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    2009

02.01

「I’m sorry. mama.」桐野夏生

I’m sorry,mama. (集英社文庫)I’m sorry,mama. (集英社文庫)
(2007/11)
桐野 夏生

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児童福祉施設の保育士だった美佐江が、自宅アパートで25歳年下の夫と焼死した。その背景に、女の姿が浮かび上がる。盗み、殺し、火をつける「アイ子」。彼女の目的は何なのか。繰り返される悪行の数々。次第に明らかにされる過去。救いようのない怒りと憎しみとにあふれた女は、どこからやって来たのか。邪悪で残酷な女の生を、痛快なまでに描き切った問題作。《背表紙より》

こういうめちゃめちゃは大好きだ。理性というリミッターを外して生きてきた四十代のおばさんが主人公。そのアイ子は娼婦の館に生まれて両親は不明。放って置かれて育ち、置屋が潰れて、児童福祉施設に入所した。アイ子には虚言癖や盗癖があり、大人には子供とは思えない媚を売った。そして施設を出た後も、行く先で次々と事件を起こしていく。

金に汚く、盗みや奪うことは普通で、気に入らない人物がいれば、躊躇せずに火だるまにする。そして逃げ足ははやい。なんて危ないおばさんなんだろう。だけど嫌悪の対象にならないのは不思議だ。これは狂いっぷりが突き抜けているからなのか。その一方で、まるで気に入らなければ泣き叫び暴れまくるちびっ子ギャングが、そのまま大人になったかのようだ。たまに殺意を覚えるガキもいるけれど。(おっと)

普通のひとならば、理性、常識、倫理などがストッパーになり、その行為のもたらす影響に対して恐怖心を感じ、それが自制となる。でも根っこのところでは、殴ってやりたいとか、ツバをひっかけてやりたいとか、階段から突き落としてやりたいなど、瞬間的に思うことはある。でもそこをぐっと拳を握って我慢する。だからこそ、イライラが溜まってそれがストレスになる。でも本当は誰もが爆発したいという感情を燻らせている。

このおばさんにはそんな歯止めなど微塵もなく、感情のままに行動する。考えるということを知らない。このおばさんには、善悪の区別なんてこれっぽっちもない。ムカついたり、目障りだと思えばあっさり殺す。だから陰口のような陰湿な黒はこのおばさんにはないし、のの字を書いていじけるような鬱陶しいさもない。正邪でいえば悪女というか狂女だが、自由人とも取れてしまう一面がある。それを開放しているおばさんだからこそ、読んでいて、そこに快感を覚えてしまうのかもしれない。

そういうアイ子の周囲には、当たり前だけど普通のひとたちがいる。この普通のひとたちは、小金をちょろまかしたり、嫌がらせをしたり、成功者に追従したりするのだが、これらは誰もが持っている感情や、ちょっとしたことでしかない。だが、これらの人の方が醜いように思えてしまうから不思議だ。小物ぶりがみすぼらしくて、言うならば、生々しい嫌らしさがとても不潔で不快な気分になってくる。アイ子のほうが異質で異分子で異常なのにだ。そんなアイ子の出生の秘密とか、行き着いた先とかは、想像通りであっても、それはマイナスポイントとは思えない。さもありなん、という結末まで、黒好きには面白く読めた一冊だった。

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comments

しんちゃん☆こんばんは
桐野さんが描く女はいつも黒いですけど、アイ子はその中でもかなり真っ黒でしたね。
ここまで嫌な女だと、かえって気持ちいいってのには、私も同感です。
あれだけ好き勝手できることに、ちょっと憧れもあるのかもしれないなぁ。(^^ゞ

Roko:2009/02/01(日) 21:30 | URL | [編集]

Rokoさん、こんにちは。
真っ黒ぶりが自分の好みとピッタリでした。
実は桐野さんはこれが初読みでした。
他の作品も読みたいと物色したのですが分厚い本ばかり^^;
薄めのおすすめ作があれば教えてください。

しんちゃん:2009/02/02(月) 15:41 | URL | [編集]

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