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    2009

01.06

「光」三浦しをん

光
(2008/11/26)
三浦 しをん

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美花はとてもきれいだ。信之は同い年の美花とは幼なじみで、美花とセックスすることしか考えていない。その傍ら、信之は輔が生まれてからずっと、それこそ本当の弟のように思い、気をつけて面倒を見てきた。だがこのごろでは、輔が鬱陶しくてならなかった。どこにでもついてきたり、訳知り顔で信之の行動を嗅ぎまわる。親に殴られたから卑屈になったのか、卑屈だから殴られるのか、小心なくせにずうずうしい性格を垣間見せる輔に、しょっちゅう苛つかされる。

美浜島ほどうつくしい場所はほかにない。だが、夜を越えた美浜島は、家屋は倒壊し、港には無数の残骸が浮いていた。集落は廃墟となり、死体が脈絡もなく転がっていた。地震による津波が島を飲み込み、偶然山に入っていた信之、美花、輔の三人の少年たちは助かった。大人で助かったのは三人。灯台守のじいさんと、美花をじろじろ眺めていた観光客と、輔の父親の洋一だった。明日にも島を離れるというその日の朝、美花が観光客に強姦された。殺してはいけないと、いまのこの島で言うのは無意味だ。好きな女が犯されているところを見たら、だれだってああする。

あの朝のことは、信之と美花の胸の内にしまわれ、全ては闇に葬り去られたはずだった。二十年後、過去を封印して暮らす信之の前に、もう一人の生き残りが姿を現わした。輔だった。輔は信之に揺さぶりをかけようとする。ためらいもなく殺す信之も、美花以外のだれも愛せない信之も、輔は好きだ。信之は、輔の英雄だった。汚れて歪んだ英雄だ。再び身を起こす信之は、いったいどんな顔を見せてくれるだろう。楽しみでならない。信之が本来の姿を取り戻すなら、嫌われても憎まれてもかまわない。どうせ、いまさらだ。こうして新たな暗黒が生まれ始める。

これはすごいぞ。これまでに読んだ三浦作品とは、明らかに一線を画す作品。読んでみると気づくと思うが、ここに出てくる人物たちは、全員がまともじゃない。美花のためならば冷酷になれる信之。男に媚びることで生きてきた美花。父親の暴力を唯一慰めてくれた信之を慕う輔。それに信之の妻となった南海子もまた…。性格破綻者のオンパレードだ。

最初からラストまで、空気が重く、息が詰まりそう。だけど、読者はいとも容易く闇に引き込まれてしまう。暴力で傷つけられたものは、暴力によってしか恢復しないのだろうか。暴力とは、自然が起こす暴力もあれば、人為的な暴力、精神的な暴力もある。そして、秘密を握って黙すのも暴力。夫婦、家族とは何だろう。ここにあるのは、暴力の連鎖と限りない絶望。この人たちは、これからもこのまま生きていくのだろうか。

ラストは一見朝日が昇るようなのに、彼らに光が射しているようには思えない。この気持ちの悪さに背筋がぞくぞくする。万人受けするような作品ではないが、白夜行のような重厚で濃密な闇が好きな方は嵌るだろう。余韻の引きもグレイト。新年早々、すごい作品と出会ってしまった。本書は間違いなく、本年のベスト5以内に入る作品だろうことは間違いない。これは、すごい。

三浦しをんさんのサイン本。我がことながら、よく買うよなぁ。

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三浦しをん
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comments

こんばんは。
同じ日にアップでした。
すごかったですね~出てくる人たち全員まともじゃない。
同じ立場だからなのかもしれないけど、南海子が一番怖かったです。

なな:2009/01/06(火) 22:52 | URL | [編集]

三浦ひをん?( ̄∇ ̄;)

5日に甥っ子が生まれました。
初★甥っ子!
なのに、あたしは5日から発熱・寝込んでました・・・。
いま、ようやくラクになりました。
明日には、初対面できるかな?
どーかな?
免疫とか考えると、
もう少し控えておこうかな。。。
( ノД`)シクシク…

つたまる:2009/01/07(水) 00:23 | URL | [編集]

ある程度は予想していましたが、期待以上のダークさに、のめりこんで読んでしまいました。
南海子の虐待、ああいうものって、皆抱えてると思いました。ただ、理性が働いて実行にはうつさないだけで。街中、スーパーで、あれに近い若いママを時々見かけますよ。ぞぞ~~~~・・・・・・。

くまま:2009/01/08(木) 10:12 | URL | [編集]

ななさん
共感できない人たちばかりでしたね。
でも、読ませる筆致はさすがしをんさんだと思いました。
南海子の虐待及びだんまり、怖いっす。

しんちゃん:2009/01/08(木) 10:18 | URL | [編集]

つたまるさん
自分も生後二ヶ月の姪っ子とバイバイしたところです。
一番おもちゃを買っているのも自分。でれでれです。
だっこ、いいよ。怖がらずにだっこしてください。

しんちゃん:2009/01/08(木) 10:21 | URL | [編集]

くままさん
まったく予備知識なく読み始めました。
自然の島っ子は奔放~と思っていたら、真っ黒全開にビックリ。
南海子の鬱々は痛かったです。だけど、子供に向けちゃダメですよね。
親の自覚を持ってもらいたいと思い、依存病がホラーでした。

しんちゃん:2009/01/08(木) 10:40 | URL | [編集]

なんと言いますか、本の内容からはずいぶんかけはなれたサインですね(笑)。しをんさんらしいっちゃ、らしい字なんですが。

たまねぎ:2009/02/04(水) 22:41 | URL | [編集]

たまねぎさん
内容は真っ暗なのにサインは脱力系(笑)
エッセイなら雰囲気がぴったりでしょうね。

しんちゃん:2009/02/05(木) 19:51 | URL | [編集]

こんばんは。
私も昨年末、「光」を読みました。
かなりダークな話でしたよね。
どの人物にも何らかの影があり、正義の味方的な人が誰もいないのが印象的でした。
南海子も椿に冷たく当たったり虐待したりしていて、かなり怖かったです。
最後の終わり方が比較的さわやかだったのが救いかなと思います。
TB送らせて頂きました。

はまかぜ:2009/02/05(木) 21:53 | URL | [編集]

はまかぜさん、こんにちは。
誰一人まともな人がいないのが印象的でしたね。
闇で真っ暗で光なんてない。最後のあれは光なんでしょうか。
自分はそこがまた怖かったです。

しんちゃん:2009/02/06(金) 13:49 | URL | [編集]

サインにびっくり。
この内容に、このサイン。ちょっとホラーかも…(笑)

そして、タイトルとかから結構明るい話を想像して読み始めたので、あまりの暗さに驚きました。
とはいえ、ぐいぐいっと読まされたのですけど。
こういうのもありです。

ちきちき:2009/03/16(月) 22:06 | URL | [編集]

ちきちきさん
作品と筆跡が合わないのは笑うよね。
これを元旦に読んだ自分にも笑いです。
もう笑うしかないくらい、重くて暗い作品でした。
でも面白かったです。

しんちゃん:2009/03/17(火) 12:40 | URL | [編集]

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