--

--.--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

スポンサー広告
トラックバック(-)  コメント(-) 

    2008

12.22

「チェーン・ポイズン」本多孝好

チェーン・ポイズンチェーン・ポイズン
(2008/10/30)
本多 孝好

商品詳細を見る

個性のない会社に通い、個性のない仕事をした。ありふれた失敗をして、ありきたりの当てこすりを言われ、あてもなく落ち込んだ。孤独で未熟な三十六の女。結婚の焦りはいつしか、諦めに変わっていた。女は想像してしまった。このまま一人で暮らす生活を。その未来を。定年まであと二十年。それは絶望的な未来だった。もう死にたい。気づくとぽつりと呟いていた。そこに突然、声をかけられた。「本当に死ぬ気なら、1年待ちませんか? 1年頑張ったご褒美を差し上げます」 一年。それは決して悪い取り引きではなかった。

自殺したのは高野章子。三十七歳。元OL。週刊誌記者の原田は、東京都内で毒死した人間を追っていた。二人のインタビュイーが自殺して死んだ。突発性難聴に襲われた天才バイオリニストの如月俊。加害者が死刑になった犯罪被害者遺族の持田和夫。二つのキーワードが頭に引っかかっていた。なぜ服毒自殺なのか。なぜその原因とされる事態からわざわざ一年以上もの時間を置いて死んだのか。二人の死は、本当に無関係なただの自殺なのか。ともにアルカロイド系の毒物による心停止だったが、その毒物は特定されなかった。

そして今、三人目の自殺者が出た。持田和夫の死からおよそ一月、如月俊の死から二週間ほどしか離れていない。けれど、その死因がアルカロイド系の毒物という点を除くなら、三人目は前の二人とはまったく性質を異にする。誰も知らない、ただのOLだからだ。警察も完全に自殺と断定している。それでは、時間は? 高野章子が死んだ理由は何だったのか。その理由から死まで、どれだけの時間があったのか。高野章子。もう少し調べてみよう。原田はそう決めた――。

これのラストにはやられた。やられたー。しかし、そのラストに辿りつくまでがしんどかった。一年後に眠れるように楽に死ねる手段をもらえる。その申し出を信じた女性は、なんとなく会社を辞め、一年間の暇つぶしとして、なんとなく児童養護施設でボランティアを始める。あと一年、半年後に私は死ぬのだ。眠れるように楽に。彼女は、この言葉を支えに今日という一日を過ごしてゆく。はっきり言ってしまえば、彼女に対して、これっぽっちも共感できないし理解も出来ない。第一、死にたくないのだから。

週刊誌記者・原田サイドでは、自殺した高野章子の空白の一年間を調査する。高野章子の関係者に問うと、返ってくる言葉は、真面目で律儀、要領が悪く面倒を押し付けられる、誰も親しい者がいない、結局のところ何も知らないなど、とにかく影の薄い空気のような存在だったと明らかになっていく。こちら側にもあまり興味がわかなくて、原田が何故そこまで執着していくのか、彼女のどこに惹かれるのかがよくわからない。ただのつまらない女としか思えないのだ。

しかし、不思議とページが進む。しんどい、しんどいと思いながらも、読むスピードがまったく止まらない。これまでにも思ったことだが、本多作品はどこか納得いかないんだけど、何故か読めてしまう。どこがどう良いのか、いまいち理解が出来ない。だが、なんとなくすううっと消化してしまうのだ。だから、声高に好きとも言えないし、絶賛も出来ない。しかしまた、読んでしまうという変てこな位置にいる作家なのだ。本当に自分にとって相性がいいのか悪いのかよくわからない不思議な作家だ。だけど…、面白い。

またサイン本を見かけて、つい買ってしまった。財布の紐が緩いな~。

Image172_r1.jpg

他のサイン本はこちらをクリック。→「サイン本」

ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

本多孝好
トラックバック(7)  コメント(8) 

Next |  Back

comments

同じく、気持ちよく読み進めることはできませんでしたが、納得です。
しかも、最後はしてやられました(笑

じゅずじ:2008/12/26(金) 16:58 | URL | [編集]

じゅずじさん
死にたい病はしんどかったですよね。
でもラストでは、おおおっとやられてしまう。
あれには少しテンションが上がりました。

しんちゃん:2008/12/27(土) 20:17 | URL | [編集]

こんにちは。
コメント&TBの返事が遅くなりました。すんません。

そうそう、確かに読むのがちょっとしんどい
作品でしたね。
途中でやめて、また読み始めたほどでした。
でも、ラストでえ~っ!という感じで、
前のほうに戻って読み直してしまったよ。

本多作品は以前とはちょっと変わってきているので、
すごく好きとはいえないところもあるんだけど、
でもやっぱり読んじゃうんですよね(笑)。

mint:2008/12/29(月) 10:03 | URL | [編集]

mintさん、こんばんは。
これはけっこうしんどい読書になりましたね。
もうすぐ死ねるという感情が出てくるともやもやするし。
でもあのどんでん返しは読んで損なしでしたよね。

この著者は、人の死を扱った作品がとにかく多いです。
またかよと思いつつ、また読んでしまいます。

しんちゃん:2008/12/30(火) 20:34 | URL | [編集]

こんばんは!
最後ああくるとは思いませんでしたね。
びっくりです。
すっかり騙されましたが、それまでの鬱々とした展開も、あのラストがあればこそでしょうか。

雪芽:2009/01/25(日) 21:47 | URL | [編集]

雪芽さん、こんにちは。
ミステリではよくあるパターンなのに、見事にやられてしまいました。
そこに悔しさはなく、あっぱれという感じでしょうか。
でも、あのラストであっても、やっぱりしんどい本だと思いました。

しんちゃん:2009/01/26(月) 15:24 | URL | [編集]

そうか~死を扱った作品が多いんですね。
本多さん、これが2冊目かも…1冊目は覚えてない状態なのですが。
たしか図書館の予約期限に追われて読んだので
取り合えず読まなきゃ!って感じでした。

なな:2009/03/09(月) 15:14 | URL | [編集]

ななさん
死の作家です。なんて言っていいのかな^^;
そして自分にとって何となく手にとってしまう作家です。
なんでやろ。

しんちゃん:2009/03/09(月) 18:24 | URL | [編集]

コメントの投稿











 管理者にだけ表示を許可
trackback
この記事のトラックバックURL

『チェーン・ポイズン』本多孝好


チェーン・ポイズン 本多 孝好 2008/11/1発行 講談社 P.332 ¥1,680 ★★★★★  もう死にたい。  それが思いつきの呟きではなく、積極的な願望にならなければ、私は死ねないのだ。死んでもいい、と、死にたい、とでは全然違うのだ。  それ...

2008/12/26(金) 02:22 | ほんだらけ

【チェーン・ポイズン】 本多孝好 著


『二十歳の原点』。著者、高野悦子。二十歳六ヶ月で鉄道自殺を遂げる。 この意味するものはいったい何[:!?:]   まずは来訪記念のポチッ[:ひらめき:] [:next:] ブログランキング[:右斜め上:] 【あらすじ】 個性のない会社に通い、個性のない仕事をして、あ...

2008/12/26(金) 17:08 | じゅずじの旦那

『チェーン・ポイズン』 本多孝好


今日読んだ本は、本多孝好さんの『チェーン・ポイズン』(2008/11)です。

2008/12/29(月) 09:57 | いつか どこかで

「チェーン・ポイズン」 本多孝好


 いままで見ていたものはいったいなんだったのだろう。最後、真相の一撃で、鮮やかに風景が一変する。唖然としたまま物語を遡って考えると、絶妙に伏線が配置されていることに気づくのだ。ああ、だからなのか。そういうことだったんだ。驚きと納得を繰り返す。 あと...

2009/01/25(日) 21:40 | コンパス・ローズ  compass rose

「チェーン・ポイズン」本多孝好


チェーン・ポイズン 本多 孝好 JUGEMテーマ:読書 誰にも求められず、愛されず、歯車以下の会社での日々。簡単に想像できる定年までの生活は、絶望的な未来そのものだった。死への憧れを募らせる孤独な女性にかけられた、謎の人物からのささやき。「本当に死ぬ気なら...

2009/03/09(月) 15:15 | ナナメモ

チェーン・ポイズン  本多孝好


チェーン・ポイズン/本多 孝好 本多孝好 講談社 2008 STORY: 雑誌記者の原田は、自分が取材をした2人が毒薬で同時期に自殺をしたことを気にかけていた。そんなとき、元OLが同じく毒薬で自殺。原田は3人に何かのつながりがあるのではないかと独自に調査を始め...

2009/03/13(金) 18:28 | 読書・映画・ドラマetc覚書(アメブロ版)

-


管理人の承認後に表示されます

2015/04/02(木) 18:23 |

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。