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    2009

01.12

「太陽の坐る場所」辻村深月

太陽の坐る場所太陽の坐る場所
(2008/12)
辻村 深月

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高校を卒業してから十年が経過し、二十八歳にもなると、全く年かさを感じさせない人物もいれば、一方で露骨に風貌の変化が見られる人物も出てくる。F県藤見高校の旧三年二組のクラス会は、卒業以来ほぼ一年に一回開かれている。その間、毎回幹事を務めているのが島津謙太だ。彼はF県内の地方銀行に大学卒業と同時に就職し、去年からは東京支店に配属された。飲み物を片手に水上由希がやって来る。大手アパレルメーカーで働く彼女は、見るたびに雑誌の中から抜け出てきたようなファッションに身を包んでいる。

真崎修。このクラス会への出席率の高い一人で、かつてのムードメーカー。彼の後ろには、その元彼女、松島貴恵の姿もある。真崎はフリーのウェブデザイナーをしている。長く都内に住んでいたのだが、三年前に結婚したのと同時に、生まれ故郷にUターンした。今回欠席した里見紗江子は、貴恵の小学校時代からの親友で、そこに真崎を交えた三人で当時から仲が良かった。紗江子自身は、映画の配給会社で勤務している。彼らの話題は、女優になったキョウコ。ただ単に忙しいとか、用事があるから来ないのか。だが、彼女は有名になる前から、頑ななまでに欠席している。

キョウコを初めてテレビで見た時の半田聡美の衝撃ときたらなかった。ドラマを何気なくつけっぱなしにしていたら、その中に取り澄ました顔の彼女が急に登場した。一瞬、何かの見間違いじゃないかと思った。高校時代を同じ教室で過ごした、かつてのクラスメートの顔に他ならなかった。すると、その時だった。耳の傍らで流していた彼らの会話の中から、不意に信じられない言葉が飛び込んできた。来年こそキョウコを呼び出す。聡美がいいんじゃない。聡美だったら昔からずっと演劇をやってたわけだし。

キョウコと向かい合うことで思い出される、高校時代の幼く、罪深かった出来事。よみがえる教室の悪意。二十八歳の大人になった半田聡美、里見紗江子、水上由希、島津謙太、高間響子の現在と過去の想いを描き、ラストには、辻村深月らしい得意のどんでん返しが待っている。しかし個人的にだが、ミステリーのからくりは途中で気がついてしまった。だが、それを抜きにしても面白かったと思う。

しつこいほどの息苦しいい女同士の人間関係、陰湿な女の醜い部分、東京進出組による田舎で永住することを選んだ同級生たちへの優越感、自分はあの人たちとは違うという自意識、自分のポジションなど、読んでいると、いい意味でお尻のあたりがもぞもぞとしてくる。本作以前では、人物像をわざとぼやけさせて、それを活かして読者をおおっと驚かせていたが、今回は、人の黒い部分が濃厚に描かれていて、これが読者の興味を惹き、これが読ませるものとなっている。

外面の印象や、前はこういう人だったという決めつけを人は持ちがちだけど、実際は、他人の内面はわからない。そういう違いの面白さもあって、その一方で、自分の本心に気づかないように蓋をしていたところ、その本心に気づいてしまったときの、みっともないほどの狼狽ぶりといった心情、揺れる描写が見事に冴えた作品だ。辻村深月は進化している。そう確信した読書となった。ただ惜しいのは、本文にあった影響か、表紙の制服女子がカラスに見えてしまうこと。ちょっと怖いんだけど…。

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辻村深月
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comments

ちょっと落ち込んでしまうくらい陰湿でした。
辻村さん、二作目ですが今回はちょっと疲れた、です。

ちきちき:2009/04/07(火) 22:02 | URL | [編集]

ちきちきさん
これは人の負の部分が前面に出た作品でしたね。
トリックも同じものを前に・・・。でも自分はいけたクチでした。

しんちゃん:2009/04/08(水) 20:05 | URL | [編集]

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