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    2009

01.15

「儚い羊たちの祝宴」米澤穂信

儚い羊たちの祝宴儚い羊たちの祝宴
(2008/11)
米澤 穂信

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上流家庭の人、或いは子女たちと、その家に雇われる少女たち。その子女たちが通う、大学の「バベルの会」という読書倶楽部で細く結ばれた作品集。「身内に不幸がありまして」「北の館の罪人」「山荘秘聞」「玉野五十鈴の誉れ」「儚い羊たちの晩餐」を収録。

「身内に不幸がありまして」
村里夕日は、五歳のときに丹山家の使用人として引き取られた。吹子お嬢さまのお世話を任された夕日は、お嬢さまのために秘密の書棚を作り、その秘密の書棚の本を共に読み、感想を話しあうことさえあった。お嬢さまは丹山家の跡取りとして美しく賢い令嬢に成長した。そして、「バベルの会」読書会の二日前、七月三十日のこと。丹山家のお屋敷が、勘当されたお兄様に襲われた。十二人の死傷者を出したお兄様は、お嬢さまに刀で手首を切り落とされ、逃げ出した。御前様は真実を伏せ、急逝したことにする。以来、七月三十日に、丹山家の女が次々と死ぬ。

「北の館の罪人」
内名あまりは、母が死んでしまうと、言い残された六綱家より他に、行くところがなかった。妾腹の子として、厄介者になることを覚悟で訪れた六綱家。しかし六綱家には、とうに厄介者の先客がいた。本館と渡り廊下を隔てる北の館には鍵のかかった黒い鉄の扉。窓にはすべて鉄格子。あまりは北の館の小間使いになり、そして牢番にもなった。幽閉されているのは現当主の兄。早太郎様はしかし、北の館を出たいとは思っていないようだった。早太郎様はしばしば、あまりに買い物を命じる。酢や、卵や、牛の血。早太郎様は何をしているんだろう。

「山荘秘聞」
高地の奥の奥にある飛鶏館は辰野様の別荘。お仕えしていた前降家が没落し、その主に紹介されたのが、飛鶏館の持ち主。屋島守子は、別荘の住み込み管理をすることになった。そうして一年が経ち、ふと気づく。管理する飛鶏館は、一年間でただのひとりも、お客さまを迎い入れたことがなかった。もともと奥様のために建てられた飛鶏館。屋島が飛鶏館に入って程なくのこと、その奥様が亡くなっていた。そんな悶々とした日々にも変転が訪れる。冬山登山中に滑落事故に遭った越智靖巳という遭難者を救助する。だが、救助隊が来ても、屋島は何も言い出さない。

「玉野五十鈴の誉れ」
純香は、小栗家のただ一人の子。お祖母さは小栗家の王として振舞った。常に厳しく躾けられた純香は、友との交友も認められなかった。十五の誕生日に、人を使うことを覚えるようにと贈られたのは、同い年の召使い。五十鈴はお祖母さまの前では愚直になり、純香の前で友となってくれた。純香に新しい世界を見せてくれた。本当に幸せだった。だが、純香はまだお祖母さまのことを、よく知ってはいなかった。婿養子の父の兄が殺人者となり、人殺しの血は軟禁され、離縁の末に再婚した母は男子を産んだ。お祖母さまのすべては、跡継ぎのために。

「儚い羊たちの晩餐」
一冊の日記。最初の頁に、「バベルの会はこうして消滅した」と走り書きが残っている。大寺毬絵は、わずかの会費を払えずにバベルの会を除名された。すべてはケチったパパのせいだ。家屋敷も大寺家の財産も、全部おじいちゃんが一代で築いた。それなのに本人は、あっさり死んでしまった。財産を受け継いだパパは、普段出すものは渋るくせに、外面のためにはじゃぶじゃぶ使う。特別な宴の料理を作る料理人を雇った。夏さんは大量に食材を買い込み、必ず心付けを求め、前の雇い主の話をする。最初のうちはこれが一流だと喜ぶふりをしていたが、そろそろ忍耐も限界らしい。


上流家庭というある種の閉鎖された世界。そこで生まれた歪みと闇が犯罪者を作り出す。それゆえに、動機にも歪みがあり、普通の作品ならば説得力に欠けるだろうが、この特異な世界観でのみは通用しているように思う。ですます調の語り、ゴシックな雰囲気、異常な暗黒性などが目を引いた。ただ、帯に書かれた「ラスト一行の衝撃」の謳い文句は見当外れ。そこを期待すると、消化不良を起こすかも。だが、「身内に不幸がありまして」「北の館の罪人」「玉野五十鈴の誉れ」の三編は納得ができ、満足することができた。それにしてもこの著者は、お嬢さまが好きね。

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米澤穂信
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comments

こんばんは。
たしかに帯に「ラスト1行の…」なんてかかれてたら
期待しすぎちゃうかも。
私のように図書館で借りて、サクっとよむと
1章ずつ読み終わったときの「ゾゾゾ」感はすごいです。
結構きます!
またこの「ですます調」がそれらしい雰囲気をかもし出すんですよね。

なな:2009/01/16(金) 21:00 | URL | [編集]

ななさん、こんにちは。
「ラスト1行の…」は余計ですよね。
その言葉のせいで身構えてしまいました。
これは明らかに出版社のミスだと思います。
でも、面白く読めましたけどね。

しんちゃん:2009/01/17(土) 16:12 | URL | [編集]

こんばんは。お嬢様も好きですが、出来ることなら守子さんに口を塞がれたいたまねぎです。
ラスト一行は驚きではないですよね。うわーっと言いたくなるような後味の広がる終わり方で、これはこれで良いのですが。

たまねぎ:2009/01/21(水) 00:07 | URL | [編集]

たまねぎさん
守子さんというと・・・ええ~っ!マジっすか。
そのお話すっごく怖かったですけど。
ラストは犯罪心理にゾクっとだと思いました。

しんちゃん:2009/01/21(水) 14:52 | URL | [編集]

ラスト一行の衝撃、読み終わってからうたい文句を読んだんですが、そんな感じではなかったですね。
確かにそういう期待で読むと肩透かしかも。
落ち着いた黒い作品集って感じで、よくできてるなと思いました。面白かったです。

ちきちき:2009/02/09(月) 22:31 | URL | [編集]

ちきちきさん
先に帯を見てしまったから、あれ?となりました^^;
これは編集者の先走ったミスですよね。
でも黒いのは好きです(笑)

しんちゃん:2009/02/10(火) 17:37 | URL | [編集]

あ~私は帯を見ていなかったので、ラストに衝撃があるらしいという程度の認識で読んだから肩透かしをくらうことなく読めたのかも。なので黒いわ~とゾクゾクしながら面白く読みました。私、結構黒いのいけそうな気がしてきました。にやり。(笑)

板栗香:2009/04/07(火) 21:13 | URL | [編集]

板栗香さん
衝撃があるらしいだったら良かったです。「ラスト一行の衝撃」ですもん。
それを見ちゃうと期待してしまうのは当たり前ですよ。
でもそのラスト一行以外は面白く読めましたけど。
黒のおすすめならいつでもいたしますぜ(笑)

しんちゃん:2009/04/08(水) 20:01 | URL | [編集]

こんばんわ。
私も「身内に不幸がありまして」「北の館の罪人」「玉野五十鈴の誉れ」が好きでした。
「山荘秘聞」のオチは異色で、落語かよ、と思っちゃいましたね(笑)
帯の文句は期待しちゃいますよね。
「ラスト一行」はともかく、「暗黒小説」に偽りはなかったですね。

ia.:2009/05/18(月) 22:21 | URL | [編集]

ia.さん、こんにちは。
そうそう。一行はともかく、とても黒かったです。
こちらを前面に出した宣伝なら納得したのに。
著者の責任ではありませんが・・・ねえ。

しんちゃん:2009/05/20(水) 18:13 | URL | [編集]

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