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    2009

01.21

「彼女の知らない彼女」里見蘭

彼女の知らない彼女彼女の知らない彼女
(2008/11)
里見 蘭

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夏子の家は、下町で定食屋を営んでいる。もともとは父親がやっていたのだが、夏子が中学に上がる前に亡くなってしまった。それからは母がほとんどひとりで切り盛りして、夏子と弟を育ててくれた。高校を卒業後、夏子は家業を手伝うようになった。もし家に余裕があれば、大学へ通っていただろう。でもそれは無理な相談だった。母を手伝って、いずれは店を継ぐ。他に選択肢はないように思えた。自分の選んだ道に後悔はないし、後悔したいとも思わない。だが、夏子とて考えずにはいられない。人生にもしもがあるならば、と。

蓮見夏希は、日本を代表するランナーであり、前回のロンドン大会で、史上最年少で女子マラソンの金メダルを獲得し、今度の東京オリンピックでは、二連覇の期待がかかっている。その夏希は頚骨の披露骨折で、全治三週間。代表選考の名古屋まで四ヶ月。コーチの村上は無理をさせたくない。会社の方針は、名古屋で優勝して、オリンピックに出場する。そこに村上が出会ったのは、パラレルワールド間を移動するマシンを発明した井尻博士。彼曰く、それに乗って、別世界の蓮見夏希をスカウトしてくればいい。故障していない彼女を。いわば、本物の影武者を。

その男は、何やら勢い込んだ様子でこう言った。君は、自分に別の人生があるかもしれないって、考えたことはないか。モニタに映像が映し出された。女子マラソンの中継を録画したもののようだ。走っているのは、自分と瓜ふたつの少女だった。テロップには蓮見夏希とあった。名古屋マラソンに出場してもらいたい。君にはすばらしい素質が秘められている。マラソンは、計画的なトレーニングを四ヶ月みっちり行えば、未経験者でも充分に完走できるようになる競技だ。君ほどの天分に恵まれた人間なら、優勝も夢じゃない。その夜、夏子の返事を聞いた村上は、よしっ、と拳を握りしめた。

第二十回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作は、別世界でマラソンに挑戦するという作品。別世界だが同じ人。だから持っている才能も同じはず。走れば勝てる。という、有名なハリウッド映画と、最近流行の陸上ものがドッキングしたようなお話。まずパラレルワールドの説明がうざい。でもそれを乗り越えれば読みやすくなる。だけど、読みやすくとも全体的に平坦な印象がずっとあり、読者を作品世界に引き込む何かがここにはない。

主人公はひたすら走っている。だがここでも躍動感に欠けており、息遣いがまったく感じられない。また主人公とコーチのやり取りも事務的で、マラソンにかける熱意だとか想いの強さが伝わってこない。独自性もなく、真似もしきれておらず、最初から最後までずっと中途半端なまま終わってしまっている。それに、ラストの落ちもこれではねぇ。時間の無駄とまでは言わないが、読者を満足させる力量はまだないのかも。

選評を読んでみたが、こちらにも疑問を持たざるを得なかった。選考委員たちは、普段からスポーツ小説を読んでいないような気が……たぶん。

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