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    2009

01.24

「蛇衆」矢野隆

蛇衆蛇衆
(2009/01/05)
矢野 隆

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先を見通す力を持つという巫女の最後の予言。そやつは蛇じゃ。人を喰らう蛇じゃ。どこまでも冷たく、どこまでも執念ぶかい。漆黒の蛇。その赤子は御主を呑み喰らう蛇となる。その男には、生まれたばかりの嫡男がいた。我が子を、我が子を殺せ。

時は室町末期。戦場を転々とし、誰にも仕えることなく、己の技倆と才覚のみで生き、金で戦を請け負う蛇のごとき最強の傭兵集団がいた。蛇衆(じゃしゅう)。敵を殴り倒し、蹴り殺していく体術遣いの朽縄。旋龍を回転させながら、敵をなぎ倒していく槍の十郎太。砕躯で敵の頭蓋を粉々に吹き飛ばす金棒使いの鬼戒坊。雫という凶刀の雨を降らせる小刃投げの無明次。雷鎚より敵陣めがけて一直線に矢を突き立てる弓の孫兵衛。血河を流暢な動きで振り回し、敵の首を飛ばしていく大太刀遣いの夕鈴。そして雇い主との渉外担当をする商人の宗衛門。

筑後と肥後の国境近くの鷲尾領。蛇衆は鷲尾家に雇われ、隣接する我妻家との戦いでめざましい働きをみせる。だが、我妻家との戦は痛み分けに終わった。その鷲尾家は、当主嶬嶄の家督争いに家臣たちは揺れていた。鷲尾家の長子である弾正と、次期当主にふさわしいといわれる二子の隆意。そこにある噂が流れ出す。荒喰いの頭目と目される男が、三十年前に死んだはずの嶬嶄の嫡子ではないかと、まことしやかにささやかれだしたのだ。老いて病に伏せる妻を問い詰め、当時赤子は逃がされたと知った嶬嶄は、幾重に罠を張りめぐらして、朽縄を鷲尾家に引き入れる。

朽縄が蛇衆を離れ、鷲尾の地に残ってから一年半が過ぎようとしていた。若い十郎太は、朽縄がいなくなったことで、誰に求められたわけでもないのに、自分がなんとかしなければと躍起になっていた。空回りをしていることは解っていた。夕鈴だって朽縄と袂を分かったことで苦しんでいる。仲間に見せなかった夕鈴の寂しさ。十郎太の痛々しい姿が、夕鈴の奥底に隠していた感情を揺り動かす。そこに新しい仕事が到来した。場所は筑後と肥後の国境の山奥。雇い主は鷲尾家の朽縄だった。第21回小説すばる新人賞受賞作。

これは良かった。ありていに言えば、真田十勇士、南総里見八犬伝などを、ごちゃ混ぜにしたような作品だと思う。時代小説にエンタメ要素を加え、彼らの戦闘場面は、某ゲームのような何百人斬りといった派手なもので、とにかくこの暴れっぷりが爽快だった。だけど、ゲームのようにコンティニューがないところが潔い。それに、読者を楽しませよう、わくわく読ませようという、著者のサービス精神がそこら中に溢れ、その活劇場面がカッコよく、全体を通してリズミカルで文章に勢いがあった。また、ええっという驚きもあり、家の怨念を背負った黒い渦もあり、そして、一人一人の結末への向かい方が、切なくて、壮絶でいて、清々しさに彩られている。次回作もまた読みたいと思い、「蛇衆」の続編にも期待したい。これはお薦めです。

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comments

今朝の新聞の書評でもべた褒めされていました。
やはり、おもしろそうですね。

くまま:2009/01/25(日) 09:19 | URL | [編集]

くままさん
新聞でも取り上げられていましたか。
自分もこれはプッシュしたいと思いました。
くままさんも読んじゃって~!ぜひぜひ。

しんちゃん:2009/01/25(日) 19:57 | URL | [編集]

確かに痛快に読めるのですが、ぼくはラノベに過ぎないとしか思えなかったです。
これは、こと「小説すばる新人賞」という新人賞にを意識してしまったからかもしれませんね。

すの:2009/06/14(日) 11:55 | URL | [編集]

すのさん
主人公だと思われた人物があっさりと死に、その仲間も次々と死んでゆく。
ラノベではありえない展開だと自分は思い、その潔さを買いました。
読む人の好みでしょうけど^^)

しんちゃん:2009/06/14(日) 20:51 | URL | [編集]

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矢野隆 『蛇衆』


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