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    2008

12.23

「福家警部補の挨拶」大倉崇裕

福家警部補の挨拶 (創元クライム・クラブ)福家警部補の挨拶 (創元クライム・クラブ)
(2006/06/27)
大倉 崇裕

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徹夜明けで現場を検分、鑑識の報告を受けて聞き込みを始める頃には、事件の真相が見えている?!  身長は一五二センチ。縁なしの眼鏡をかけ、髪は真っ黒なショートヘア。眉の上で切り揃えられた髪のせいで、ひどく幼く見えるが、三十は超えている。捜査一課の女性刑事、福家警部補。おなじみ刑事コロンボ、古畑任三郎の手法で畳みかける、「最後の一冊」「オッカムの剃刀」「愛情のシナリオ」「月の雫」四編を収録したシリーズ第一弾。

「最後の一冊」
その額めがけて本を振り下ろす。宏久は叫び声をあげることなく、くずおれた。脚立を降りた祥子は、本棚の後ろに回った。部屋全体を震わせながら、巨大な書棚は前方に倒れこんだ。書棚と床に挟まれた宏久は完全に絶命していた。「ここは売ることにした」オーナーの宏久の口からそう告げられたときの衝撃。図書館を取り壊し、マンションにするという。そんなこと、させてたまるか。本への愛を貫く私設図書館長、天宮祥子の計画はその瞬間から始まった。

「オッカムの剃刀」
柳田は満身の力をこめてバットを振り下ろす。池内は悲鳴をあげることもなく、路上にくずおれていた。うつぶせになったその体をまたぎ越え、頭の方に回る。バットを両手で握り、振り上げた。殺された犯罪学助教授の池内の研究テーマは複顔術。退職後大学講師に転じた元科警研科学捜査部の柳田嘉文は複顔術の権威。貪欲に知識を吸収したい池内は、柳田の手元にあったデーターを盗んだ。そして、秘められた真実を知った池内は柳田を強迫した。

「愛情のシナリオ」
マリ子は恵美のマグカップをハンカチでくるみ、手元に引き寄せた。粉末の睡眠薬を入れる。かき混ぜると簡単に溶けた。女優の小野木マリ子と柿沼恵美はデビューもほぼ同じ。常にライバルとしてマスコミをにぎわしてきた。二人は常に一定の距離を置き、冷戦を続けることになった。だからといって、憎み合うほどの明確な利害はなかった。「今度のオーディション、降りてくれない?」封筒に入っているのは、四枚の白黒写真だった。恵美の目を見れば、強迫が本気であることは判った。

「月の雫」
谷元は目をつぶり、肩から佐藤にぶつかっていった。佐藤は足場の柵を乗り越えた。ガツンという鈍い音と同時に、激しい水音が響いた。醸造タンクの水を張ったタンクに落ちたのだ。醸造組合の副理事を務める豪腕佐藤。彼が社長の佐藤酒造が造っているのは、機会醸造による粗悪なものばかり。昔ながらの手法を守る谷元酒造の谷元は、ただ良い酒を造りたかった。だが経営が厳しく、そこに佐藤の乗っ取りまがいの吸収合併を受けた。佐藤は月の雫という銘酒を自社のものにするつもりだった。


倒叙形式のミステリとしては王道の作品集。知的で論理的な犯人と、小憎らしいほどに冷静で怜悧な福家警部補の対決。事件の関係者から証言を集め、推理に合う証拠を集めて真相を突きつけるという、どれも同じパターンの作品。だから、これ以上の収録作があったならば飽きていたかもしれない。長編ならともかく、短篇集で同タイプは四作がぎりぎりだったかも。

それともう少し福家警部補の素顔が知りたかった。外見の特徴と、警察手帳をどこにしまったのかオロオロするところ。あとは自分勝手に話を進めていくこと。ラストに酒豪ぶりがわかるぐらいで、彼女の情報がこれくらいしか披露されていないのだ。それは鑑識の二岡についても同じことが言える。単に名前がついているだけの記号にしか思えないのだ。もっとキャラ立てれば、コロンボや古畑任三郎並に面白くなっていたのかもしれない。そこが少し残念だった。だけど倒叙ミステリとしては十分に面白い作品と言えるだろう。

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