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    2009

01.26

「水の迷宮」石持浅海

水の迷宮 (光文社文庫)水の迷宮 (光文社文庫)
(2007/05/10)
石持 浅海

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片山は急いでいた。深夜の水族館は、水槽でできた迷路のようだ。最近水槽の状態が安定していない。ほとんどが水温に関するトラブルだ。一度には狂わない。ひとつケアすればまた次という具合でおかしくなる。トラブルは今夜も発生した。片山は予備水槽が使用可能な状態であるか確認しようとした。水温は大丈夫か。片山は反射的に、温度計の目盛りを見るのではなく、水槽に手を突っ込んだ。途端に全身に鳥肌が立った。片山の心臓は、その瞬間停止した。

古賀は深澤を飼育係室の一番奥に連れていった。小さいテーブルが設置されていて、その上に写真立てが載っている。片山だ。三年前に亡くなった前の飼育係長であり、古賀と深澤の大学時代の先輩でもある。三年前の今日、片山は館内で冷たくなっていた。過労による心不全。そう診断された。深澤はそれ以来、命日には必ず水族館に足を運んでくれる。古賀と深澤は、同じダイビングサークルに所属していた。深澤はその後電機メーカーに就職し、古賀は先輩の片山が勤める水族館に、欠員の補充として推薦してもらった。

ところがいざ入ってみたら、そこはとんでもないところだった。設計が古く、お世辞にも魅力的な水族館といえるものではなかった。雑な運営に、やる気のない職員。たった一人、片山だけが魅力的な水族館にしようと奮闘していた。古賀も懸命に働いたが、いつ閉鎖するのかタイミングを計っているような状態だった。それを一変させたのが、現館長である波多野の招聘であり、深澤の登場だった。そして水族館は生まれ変わった。道半ばで死を遂げた片山。その命日に、水族館の展示生物への危害を予告する、不吉なメールが届いた。そして、自衛策を講じる職員たちの努力を嘲笑うかのように、殺人事件が起きた。

犯人は内部犯なのか。外部の人間なのか。共犯者がいるのか。犯人の狙いはどこにあるのか。三年前の片山の死との関わりは。来館者すべてを人質に取られたことで、警察を当てに出来ない。そんな中、水族館の存続を賭けて職員たちは議論を尽くし、探偵の深澤が謎に挑む。といった水族館を舞台にした本格ミステリ作品。

個人的なことだが、魚が好きというか、泳ぐ姿に癒されたくて、熱帯魚を飼育している。だから水族館の舞台裏は興味深く読んだけれど、気になる点が少々あった。冒頭部分でいえば、「温度計の目盛りを見るのではなく、水槽に手を突っ込んだ」は、些細なことだけどこれはおかしな一文だ。素人じゃないのだから、手は突っ込まないでしょう。それにそこで感電って無理がありすぎ。ちょっと詰めが甘いな~という部分が目に付いたのは残念。おまけに温度計って…、普通は水温計というし。

それ以外は概ね満足する内容だったが、事件の真相が明らかになった後がどうも納得できなかった。確かにラストはきれいだ。だけど、理想のために、あったことに蓋をして、あれから頑張りましたでは甘すぎでしょう。人の死をこんなに軽く片付けるのは頂けないし、巻末の解説で某作家がこの甘さを加護しているのも見苦しく思えた。これ以上はネタバレになるので言えないが、この部分は読み手によって賛否が別れそう。ハッピーエンドが好きな方には喜ばれそうだけど、自分はダメ派でした。

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