--

--.--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

スポンサー広告
トラックバック(-)  コメント(-) 

    2008

12.08

「枝付き干し葡萄とワイングラス」椰月美智子

超短編を含む短編集 枝付き干し葡萄とワイングラス超短編を含む短編集 枝付き干し葡萄とワイングラス
(2008/10/21)
椰月 美智子

商品詳細を見る

「城址公園にて」「風邪」「夜のドライブ」「たんぽぽ産科婦人科クリニック」「プールサイド小景(仮)」「七夕の夜」「枝付き干し葡萄とワイングラス」「甘えび」「おしぼり」「どじょう」を収録した超短篇を含む短編集。

「城址公園にて」
実家に、昨日から兄の子どもが遊びに来ている。時間をもてあましていた万里子は、双子の姪たちを誘い、城址公園に向かった。母親も付いてきた。ツヨシに「離婚したい」と言われたのは、今年に入って一週間ほど経ったときだった。万里子は絶句して、二の句が継げなかった。結婚して五年目に入っていた。猶予期間は、自分を納得させるためだけに存在する。

「風邪」
三連休はのんびりと過ごそうと考えていた。夫はさっき、若い友人たちと一緒にスノーボードに出かけてしまった。小気味よい咳を何回かした。次の日、やけに寒気がしてくる。咳がとまらなくなってくる。頭がおそろしく重い。喉が痛い。物音で目が覚めた。夫が帰ってきたようだ。「洗濯物」と、ひとことだけ言うと、その声のひどさに二人とも驚いてしまった。

「夜のドライブ」
夜のドライブは、綾部夫婦にとって、比較的頻繁にするストレス解消のひとつだった。ハンドルを握った夫が、ほんの少し上気した顔で、今日の会社での出来事を話す。今度は妻が、今日、会社であった出来事を報告する。帰りの道中、彼女はドライブが終わることを残念に思い、夫は明日の仕事のことを思って、早く帰りたいと思う。

「たんぽぽ産科婦人科クリニック」
一年と三ヶ月前、ここで長男を産んだ。第二子を妊娠しているらしいと気づいたのは、ついおとといのことだ。すごく混んでいた。妙な違和感。待合室に、男が多いのである。象柄のトレーナーの男がよくしゃべっている。象妻が甲高い大きな声でかえす。象男の娘は、ちょこちょこと一人で歩いている。さりげなく象夫婦を眺める繭子だった。

「プールサイド小景(仮)」
彼女は、およそ五ヶ月ぶりにプールに現れた。どうやら今日は泳がないで、歩くだけにするつもりらしい。二十代前半と思われる女の子がいた。スポーツクラブではめずらしい、赤いビキニを身に着けている。係長という肩書がぴったりな感じの男がいた。準備運動している白パン男がいる。鍛えられた筋肉が隆々と動く。彼らを窺っている正体とは。

「七夕の夜」
四歳のかなえの日常は、大人たちによって支配されていて、もちろん、かなえは、それ以外になにかしらの手段、方法があるなんて知らなかった。隣町では、毎年恒例の七夕祭りが行われる。見せ物小屋に両親は顔を見合わせた。親子は結局、中に入ることにした。かなえはこの夜に、自分というものは自分でしかあり得ない、ということを悟る。

「枝付き干し葡萄とワイングラス」
それを知ったとき、妻はひどく混乱した。妻は、まず僕に平手打ちした。妻はひとしきり泣いた。「これからどうするの」「産むっていうんだ」妻は悲鳴をあげて、その女を罵倒した。そして、そこらへんにあるいろいろなものを僕に投げつけてきた。僕はふわふわ浮いてる気がする。確かに今は、あのかわいらしい娘にまいっていると思う。でもわからない。

「甘えび」
ことのはじまりは、歯ブラシだ。新しい歯ブラシを出し忘れていた。次はガサガサのバスタオルについて、湯飲みの茶渋について、子供たちの寝巻きについて、そして、クリーニングから戻ってきたスーツについて、また夫が声を荒げた。何様のつもりなの。私だって仕事持ってるの。もう我慢の限界。そうして、私たちの夫婦喧嘩は始まった。

「おしぼり」
睦美はなんだか飲みたい気分だったし、隆明は猛烈な勢いで腹が減っていた。睦美と隆明の夫婦は飲み食いに関しては正反対のタイプだ。そして、こういうときの助っ人役として、天野が登場する。天野は睦美の同級生だけど、今では睦美と天野より、隆明と天野のほうが仲がよい。そうして、満腹になった隆明のいつもクセが始まる。おとぼりをトントンと。

「どじょう」
白色のありきたりのセダンには、今日まで夫婦である一組の男女がのっている。これから、正式に届けを出すつもりでいる。それまで、好意的に感じていた妻の行動がある日突然、腹立たしいものに映る。そう思った自分をひどい男だと思ったし、そう思わせた妻は、もっと性質が悪いと思った。そうしてもう、二人が終わりに近づいていることを知った。

同時刊行の「みきわめ検定」の方が好きかも。著者曰く「みきわめ検定」は結婚前、「枝付き干し葡萄とワイングラス」は結婚後。こちらは主人公が大人なだけに近すぎてしんどさを覚えた。そんな中で好みだったのは、ただただ苦しんでいるだけの「風邪」と、ストレス解消なのか疲れるだけなのかという「夜のドライブ」と、人間ウォッチングが楽しい「たんぽぽ産科婦人科クリニック」と、子どもなりに悟りを得る「七夕の夜」と、自分の黒い感情に気づいてしまう「甘えび」と、トントンしたくなる「おしぼり」だった。あれ?向こうが良いといいながら、好みの作品が多いな。

ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

椰月美智子
トラックバック(0)  コメント(0) 

Next |  Back

comments

コメントの投稿











 管理者にだけ表示を許可
trackback
この記事のトラックバックURL

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。