、ハイヒールでスーツ姿という若い横柄な美女が参加していた。(「寄り道」)

いつからか、娘の唯は、意思表示をしないようになっていた。その娘から、唐突に誘われたのだ。旅行するから、ついてきて。親同伴の体験学習だった。すぐに、体験学習を学校に申し込んだ。場所は新潟県の佐渡だった。どういうわけか、娘は佐渡にこだわった。母の梓は初めて知った。娘がトキに興味を持っていることを。(「斉唱」)

尭子は、一年前、夫と長良川の鵜飼見物に来た。夫を喪くして半年。今回、尭子は娘の麻紀と婚約者・章吾の三人でやって来た。尭子が芳雄と見合い結婚したのは、二十五のときのことだ。その倍の人生を生きてきて、二十五歳になったばかりの娘が嫁ぎゆくのを、いま、不思議な心持ちで見守っていた。(「長良川」)

多恵は四万十川のほとりの集落で、食堂「しまんと」で働き、小さな畑を耕して、ひとりほぼ自給自足の生活だ。多恵はかつて、人気歌手・阿藤由愛の継母だったことがある。ほんの五年前のことだ。まがりなりにも「娘がいた」唯一の日々だった。由愛が大麻に手を出して、逮捕状がでた中、由愛が内緒で帰ってきた。(「沈下橋」)

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原田マハ
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    2010

06.20

「オカルトゼネコン富田林組」蒲原二郎

オカルトゼネコン富田林組オカルトゼネコン富田林組
(2010/03)
蒲原 二郎

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全国お馬鹿大学番付・東の横綱にランクされる大学卒業の俺が、東証一部上場の大企業、天下の大手ゼネコン、富田林組に入社できたのは奇跡としかいいようがない。いや、こうして一部上場企業にちゃんと入社できたんだから大したもんだ。周りからはバカバカと言われ、俺自身も内心実はそうなんじゃないかと思っていたけれど、やっぱりそうじゃなかった。俺の未来は前途洋々だ!……それがかれこれ三年前の話だ。

俺が配属されたのは庶務二課資料室、通称「調査部」だ。ボスと呼ぶことを強要する大仏そっくりの部の主は鬼頭部長。課長は元自衛官の猛者で軍曹と呼ばれている。顧問弁護士を務める先生は、七十二歳の枯れたおじいさん。東大卒のオタクと呼ばれるエリートは、なんだかわからないがすごい人らしい。俺の教育係になったのはホストこと北澤先輩。部の誰もが恐れる超絶美人の柳原さん。そして、俺こと田中たもつ。

調査部の業務は二本の柱でなりたっている。一つは「自衛業の方々」関連の秘密施設建設の業務、もう一つは「鎮護ドーム」という名のオカルト施設関連の業務だった。我々の任務は、問題が起これば調査して障害となる問題を解決すること。それが化け物や怨霊であったとしてもだ。南無……。嗚呼、神様でも仏様でもなんでもいいです。俺を、俺を、この会社からリストラしてください!

万城目を生んだ賞だから注目していたが、その後の受賞作はまあ……。あと十歳若ければ、これをさらに愉しむことができたのかもしれない。笑える部分はめちゃめちゃ笑えた。その笑いは、ツボに嵌まったと言える代物だった。我慢できずに思わず吹き出してしまう場面もあった。そんなパワーがある一方で、そのテンションの高さに疲れたのも事実だ。ギャグ漫画を文章に。そんな一冊だった。

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    2010

06.19

「さびしい女神‐僕僕先生‐」仁木英之

さびしい女神―僕僕先生さびしい女神―僕僕先生
(2010/04)
仁木 英之

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美しい少女姿をした仙人の僕僕先生。ひょんなことから彼女の弟子になったぐうたら息子であった王弁。痩せて所々毛も抜けくたびれた馬に見える天馬の吉良。皮一枚の妖である薄妃。暗殺組織胡蝶房から脱走した元殺し屋の劉欣。大陸を一路南下する旅を続けていた僕僕一向は途上で、双子の飛虎兄弟を助け、そして、苗人の内紛と胡蝶房からの襲撃に巻き込まれ、操られていた水晶の蚕嬢をつれて、共に海に逃げ出したのである。

行き着いた土地は乾いていた。水が豊富な苗族の国を襲う謎の旱魃。どうやら原因は、蚕嬢の脱走にあるらしい。巫女に選ばれた少女はお社から逃げて神さまの怒りを買った。その呪いを受けて、少女は蚕の姿になった。しかも国は干からびて、六合峰を隔てた峰西と峰東の国は戦争一歩手前になっていた。それは、乾きを統べる最強最悪の女神、魁の封印が解けたせいで、六合峰の周囲に旱が広がり、水源が涸れつつあった。

封印が解けた魁は天地に害をなすことを望んでいなかった。誰も傷つけたくない。誰も苦しめたくない。だがその力はあまりに強大で、そこにいるだけであたりを災厄で包んでしまうのだ。さびしがりの魁が寂しい思いをしないで、それでいてみんなも旱に苦しまないような方法があるはず。なぜか引き止める僕僕先生を振り切って、解決策を探る王弁くんは、魁を救う手がかりを求め、星の海の彼方へと旅立つのだった。彼が見るのは神仙が争う太古の幻、そして……。

シリーズ四作目は、デビュー作以来の長編作品。あれ、先生はどこへ?! 先生の登場は物語の冒頭と終盤ぐらいで、今回は王弁くんと天馬吉良の大冒険がメインになっているのだ。先生のいない旅先では、もちろんたくさん大変な目に遭うことになり、今までのような頼り気質ではいられない。そして、ほとんどストーリーにからんでくることがない先生だけど、古の神々の戦いの中にその姿が垣間見えたりして。これにはちょっとドキドキ。でも当の王弁くんはそれに気づいていない低落で。

とは言うものの、舞台はこれまでになくスケールアップしている。そしてメインキャラたちの今後のスポットの当て方にも益々気になるようになった。元ニートである王弁くんの成長。少しだけ明かされた先生の語られない過去。饒舌になった吉良。失恋の痛手から復調しつつある薄妃。人としての感情を持ちはじめた劉欣。そして蚕嬢の今後。王弁くんの恋は期待できないけれど、そのピンクの煩悩とそれをいなす先生とのやり取りはまた見てみたい。今回はそれがほとんどなかったのが唯一残念なところだった。さて、次は何処へ。そして、カムバック、ピンクの煩悩!

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仁木英之
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    2010

06.13

「あのとき始まったことのすべて」中村航

あのとき始まったことのすべてあのとき始まったことのすべて
(2010/03/26)
中村 航

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営業マンとして働く僕は、今夜、仕事が終わってから、中学の同級生の石井さんと会う約束をしていた。彼女に会うのは中学を卒業して以来で、ちょうど十年ぶりということになる。あの頃、僕らの日々は、コップの中のカオスのように揺らいでいた。不良はワルぶり、おしゃれさんは前髪を整え、普通の者は背伸びをし、面白男子はおどけた。部活小僧やスポーツガールは基礎体力を伸ばし、サブカル者やガリ勉君は己の道を行く。男子と女子は、一つの箱の中で、沸点を忘れた液体のようにもみあっていた。

僕は多分、普通の男子だったと思う。ちょっと面白男子寄りで、スポーツ方面にも足を突っ込み、不良の分野にもほんのちょっとだけ係わり、ごく稀にガリ勉軍団にも顔をだし、サブカル者を遠目に眺める。休み時間には隣の席の女子を笑わせる。笑わせるというのは例えば、毎日机を寄せ合って給食を食べていた石井由里子さんだった。昨日まで思い浮かべることのできなかった中学時代の思い出は、当時の面影を残す石井さんを目の当たりにすれば、十年の時を超えて清らかに甦ってくる。

毎日一緒に給食を食べていた岡田くんと石井さんと柳くんと白原さんは、修学旅行でも同じグループだった。班行動では、四人でいろいろな場所を巡る。こういう旅行だって、何かを含む物語で、またいつか、何かに含まれる物語になる。そしてそれぞれの思いを秘めて別れとなった卒業式。やがて十年ぶりに再会を果たし、酔った二人は、中学を卒業するときに書いた寄せ書きを探しに、僕の部屋に手をつないで向かうのだが……。甘酸っぱくて、切なくて、微笑ましくて、優しい気持ちになれるラブストーリー。

文句なしのハッピーエンドではなく、いい意味で裏切ったな~、という展開が面白かった。また、作中に出てくる言葉遊びも著者らしい軽妙なテンポを作っていたように思う。仲良し四人組のそれぞれにおける距離感もなるほどと思わせるものがあり、それに仕事の先輩の門前さんもいい人で、読んでいて嬉しくなるエピソードばかりだった。作品タイトルの「あのとき始まったことのすべて」が示す通り、もうあのときには戻れないけれど、素敵な思い出はこれからも増えていくのだろうな。そう思えるキラキラとした一冊だった。

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中村航
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    2010

06.12

「ストロベリー・ブルー」香坂直

ストロベリー・ブルーストロベリー・ブルー
(2010/03/26)
香坂 直

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デビュー作の「走れ、セナ!」、その次の「トモ、ぼくは元気です」。この二冊を読んで次回作の期待が高いまま、延々と待たされたことになる。そして、今回が待ちに待った三作目。なんて胸にキュンとくる作品なんだろう。主人公は、同じクラスの中学二年生の男女五人。自分で自分に思うこと、他人から見た自分、聞こえてくる噂。

まだ中学生の彼らは、自分の気持ちを持て余している。大人になれば、ちっぽけな。でも彼らにすれば夜も眠れないようなもやもやした感情だ。家庭不和、挫折、身の程、脱却、後悔……。そこにもう一つの要素、恋人、憧れ、片思い、失恋、未練.....これらが加わることで、とても瑞々しくて、ままならない。そんな五つの物語が交錯するのが本書だ。

家に帰れば、ひきこもりのおにいちゃんのせいで家族がばらばらに。太陽みたいな雅史くんみたいな人といっしょにいたら、わたしもいっぱい笑っていられるかな。ちゃんと好きじゃないのに雅史くんと付き合って、それが相手を利用しているだけという痛みを秘める芝原理子。(「キャッチ・ザ・サン」)

陸上部の自称エースの三田村大介は、遊びで捻挫して市の大会に出られなくなった。その日から部活をサボるようになる。なぎっちは美人じゃない。ぜんぜんきれいなおねーさんじゃない。けど、なんかよかった。ぐちゃぐちゃした気持ちを、はじき飛ばしてくれそうな笑顔だったから。(「ロスト・パラダイス」)

野田琴海は、ペテルギウスを思うと怖くなる。そして、宇宙の大きさに心がすくむ。だからあの日、あたしは震えるほど「すごい」と思った。宇宙を閉じこめるみたいな感覚だから。第二理科室で、横山くんがそう言ったときのことだ。そのときからだ。横山晴彦くんが気になりだしたのは。(「ペテルギウスの情熱」)

綿森美月が三田村くんに数学を教える仕事に就いたのは、オファーがあったからだ。私は自慢じゃないが、ひとり好きというIDしか持たない中学生だ。三田村くんが口にした私を選んだ理由は、いちばん無駄なく、サクサク教えてくれそう。なんだか、ちょっとよかった。それだけの理由だった。(「二月のプランクトン」)

生物部部長の横山晴彦。にぎやかなところにはいつも野田がいる。そんなキャラの彼女が、どうして生物部で地味に顕微鏡をのぞいているぼくなんかを好きになったのか。木崎美優。木崎と口を利くのは、一年の夏以来だった。あの日から、木崎は遠くなった。まとう空気をかえてしまった。(「ストロベリー・ブルー」)

つきあうのに条件なんてないし、そんなことで挫けていられないし、そんなに深く考えて生きてるわけじゃないし、苦手にしていてもなんとなく人の波に乗れるし、どんなに苦くてもそのうちいい思い出になるし……。大人になってしまうと、こんなつまらない回答が出てくる。でも、誰しもが思春期に経験するほろ苦さが、ここにはある。良書です。

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    2010

06.08

「魔法使いの弟子たち」井上夢人

魔法使いの弟子たち魔法使いの弟子たち
(2010/04/02)
井上 夢人

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山梨県にある竜王大学医学科付属病院で発生した謎の院内感染。フリーライターの仲屋京介は、隔離された病院内にいる婚約者と連絡が取れなくなった落合めぐみと出会う。取材を含めた聞き込みをしていたところ、彼女が伝染病の症状を発症。彼らは、問題の竜王大学病院に搬送されることになる。世の中はこの新興感染症の病名を竜脳炎と呼ぶようになった。ほぼ百パーセントだった死亡率で意識が戻ったのは三名だけ。一人目は、京介。二人目は、めぐみ。そして生存者最後の一人は、九十三歳の興津繁。めぐみの婚約者は昏睡状態が続いていた。

興津は甲斐市内にある老人ホームの入所者だった。騒ぎが起こる前、めぐみと婚約者は一緒に二度ほど興津を見舞っていた。それがウイルス伝播の始まりだった。病院内での隔離生活を続ける彼ら三名は、医師の言う「後遺症」として不思議な能力を身につけていることに気づき始める。京介の得た能力は、対象物の過去や未来を透視する千里眼。めぐみは、手を触れずに物を動かせたり浮かせたりする念動力。興津の身体は、あらゆる細胞が活発に新陳代謝を繰り返す若返り。

彼らは、隔離されたまま得る安定した一生を良しとせず、世の中と繋がっていられるならと、見世物のような扱いでテレビに出演するのだが……。ここから思いもつかない展開で物語は進展していく。さらに、乗り移りなど、まだまだ本人自身が認識していない能力がこの後に登場する。そこに人類最強とも言える能力までも加わって……。それは彼らにとって、幸なのか、不幸なのか。彼らを取り巻く状況はその都度その都度一変するのだ。だが、それらは以前に伏線として張られていたのだ。読者は、あの時のひっかかりがこれだったのかと、そこで前後を一致させるのだが、その後がまだ、まったく見えてこない。

先が気になってページを捲る手が止められない。本の分厚さを忘れるぐらい引きこまれる。そんな興味の引っぱりこそが井上作品の持ち味であり、ストーリーテラーならではの読ませがここにはあるのだ。ハリウッド映画などで超大作と銘打った作品はよくあるが、実際の出来は「どこがやねん」とツッコミたくなることでしばしばだ。しかし、これはその超大作だと思った。奇想天外、荒唐無稽、ようするに何でもありだ。そんな何でもありと、現実にあるもろもろの弱さが噛み合って、ハラハラドキドキが存分に楽しめる一冊になっている。分厚さに躊躇しているなら、とりあえず読んでみましょう。おすすめです。

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井上夢人
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    2010

06.05

「リミット」五十嵐貴久

リミットリミット
(2010/03/11)
五十嵐 貴久

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ラジオのディレクターを務める安岡琢磨が勤務しているのは、ラジオ・ジャパンというラジオ局だ。人気番組として不動の地位を築いている奥田雅志のオールナイト・ジャパンは他の番組と比べて二倍以上、週に一万通ほどの投稿があった。昔も今も、深夜放送の命はリスナーからの投稿だ。そこには次のような文章が記されていた。「一番好きだった奥田さんのオールナイト・ジャパンを聴いてから、死のうと思っています」それは自殺を予告するリスナーからのメールだった。

だいたい、そのメール自体がまだ本物かどうかもわかっていない。メールの送信者について、はっきりした自殺の意図を証明できるものがないかぎり、警察は動けない。局の幹部もいたずらの可能性は否定できないと、取り合わない。傲岸で売るパーソナリティの奥田も説得はキャラじゃないと、係わりを拒否する。それでも、安岡の中でメールに対する信憑性は増すばかりだ。何か確実な、新しい情報が出てくれば別だが、そうでない限り番組では触れないことに決まった。

安田は奥田に対し、番組で取り上げるのを諦めたと伝えた。もし安岡の思う通りであれば、奥田は安田の覚悟を感じたはずだ。というよりも、むしろ安岡としては奥田がこれから何をするかわかっているつもりだった。奥田は放送が始まってしばらくして、自殺予告者を挑発するかのように呼びかける。好きにしたらいい。お前が死のうと生きようと全然興味ない。だけど、番組をメチャメチャにしたのは、全部お前のせいだ。電話でいいから謝れと。

その生放送というライブ感による緊迫度はかなりのものがある。ラジオ局に働く人たち、あるいはラジオそのものの意義もこちらに伝わってくるものがあった。でも、セリフや説明で重複する場面が多く、そこはしつこすぎるきらいはあった、もう少しアバウトでもいいのではないかと思ったのも事実。だけど、それを踏まえた上でも、解決策が見えないまま時間が過ぎるスリルがここにはあった。最後は番狂わせのないベタなものだけど、読後感の良い、読ませるエンターテイメントだった。

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五十嵐貴久
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    2010

06.03

「おじさんとおばさん」平安寿子

おじさんとおばさんおじさんとおばさん
(2010/04/07)
平 安寿子

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一般的に考えれば、四十代は「おじさん」「おばさん」年齢である。しかし、当の四十代たちは、それを認める気になれない。そして五十代になったら、もはや、おじさんおばさん呼ばわりにムカつくことはない。気力体力の備蓄は、減少路線をまっしぐら。記憶力の低下ときたら、もう、笑うしかない。かろうじて残っているのは食欲と、「きれいだと思われたい」色気くらいのもの。同窓会で再会したのは六人の男女たち。

地味なしっかり者タイプの占部久美子は、独身のまま、大学卒業後就職した銀行に今も勤務している。認知症を発症した母を施設に送り込み、独身でいる自分の将来を内心ヒヤヒヤしている。調子を合わせるのだけがうまかった川野緑は、典型的な専業主婦。三人の子供も成人し、今は韓流ドラマにはまっている。美貌を誇る水本順子は、地元の素封家の跡取りに見初められるが、その旧弊な生活が窮屈で離婚。現在はお掃除おばさんをしている。

仏具屋の三代目主人である江口正彦は、人生を心から楽しんだ実感がなかった。家に縛られ、小さな世界でうかうか過ごした。そんな自分が情けない。ローカル放送局とはいえ、アナウンサーだった三村寛治は、モテたい欲がないことを前面に押し出して淡々と仕事をしてきた。製薬会社サラリーマンの中田高志は、妻をがんで亡くし、社内にも居場所をなくした結果、ボランティアに活路を見出していた。

そんな五十代後半の男女六人の同級生が、ごちゃごちゃ、と。簡単にいえば、こんな感じだ。正直に言うと、この読書は疲れた。これまでの三十代、あるいは四十代ならば、その年齢と自分の年齢の近さからか、それはわかる~、そうだろう、など、共感できる部分や想像で補える部分があって、そこが面白かった。だけど、今回は未知の五十代。これが、生々しくて毒々しくて、きっついのだ。

恋愛はいつまでも自由!こう言い切りたいけど、その姿を三十代が思い浮かべてみると、五十代のおじさんおばさんの姿は、おえ!って感じかな。決して敵になるつもりはありません。だけど、本書に限っていえば、個々の感情がそれぞれ身勝手すぎて、そこを黒い笑いで補えたとしても、とても共感できる内容とはほど遠く、その自己保身、あるいは言い訳がうざかったりするのだ。これはあまり好きじゃないかも。ごめんなさい^^;

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平安寿子
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    2010

06.01

5月に買った書籍の代金

個人メモです。


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自分への戒め
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