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    2009

01.22

「明日、月の上で」平安寿子

明日、月の上で (徳間文庫)明日、月の上で (徳間文庫)
(2006/06)
平 安寿子

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あたしは昔「とんがりトビ子」と呼ばれていた。怒るとトンビみたいな凶暴な目付きで大人を睨む子供だったからだ。長じて二十六歳となった今も角はいっこうに丸くならず、他人の言い種にいちいち反応して喧嘩腰になる。だから呼び名も、トビ子のままだ。今じゃ、自分でもそう名のるからだが。

霧舟温泉にたどりついたときは、ここに居座るつもりはなかった。ただ、美幸さんに会ってブンちゃんの消息を教えてもらいたいだけだった。ストリップ小屋すばる屋は旅館が並ぶメインストーリートの一番端にあり、目指す鳳凰軒は一本入った裏通りにあった。ブンちゃんはお姉さんとだけ連絡を取り合っていた。そして、霧舟温泉という地名と、そこでただ一軒のラーメン屋の嫁だということも聞きだしていた。

鳳凰軒はウチが守るとミツばあさんは、耳こそ遠いが元気が自慢。かわいそうなのはおとなしい美幸さんで、頑固で口が悪いミツばあさんにこき使われ、単身赴任の夫は帰ってこない。トビ子は成り行きでお店を手伝ったところ、ミツばあさんの一人合点で、何も言わないうちに鳳凰軒で働き、二軒隣の二階をねぐらにすることになった。トビ子の意思。それはブンちゃんを捕まえること。ここなら、ブンちゃんの消息がいつかは知れる。

田舎の共同体は昨日今日のやってきた者を受け入れるようにはできていない。それが、ローカル新聞が募集した「私の好きな町」に作文を応募して優秀賞をとってからは、一躍みんなの友達になってしまった。ストリッパーのマリアさんは半生記の作文係を頼んでくるし、ショーの作演出をする入谷さんはますますエロス論を語り込むし、美幸さんと帰ってこない亭主についての噂話に巻き込まれるし、鳳凰軒で働く誠也くんにすばる座の新しい専属さんで弱冠二十歳の真理花ちゃんと天秤にかけられるし、いやはや。

これはちょっとキャラが作られすぎていて、登場人物に共感することができなかった。まともはいや。はみ出したい。あたしは大物なんだから。これぐらいなら勘違いして思うことはあるだろう。だけど、この主人公はぜんぜんかわいくない。自分ばかりがエライと世間をなめきっている女性というのはわかるが、ふと見せる隙や、弱い部分にぐっとくるはずがぐっとこないのだ。そんな内面が綴られているのにも関わらず、突然よくわからないまま全共闘をかっこいいと言い切ったりして、主人公の輪郭がぼやけたりもする。

自分の生き方さがしがテーマなのだろうが、そんな中途半端な具合なので、イマイチ作品世界に乗っかることができなかった。そう思いながら巻末のあとがきを読むと、二十五歳のときに一度書いて封印し、五十を過ぎて書き足した、曰く、二十五歳の著者と五十歳を過ぎた著者のコラボ作品で、あえて若書きのまま、本にしたチャレンジ作だとある。勇気があることは認めるが、読者としては微妙なところだ。読むほうとしては面白いに越したことはないのだから、ね。

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