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    2010

08.31

8月に買った書籍の代金

個人メモです。


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自分への戒め
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    2010

08.31

8月に買った書籍

文庫本
毒草師 QED Another Story (講談社文庫 た 88-20)毒草師 QED Another Story (講談社文庫 た 88-20)
(2010/08/12)
高田 崇史

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ηなのに夢のよう DREAMILY IN SPITE OF η (講談社文庫)ηなのに夢のよう DREAMILY IN SPITE OF η (講談社文庫)
(2010/08/12)
森 博嗣

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    2010

08.28

「善人長屋」西條奈加

善人長屋善人長屋
(2010/06/19)
西條 奈加

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千七長屋は、店子も差配もふつうではない。掏摸、美人局、泥棒に裏の情報屋、と稼業違いの小悪党たちが寄り集まって暮らしている。それが何の因果か、近頃は皮肉なふたつ名までつけられた。“真面目で気のいい人ばかり”と噂の善人ばかりが住むと評判の「善人長屋」。そんな長屋に正真正銘の“善人”錠前屋の加助が紛れ込んだ。おまけに加助は、情に脆く、お節介な上に善人が過ぎる。加助のお人好しぶりに呆れつつ、店子たちはしぶしぶ裏稼業の技を揮って、人助けに奔走する。もともとすこぶるよかった長屋の噂は、地蔵の化身のような加助が入ったことで、空恐ろしいほどにきらびやかさを増していく。

半造は髪結い床で集めた話を、盗人や騙りの衆に金で売っている。安太郎は小間物商いと巾着切りの二束の草鞋。唐吉と文吉の兄弟は、季節物を売り歩きながら、裏ではおもんを使って美人局をしている。庄治は盗人。偽の証文や手形を拵えている梶新九郎。騙りを働いている菊松とお竹の夫婦。火事屋の源平。差配の儀右衛門の号令で動き出す個性豊かな小悪党たちの活躍にわくわく。そして善人加助はオチ? そんな彼らを見ているのが儀右衛門の娘・お縫。彼女は、善人でもなく、悪人でもない。そのニュートラルな視点が読者の思うところと重なるのだ。

テンポよく読めて、少しほろ苦くて切なくて、本当の悪人どもを懲らしめる痛快さがここにはある。そしてひとりひとりの過去にスポットが当てられるので、読み進めるたびにそのキャラが濃くなっていく。特に加助のエピソードは秀逸。悪人には悪人の悲しみがあり、そして善人には善人の悲しみがある。このバランスが素晴らしいと思った。そして真ん中に位置するお縫の恋の行方が気になる気になる。続編は望めるのでしょうか。もっと彼らと遊んでいたいと、一読者は思った。

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西條奈加
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    2010

08.26

「ヘヴンリープレイス」濱野京子

ヘヴンリープレイス (ノベルズ・エクスプレス)ヘヴンリープレイス (ノベルズ・エクスプレス)
(2010/07/02)
濱野京子

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すこしは期待があった。自分をリセットできるというか、そんな期待。あたらしい町。引っ越して三日目。六年生の桐本和希は、すこしまわりの様子を見てくるとかいって、町へとくりだした。小柄な男の子がひとり雑木林で遊んでいた。体はぽちゃっとして、動きはのろそうだった。この子はどことなく俊成に似ている。そう思ったとき、胸がちくりと痛んだ。きょう初めて会った子とこんなふうに遊んでいるなんて、不思議な気分だ。でも、いいのだ。だって、この子はぼくを知らない。この町では、だれもぼくを知らない。そしてぼくは、指切りをさせられて、あしたもまたここにくることを約束したのだった。

ぼくの両親は理解のあるほうで、和希の好きなようにしなさい、といつもいう。そしてぼくはそこそこ優等生で、先生の信頼もあつくて、親はぼくを誇りに思っていた。だけど、ぼくはかげで俊成をいじめていたし、この間、初めて親の期待をうらぎってしまった。夏休みにはいって行く予定だった進学塾の合宿を、体の調子を悪くしてドタキャンし、合宿がおわった後の、夏期講習が始まったとたん、またしても同じ症状を起こして塾に行けなくなってしまった。病院にいったけれど、とくに悪いところはないといわれた。塾へ行かなくなったぼくは、だんだん元気になった。

英太に連れられてやってきたのは、雑木林のはずれにぽつりと一軒建っていた古びた木造の建物だった。すっかり荒れはて、くちかけた廃屋、そう、廃屋だった。そこで登校拒否中の有佳、児童擁護施設を抜け出してきた史生と出会い、弟みたいに感じた英太は親の虐待にあっていたことを知る。そして英太や有佳が、親しみをこめて老師と呼ぶホームレスがこの秘密基地のような廃屋に住みついていたのだ。最初、あれほどきたなくていやだと思ったのに、何度かすごすうちになれたのか、平気になってしまった。それどころか、ここにいればやさしくなれる気がするし、なにより落ち着くのだった。

ぼくの親は、自由にしなさいといいながら、必ず道を指ししめす。そうして、親がしめした道を、自分が選んだと思ってこれまでやってきた。でも、違うと気づくのだ。境遇の違う同年代の子どもたちや、親や先生とは違う価値観を持った大人と出会うことで、自分の本心に気づくのだ。やりたいことは、こんなのじゃないと。だけど、史生たちと比べて自分の境遇が良いことを知っているので、そう思うことは不公平じゃないかと思ってしまうのだ。そう思う子どもは健気だ。でも大人は、親は、一向にわかってくれない。かつて子どもだったのに。

児童書だけど、親になったかつての子どもに読んで欲しい一冊だった。一方的な偏見とか、子どもに対する無言の期待とか、自分の子は特別だとか、子どもの友達の基準とか…。言いたいことがあれば、言えばいいじゃん。何を遠慮するのかなぁ。子供がこうなって欲しいという希望はあるはず。でも、それって、子どもは望んでいるの? また、子どもに友達を選べって、そんなの無理だから。大人になっても、それは同じ。子どもは、子どもの世界で生きている。その世界は狭いけれど、必死に生きている。

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濱野京子
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    2010

08.23

「僕は長い昼と長い夜を過ごす」小路幸也

僕は長い昼と長い夜を過ごす (ハヤカワ・ミステリワールド)僕は長い昼と長い夜を過ごす (ハヤカワ・ミステリワールド)
(2010/06/24)
小路 幸也

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森田明二、二十六歳。僕は五十時間起きて二十時間眠るという特殊体質の持ち主だ。職業は恵比寿にあるゲーム制作会社〈トラップ〉の契約社員でゲームプランナー。そしてときどき不眠の五十時間を使って尾行や監視のアルバイトをしている。バイトの話を持ってくるのは社長のバンさん。そのとき僕が五十時間ずっと監視していたのは、大手企業に勤めるサラリーマンだった。

その監視していたサラリーマンが倒れて、そこにあった荷物を持ってきてしまって、その中には二億円近い現金が入っていて、そしてそのことを知っている怪しい男が踏み込んできて。その謎の男・種苗屋のナタネは、裏金の動きを監視するだけで、そのお金に対して責任はないという。それよりもハイエナのように近づいてくるおっかない人たちがいると忠告してきた。

返すのがいちばんいい。でも、それはできない。裏金だからだ。できないなら、こんな実分不相応なお金なんか持っていたくないから捨てたい。でも捨てても巻き込まれる可能性がある。だったら、この拾ったお金を遣うことで、僕の身辺で起こっているごたごたを解決させる。それで皆が幸せになるのなら、喜んで遣おうと思う。まずは兄の住む故郷の札幌へ。

数々の突っ込みどころはあるだろうが、これはフィクション。大らかな気持ちで読めば、これ程楽しいエンタメはそうそうない。まずは明二をはじめ、その魅力あるキャラクターの造詣が秀逸だ。中でも何かと明二をサポートする謎の男ナタネが抜群にいい。そして恋人役を演じるツンデレの麻衣子ちゃんも、ハッカーのリローも印象的だ。どういいのかは、ご自分で読んで確かめてもらいたい。

そしてストーリー自体も、読者の気をそらさないツボを押さえている。読者がこうなればいいと思う方向に都合よく進んでくれる。いわゆる王道だ。それが息つく間を与えないように、まるでジェットコースターのようにラストまで一気に駆け抜けるのだ。期待するものが、期待通りに味わえる。この潔さが小路ワールドの真骨頂だ。安心して読める冒険の一冊がここに増えた。そんな感じでしょうか。

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小路幸也
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    2010

08.22

「プラチナデータ」東野圭吾

プラチナデータプラチナデータ
(2010/07/01)
東野 圭吾

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犯罪防止を目的とした個人情報の取扱に関する法案――通称DNA法案が国会で可決され、警察庁特殊解析研究所主任・神楽龍平の言う通り、犯人の検挙率は格段に上がっていた。そんな中、若い女をターゲットにした連続婦女暴行殺人事件が起こる。浅間玲司警部補ら警察の捜査は難航を極め、犯人が残したと思われる毛髪や精液を元に、特殊解析研究所の出したDNA判定の解析結果は「NOT FOUND」。つまり現段階でのデータベースの中にサンプルと一致したケースが見つからなかった。

時を同じくして、システム開発者の蓼科兄妹までが殺害される。使用された拳銃は連続婦女暴行殺人事件のものと一致した。ところが現場に残された毛髪から解析された結果は…「RYUHEI KAGURA 適合率99.99%」。採取された毛髪が神楽のものであることは、疑いようがなかった。仮に警察で取調べを受けた時、神楽自身に答えることはできなかった。なぜなら蓼科兄妹が殺害された時、彼は意識をなくし、もう一人の「彼」リュウの意識が働いていたからだ。神楽龍平は、二重人格者だったのだ。

いつ頃からか、東野作品の刑事ものは二分化されてきた。根気よく話を聞いてまわる加賀刑事を代表とする泥臭い作品と、精神疾患や幻覚、あるいは脳や科学やDNAという、これらをベースにした理系の作品である。本書は後者に当たる作品であり、正直に言うと取っつきにくい作品であった。SFまでは行かないが、その設定ありきの世界が読んでいて面倒臭い。どうしてもそこに設定の説明が加わるからだ。それ故に、最後の最後に失速してしまうのかな~とも思う。これ以上はネタバレになるので内容について書けないが。

またそれ以前に登場人物にも魅力を感じることができなかった。主な視点となる神楽龍平と浅間警部補はもちろん、神楽の主治医である脳神経科教授の水上洋次郎、神楽を唐突に助ける白鳥里沙に、謎の少女スズラン。理系作品だからなのか、人物像が薄く淡白で、それに犯人が誰であるかが早い段階で想像がついてしまったのも残念だったし、その動機も正直しょぼかった。とは言え、読ませる作品であったことは間違いない。ただ個人的な問題だけど、最近の東野作品にはあまり魅力を感じなくなった自分がいる。

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東野圭吾
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    2010

08.17

「七人の敵がいる」加納朋子

七人の敵がいる七人の敵がいる
(2010/06/25)
加納 朋子

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山本陽子は、出版社の仕事に忙しいワーキングマザーだ。時は、四月上旬。場所は公立小学校一年一組の教室。集まっているのは担任教師と児童の保護者たち総勢二十数名。一人息子が入学して最初の保護者会だ。どれだけ仕事が忙しかろうが、出席してやりたいと思った。ところが、この集まりは、PTAの役員を割り当てるための会合だった。陽子は「仕事があるからできない。そもそもPTAの役員なんて専業主婦じゃなければ無理だ」と言い放ち、クラス中のお母さんを敵に回してしまったのだ。「女は女の敵である」

夫の母、山田敏江は極めて優秀な専業主婦である。加えて人柄も、控え目でおっとりとしていて優しい。ラッキーだったと、しみじみ陽子は思う。子育てをしながら会社員としてフルタイムで働く。それは決して楽なことではない。仕事とは、他社に対して責任を負うことである。もちろん母親として、子どもに対する責任もある。それは重々承知しているから、義母の存在は心底ありがたかった。敏江の全面的な協力なしには、陽子の仕事は成り立たない。ところが嫁への不満は義姉から漏れてきて。「義母義家族は敵である」

来年度のPTA役員を引き受けられない正当かつ穏当な理由を作ってしまえ。陽子が学童保育の父母会役員を引き受けることにしたのは、以上のような理由からである。そもそも仕事が忙しいから、子どもを預けて働くのだ。というわけで、皆が忙しい学童保育父母会ならば、無駄を省いたシンプルが総意だと思っていた。甘かった。議題は親子遠足について。陽子は、新会長の演説を遮って尋ねた。またやってしまった。陽子はさっそく、会長を敵に回してしまったらしかった。「男もたいがい、敵である」

山田家が所属している自治会は、五つの組から成り立っている。それぞれの組には二十軒の家庭が所属し、組長は原則として輪番制だ。山田家としてももちろん、義務は全うするつもりでいる。ただ、ことが家単位である以上、直接その任に当たるのは夫婦のどっちであってもいいはずだ。その時、陽子は猛烈に忙しかった。自治会の会合くらい、夫に行ってもらったって罰は当たるまいと陽子は思う。そう思っていたのだが、夫は自治会長に祭り上げられて帰ってきたのだ。「当然夫も敵である」

息子が五年生になり、学童保育で預かってもらえなくなるのは、働く親にとってかなり厳しい問題である。それに一人っ子のせいか、寂しがりやで甘えん坊だ。放課後や長期休暇を一人きりで留守番させるのは可哀想、祖母と二人でもやっぱり可哀想。ならばどうすれば可哀想でなくなるのか。何か習い事をさせるより他にない。すると陽介は、目を輝かせて言ったのだ。サッカー少年団に入りたいと。それは、陽子の新たな闘いの幕開けであった。「我が子だろうが敵になる」

数日前の、登校時のことだった。お兄ちゃんが、一人で歩いていた陽介にいきなり話しかけてきたのだ。ゲームソフトをあげるから、うちへおいでよ、と。その数ヵ月後、その少年は補導されることになる。幼児を公園のトイレに引きずり込もうとした容疑で。つくづく、陽介はとんでもなく危険な縁に立たされていたわけだ。そして、そこから無事に連れ戻してくれたのは、同級生の村辺真理ちゃんだ。そして今、その真理ちゃんに何か危機が訪れているらしい。「先生が敵である」

こいつは敵だ。間違いなく、私の敵なのだ。上条圭子PTA会長と、五年二組学級委員たる山田陽子との間には、秋の学年レクリエーション活動の予算申請書が横たわっている。はっきりと、陽子を責める口調である。なぜ会長はあんなふうに、突然攻撃をしかけてきたのだろう? 思いあたることがある。まさに出る杭が打たれたわけだ。上条会長が撃った弾丸は、見事陽子の急所に命中していた。だが陽子は右の頬を打たれたら、きっちり相手の右頬を殴り返す主義なのだ。「会長様は敵である」

働く母親なら陽子さんに共感することばかりかも。本書はいたる所に爆弾が仕掛けられている。一方の専業主婦にも言い分はあるかもしれない。でもその両者がタッグを組む可能性もここには込められている。家庭のことはのっけから他人事でしかない夫に対してだ。そんな立場によって危険を伴うのが、本書の特徴的なおもしろさだ。陽子さんの闘いは痛快だった。でもこういう強い人は個人的に苦手だ。そう言えば「レイン・レインボウ」登場時も苦手と書いていた。陶子さんシリーズの外伝であり、単独でも読めるPTA小説。

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加納朋子
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    2010

08.15

「フリン」椰月美智子

フリンフリン
(2010/06/01)
椰月 美智子

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河川のそばに建っているだけの理由で、マンションの名前はリバーサイドマンションという。ここに住む住人たちのフリン劇。継父を避ける女子高生の複雑な心情とは…、不倫を惰性と言ってるやつには因果応報で…、若い女に熱を上げる中年は…、息子の同級生に胸をときめかせる母親は…、自由奔放な妻に何も言えない夫は…。恋は、愛は自由だ。でも、周りにいる人からすれば、はた迷惑な話だ。

「葵さんの初恋」
十七歳の真奈美は見てしまった。ラブホテルの階段を下りてゆく男と女。葵さんとうちの父親というか、お母さんの旦那さんである人。真奈美は、葵さんのことも父親のことも実際よく知らないのだ。葵さんは小学生の頃に遊んでもらった記憶しかなくて、近所のやさしいおねえさんというイメージしかない。父親にしたって、本物のお父さんではなかった。

「シニガミ」
高校の同級生である明仁が、まさか隣に住んでいたなんて。そのことを友美が知ったのは、去年の秋だった。二十年という歳月は、二人の関係をぐっと親密なものにしてくれた。翔太が小学校に入学して、ほっとひと息ついたところだったし、結婚十三年目にして夫婦関係は倦んでいた。というのも、夫の浮気がその少し前に発覚したのだった。

「最後の恋」
アリスは、光正の会社に出入りしているコピー機の業者だった。アリスは不思議な女だった。ファッションにも一貫性がなかったし、性格も捉えどころがなかった。恋だ。完全に恋に落ちてしまった。光正はなんべんも自問した。長年連れ添ってきた妻と離別して、アリスと一緒になる場合。アリスとの関係を絶って、妻との生活を続ける場合。

「年下の男の子」
子どもというのは自分にとって一番近い存在だと感じていた。それなのに、今はどうだろう。なんだか急に、中学生の章吾が別の生き物のように思えてきた。がっちゃん、いい。とてもいい。がっちゃんの笑顔。疲れが吹っ飛ぶようだ。相手は十四歳。自分の子どもの同級生じゃないか。恋だなんて、ばかばかしすぎる。でも、すでに胸が苦しい。

「魔法がとけた夜」
宗太郎は止められなかった。あかりがフィジーに行きたいと言い出したのだ。結婚四年目。子どもはいない。三十一歳。フィジーにはヤマトがいるらしい。らしい、というのは、あかりから聞いたからだ。ヤマトもあかりも、宗太郎の高校の同級生だ。高校時代、あかりとヤマトは付き合っていた。誰もが認めるお似合いのカップルだった。

「二人三脚」
管理人兼オーナーである宮崎夫婦は、見るからに品の良さそうな七十代の夫婦だ。過去の出来事は、いつだって二人の胸の内にあった。見て見ないふりをしているだけで、それらの出来事はいつも彼らと一緒にあった。新一と絹江は従兄妹同士だった。新一の母親の妹が、絹江の母親だった。新一は四人姉弟の長男で、絹江には双子の妹が一人いたのだった。

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椰月美智子
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    2010

08.14

「月の恋人」道尾秀介

月の恋人―Moon Lovers月の恋人―Moon Lovers
(2010/05)
道尾 秀介

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派遣社員の椋森弥生は、短大時代から七年間付き合っていた彼氏に騙され、信頼していた会社の先輩に失態を押し付けられてしまう。もうぜんぶが嫌になった。旅行する。海外旅行。美味しいものを食べて、高いもの買って、貯金を全部使い果たしてくる。すべてに疲れた彼女はおもいきって仕事を辞め、今まで貯めた貯金をぜんぶ使ってしまおうと上海に飛んだ。だけど、染み付いた自分を簡単には変えられなかった。その旅行中に弥生はある男と出会う。それは最悪の印象だった。

葉月蓮介が社長を務める高級家具専門のレゴリスは、上海支社の業務開始を目前に控えていた。上海支社が建っているこの土地は、経営の傾いた伝統家具工場から買い取るかたちで手に入れた。しかし現地の元従業員たちに再就職を斡旋したのだが、彼らは思いのほかレゴリスに強い敵対心を抱いており、大半は拒絶した。その中にリュウ・シュウメイがいた。今後のプロモーション活動に向けて、レゴリスは広告用の素人モデルを探していたのだ。

冷徹にビジネスを成功させる青年社長・葉月蓮介が、夜の上海で巡り合った女。舞台は東京に移り変わり、彼女たちの一人は、己の身を偽って蓮介に近づき、かたやもう一人は、蓮介の方から近づくのだった。葉月蓮介、椋森弥生、リュウ・シュウメイ、主要な登場人物の三人は、ともに何かしらの嘘をついている。見えない仮面を被っているのだ。それ故に、読み始めた頃は、感情移入しづらくてあまり面白くはなかった。

ある人物は言う。人が嘘をつくときは、何かに不安を感じているときだと。その辺りから急に読みやすくなった。というのも、彼らの表と裏側がちゃんと見えてきて、その人物の隠れていた魅力が浮き上がってくるからだ。それともうひとつ。エッセイの「プロムナート」を読んだ方は気づいたと思うが、あのエピソードがこんな感じでネタになっていたのね、という面白味がここにはダイレクトにあった。その逆もしかりだが。その後、人物劇が錯綜し、肝心のドラマもゆっくりと動き出す。

淡い思いが微笑ましくて、やり切れない思いが切なくて、嫉妬で他人を傷つけてしまう心の狭さが痛くて、どうしようもない苦悩があり、その一方で、お気楽者たち(弥生の弟、高畠社長、おんちゃん)のユーモアで笑えて、最後はフジテレビ月9らしいお決まりのハッピーエンドを迎えることになる。そのテレビの方が評判悪かったようだが、本書に限っていえばそんなに不味かった作品ではなかったように思う。本と映像は別もの。映像化に成功した原作はなし。本作品も割り切って読めば楽しめると思いますけど。

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道尾秀介
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    2010

08.10

「ペンギン・ハイウェイ」森見登美彦

ペンギン・ハイウェイペンギン・ハイウェイ
(2010/05/29)
森見 登美彦

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ぼくはたいへん頭が良く、しかも努力をおこたらずに勉強するのである。だから、将来はきっとえらい人間になるのだろう。ぼくは小学校の四年生だが、もう大人に負けないほどいろいろなことを知っている。毎日きちんとノートを取るし、たくさん本を読むからだ。ぼくが住んでいるのは、郊外の街である。おいしいパンのある喫茶店「海辺のカフェ」があり、ショッピングセンターができ、きれいなお姉さんたちが働く歯科医院もできた。

ぼくが初めてペンギンを目撃したのは五月のことだ。空き地のまんなかにペンギンがたくさんいて、よちよちと歩きまわっているのだった。さっそくスケッチした。ペンギン研究の1ページ目、ペンギン・ハイウェイの始まりだ。あとから調べてみると、それはアデリー・ペンギンだった。なぜ彼らは急にこの街にやってきたのだろう。ひとつ、この事件を研究してみなくてはならない。ふいに歯科医院の窓からお姉さんが顔をのぞかせて、ニッとわらった。

彼女はぼくのことを「ナマイキ」と言う。親しくお付き合いしている歯科医院のお姉さんだ。そのお姉さんがコーラの缶を宙に投げ上げると、それがペンギンに変わった。それが「ペンギン誕生」の瞬間であった。お姉さんは言った。「この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるか」。このことは誰にも言っていない。ぼくはペンギンとお姉さんについて研究を進める。ぼくは知りたい。街で起こる不思議な現象について、この世界の始まりについて、そして、お姉さんの謎について。

大人びた口調や物の考えは可愛げがないけれど、冒険好きやおっぱいが好きなどの点では子供っぽい。そのギャップに、こいつ可愛い~と身悶えた。そのぼくと様々な冒険をするウチダ君。共同で研究を始めるハマモトさん。ペンギンやお姉さんなどの謎以外にも、彼らの行動から目が離せない。そして、クラスで帝国を築いている好敵手のスズキ君がいて、この同い年の彼らのライフワーク、すなわち一筋縄ではいかない観察と研究と実験が楽しいのだ。

そして本作はこれまでの中で一番ファンタジー色が強かった。とにかくよくわからない。そんな不思議な謎を、少年たちは研究している。実際に不思議な世界観だった。でも変に理屈付けていないだけあって拒否感はなかった。わからないものはわからない。ファンタジーはそれでいいと思う。そしてちょっぴり切なくてほろ苦く、言葉ではいい表せないじわっとくる感動が、ここにはあった。いい出会いは、出会わなくては始まらない。そんなことをふと思った。

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森見登美彦
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    2010

08.08

「死ねばいいのに」京極夏彦

死ねばいいのに死ねばいいのに
(2010/05/15)
京極 夏彦

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死んだ女のことを教えてくれないか―。無礼な男が突然現われ、私に尋ねる。私は一体、彼女の何を知っていたというのだろう。問いかけられた言葉に、暴かれる嘘、晒け出される業、浮かび上がる剥き出しの真実…。人は何のために生きるのか。この世に不思議なことなど何もない。ただ一つあるとすれば、それは―。《出版社より》

口の利き方とかを知らず、態度だって最悪。そんな青年ケンヤが現れて、殺されたアサミのことを教えて欲しいと尋ねてきた。それに受け答えをするのは、アサミの派遣先の上司、隣人の女、彼氏、母親、警察官、弁護士。だが尋き回った連中は、アサミのことを話さずに、何故か自分の不平不満を話し出す。読み始めは、ケンヤの不遜さにイライラさせられることになる。しかし、読み進めるうちに、そのイライラの対象が、それぞれの語り部たちへと移りかわっていることに読者は気づくことになる。

会社でも家庭でも自分だけが苦労して報われない。こんなにも自分は正しいのに世間は認めてくれない。不幸は全部他人の所為。運が悪かった。ああだこうだ理屈を捏ねて、自分は不幸だ不幸だと喚くのだ。はぁ。おまえら何様、と言いたい。おもいっきり拳を固めてぶん殴りたくなる。殺意が湧いてくるほどだ。そうしたところにケンヤが一言投げかける。――死ねばいいのに。第一印象から一変して、ケンヤがマトモな青年に思えてくるから不思議だ。

自己保身、逆恨み、エゴ、嫉妬、決め付けなど、あるのは最初から最後まで自分勝手な言い分ばかりで、「厭な小説」以上に厭な気分になること間違いない。というか、ここまで不愉快の連続で押し切られると、ある意味、快感だと思えてしまうほどだ。イライラしたい方、不愉快を味わいたい方は、この嫌悪感だけで読ませるエゲツナイ作品をぜひどうぞ。死ねばいいのに。本当に、ここに出てくる駄目人間たちに、ぶつけてやりたくなる。攻撃的な自分に気づく、危険な小説かも。


京極夏彦さんのサイン。

京極1

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    2010

08.05

「終点のあの子」柚木麻子

終点のあの子終点のあの子
(2010/05)
柚木 麻子

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第88回オール讀物新人賞受賞作「フャーゲットミー、ノットブルー」ほか全4編収録。

「フャーゲットミー、ノットブルー」
世田谷にあるプロテスタント系の私立女子高。今日は高校の入学式だ。中等部から進学した希代子と森ちゃんは、通学の途中で見知らぬ女の子から声をかけられた。奥沢朱里。高校から入ってきた外部生だった。有名な写真家の父、モデルの恋人、海外で暮らしてきた。まるで小説の世界だ。希代子と朱里は急速に親しくなっていった。希代子は完全に朱里に魅せられた。でも、女子高生の友情は、すぐに敵意にかわる。

「甘夏」
学校にバレたら停学だ。両親にはもちろん、クラスメイトにも、希代子ちゃんに言えない。夏の間に変身しよう。森奈津子は突然そう決意したのだ。クラスメイトの誰もが経験したことのない大冒険をし、二学期までに大人びた女の子に変身するのだ。検討した結果、夏休みにアルバイトをすることに決めた。男の人と話せるし、度胸もつくだろう。もしかしたら彼氏も出来るかもしれない。アルバイト先は、この辺りで一番大きな市民プールだ。

「ふたりでいるのに無言で読書」
この夏は、菊池恭子の十五年の人生で最高の思い出になるはずだった。クスタクこと楠木卓也は、姉の一年後輩だった。まさかこんな結果になろうとは。フラれたのは初めてだ。ショックと怒りで涙もでない。誰とも会いたくない恭子は図書館へ向かう。保田早智子は、漫画研究部に入っているが、本当は小説が好きだ。自他共にクラスの羨望の的である恭子とオタク女子の早智子が夏休みの図書館で交流を重ねる。

「オイスターベイビー」
奥沢朱里が高校を卒業してそろそろ四年が経過しようとしている。杉ちゃんはがさつに見えて、意外と気を遣う性格だ。二十二年間の人生で初めてできた親友。ずっと同性が苦手だった。私立のお嬢様高校に通っていたが、毎日が息苦しかった。共学の美大に入ってからは、できるだけ異性と接するようにしてきた。だが、二年から付き合っているクラスメイトの田島淳之介とは、最近あまり会っていない。

この痛さは快感かも。空気を読め。皆に合わせろ。私たちの気持ちを逆撫でするな。そして人を見下さずにはいられない。みんなと同じでいることが安心で、そういたくない自分もいる。でも同じじゃなければ、一斉にハズしちゃう。矛盾しているが、そんな狭い世界で生きている思春期の少女たちが主人公だ。居心地が悪くて、背伸びがしたくて、寂しくて、人をうらやんで、嫉妬して、深く傷ついて。でも結局は大きな流れに従っているだけ。一体何が楽しいんだろう。そんな閉塞感がリアルだ。今後が楽しみな作家が登場したな。

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    2010

08.03

「キング&クイーン」柳広司

キング&クイーン (100周年書き下ろし)キング&クイーン (100周年書き下ろし)
(2010/05/26)
柳 広司

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セキュリティ・ポリス。通称”SP”。安奈にとってSPの仕事は誇りであり、生きがいだった。だが一年前、安奈は自らSPを辞めた。同時に、子供の頃から憧れだった警察官であることにも背をむけ、組織を去った。ある一つの事件が、安奈にそうさせた。六本木の雑居ビルにあるバー〈ダズン〉で働き出してもうすぐ半年になる。手に負えぬ酔客にお帰り願う手伝いをするのが仕事だった。まさかボディーガードの依頼までしてくるとは思わなかった。

彼は、アンドリュー・アンディ・ウォーカー。不世出の天才チェスプレイヤーにして、チェスの偉大な世界チャンピオンらしい。事件が起きたのは、今から十日前の深夜。二人の男がアンディを車の中に拉致しようとしたのだ。警察には相手にされず、警備会社にも依頼を断られた。それで話がまわってきたというわけだ。元SPの冬木安奈に。依頼者の宋蓮花は、「アメリカ合衆国大統領に狙われている」というが……。

う~ん、微妙だ。スパイの次は、元SP。スタイリッシュなハードボイルドとしては、同じ系譜の作品だ。だがいかんせん人物に魅力を感じなかった。無口で無愛想な安奈はまだマシだが、天才チェスプレイヤーのアンディの変人ぶり、依頼者の蓮花のちぐはぐさが頂けない。また作中でも触れていたが、日本人にとってチェスが身近にないことが致命的だ。そうかと言って、まったく面白くないわけではない。場面展開がスピーディーで、読みやすいのは確かだ。

何がいけなかったのか。それは一つに、金城一紀原作の「SP」と重複しているシーンが多いことにあったと思う。あの作品が大好きで、一度どころではなく、何度も見ていたからだ。二番煎じは初物には敵わない。著者の意図がどうだかは知らないが、そんなことを読みながら思った。そして次に、平行して挿入されるチェスの神童の物語にも興味が持てなくて、結果的に広げた大風呂敷がここに繋がっていたとしても別段驚きはなかった。

「ジョーカー・ゲーム」で一躍有名になったみたいな紹介をされる著者だが、その「ジョーカー・ゲーム」自体が個人的には不発だった。その続編もしかりだ。もっと言えば、それ以前の作品も数冊読んだが、自分の好みでは到底なかった。カタカナが苦手だから日本人作家を読むのに、翻訳もどきのカタカナを持ってきた時点でバツ。面白いと言われている作品まで自分とは合わないのだから、この人は鬼門かな~。

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    2010

08.02

「RDG3 夏休みの過ごしかた」荻原規子

RDG3  レッドデータガール  夏休みの過ごしかた (カドカワ銀のさじシリーズ)RDG3 レッドデータガール 夏休みの過ごしかた (カドカワ銀のさじシリーズ)
(2010/05/29)
荻原 規子

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自分と「姫神」を取り巻く特殊な事情に向き合うために、鈴原泉水子は生まれ育った玉倉神社を出て、新設間もない全寮制の鳳城学園に入学した。一足先に編入していた相良深行は相変わらず素っ気なかったが、寮で同室の宗田真響や、その弟真夏と親しくなり、徐々に学園生活にも慣れていく。真響達は三つ子で、もう一人の弟真澄は幼い頃に亡くなっていた。しかし、泉水子自身ある留学生の招待を見抜いたことから、生徒会長選を巡る真響と同級生高柳一条との戦いに、巻き込まれてしまう。

生徒会室で目にする如月・ジーン・仄香は、以前のままの生徒会長だった。執行部の全員が召集されたため、泉水子はおそるおそる末席に加わっていたが、仄香がそ知らぬ顔をしているので、かえってほっとする思いだった。セミナーハウスで見聞きしたことは、ここでは別次元のものごとだったのだ。影の生徒会長として村上穂高がいたことも、泉水子が起こしたちょっとした騒動も。会議に参加している深行は、生徒会長と同じくらい平然と座っていた。執行部の会議はおもに、秋の学園祭に関するものだった。

今年度の学園祭テーマは戦国学園祭に決定し、学園祭の企画準備で、夏休みに泉水子たち生徒会執行部は、宗田きょうだいの地元・長野県戸隠で合宿をすることになる。初めての経験に胸弾ませる泉水子だったが、合宿では真響の生徒会への思惑がさまざまな悶着を引き起こす。そこへ、真夏の愛馬が危篤だという報せが入り、合宿を抜け出して乗馬クラブに行く真夏と神霊の真澄が入れ替わってその場を凌ごうとするが…。それは、大きな災厄を引き起こすきっかけになってしまうのだった。

内容紹介をしていて恥ずかしいのが、前作を読んだはずなのに記憶が抜けていることだ。そこで本の巻頭にあった前巻までのあらすじをここに転用してみた。読んでいるうちに、何となく思い出す部分と思い出せない部分がある。そういうのをひっくるめても、今回が一番おもしろかった。いわゆるもやしっ子だった泉水子が少しずつ成長し、謎が多いわりに手薄な印象がある深行もそれなりに活躍して、そして、今回は宗田きょうだい三人の物語になっているのだ。次回作も楽しみ。でも自分の記憶力に不安が。

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