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    2008

12.21

「詩羽のいる街」山本弘

詩羽のいる街詩羽のいる街
(2008/09/25)
山本 弘

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あの日まで、僕はこの世に奇跡が存在するなんて信じていなかった。マンガ家志望の飯塚陽生は、寂しげな公園にぶらりと入った。やがて、数人の子供たちにせきたてられるように、一人の女性が公園に入ってきた。それが詩羽との出会いだ。詩羽の仲立ちで子供たちのカード交換会が始まった。終了した時には、ほぼ全員が満足していた。その詩羽が声をかけてきた。ねえ、これからデートしない? 理由は、あなたが幸せそうじゃないから。あたしは言ってみれば、あなたにとっての幸運の女神。今日という一日、ハッピーにしてあげることをお約束します。こうして僕と詩羽の奇妙なデートが始まった。

家庭菜園のおじさんから収穫したたくさんのネギをもらうことから始まり、詩羽はワラシベをしていく。彼女はお金を持たず、家もなく、人や物を結びつけることで生活していた。詩羽の知り合いは街中にいる。彼女の行くところ、どこにでも笑顔がある。みんな親切にしてくれる。ちょっとした会話の中から、彼女は情報を得て、誰が何を必要としているか、何を手放したがっているか、誰と誰を引き合わせれば、その人たちにとって有利になるか。冒頭の子供たちのカード交換会のように、トレードを次々と成功させる。親切をすることに対して、お金以外で報酬をもらう。それが彼女の仕事であった。彼女はたった一人で、この街に巨大なネットワークを構築していたのだ。

第一話の主人公はマンガ家志望の青年。第二話は自殺志願の女子中学生。第三話は陰湿な嫌がらせに人生の喜びを感じる大学教授。第四話は詩羽を探しに来たある女性。彼らは詩羽と出会ったことがきっかけで、自分の可能性を見つけたり、意識が一八〇度引っくり返ったり、ちょっと生き方を変えるだけで幸せになれることを知ったり、行き詰まりに先が見えてきたりする。詩羽はそれを引き出す。自分は変わらずに、他人をどんどんと変えてゆく。

本書は、ネットなどで暴走する悪意へのアンチがありつつ、一つの切り替えで幸せになれるという啓蒙としても読むことができる、ちょっとしたファンタジー作品だ。詩羽は善意の人でありながら、法律を手段としてとらえ、場合によってはやってはいけないことに手を染める。そこがなんとも人間臭く、また魅力的である。それに、本のソムリエや、自費出版のコーディネータ、元ごみおばさんや、お寺の住職など、彼ら脇役たちのくったくのなさがそれぞれにいい味を出していた。

また、参考資料の活用のしかた面白いと思った。それらが本文の中で実在の作品として登場したり、薀蓄などに形を変え、それがマニアックな会話となって中々興味深く読むことができる。予想以上に面白かったです。好みの問題で絶賛とまでは言えないけれど、これは掘り出したなと満足できる読書となりました。お薦めです。

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