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    2009

02.06

「トーキョー・クロスロード」濱野京子

トーキョー・クロスロード (teens’best selections)トーキョー・クロスロード (teens’best selections)
(2008/11)
濱野 京子

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高校二年生の森下栞は、休日になると、山手線の地図を壁に貼ってダーツする。当たりの駅で降りて、ぶらぶら歩き始め、面白いと思ったものを写メで撮る。こんなおかしな趣味のことは、友だちにも話してはいない。そしてたぶん、級友たちが見たら目を丸くするだろう。休日の私は、きびきびとした頼りがいのあるヤツではなく、家の中にいるまんまの格好で、てれてれと歩く。私でない私。だれも知らない私。孤独という名の解放。私が何ものであってもいい。そこで私はあわい喪失感にひたる。

その日もあてどなく歩いていた栞は、思いもかけず、中学最後の年の同級生、月島耕也と再会した。その夜、封印していたものが解かれたように、一気に思い出がおそってきた。耕也とはほとんど口をきいたこともなく、とりたてて興味を持った記憶もなかった。だが、あれは卒業式の数日後だった。愛や好意でなく、かといって戯れでもない。十五の春のファーストキスは、そんなだった。もう逢えないと知っていた。最初は、ひとりになって、静かに悲しみに浸りたくて歩き始めた。でも、いつしか、街を歩くことそのものに面白さを見出すようになった。

再会した耕也の屈託のない親しみや、感覚の近さに共感しつつ、二人で会って街を歩くようになった。それは耕也が友達の彼氏になった今も続く。好きな人といても手が届かない。だから、自分を裏切って亜子を引き合わせたのは栞自身。その一方で、二つ年上の同級生の麟太郎と河田貴子らとも親しくなり、彼らの学校以外での別の顔を知って、栞は自分と照らし合わせてみる。女子三人組の亜子のかわいさに惹かれ、美波の真直ぐな性格を羨ましく思いつつ、つい頼れる委員長を演じてしまう。私はいったい何なんだろう。

やはり濱野さんはいい。ヒロインの少女は、人の気持ちは見えるのに、自分の気持ちが見えていない。いや、気づいているのだが、恋に奥手で、それを表に出すことができない。その相手となる少年もまた、女心に鈍くて、そこがじれったくもあるが、この年代の男の子ってこんな感じなのかもしれない。

そこに現れる第二の少年の存在感がまた素晴らしい。優しくて、誠実で、少し大人で、自分というものをしっかり持っている。ヒロインもそこに気づくのだけど、でも、心に思っているのはずっと彼のことだけ。その彼もまた、その少年の存在が気になって、ヒロインの周辺をちょろちょろしてしまう。

ここには大人の駆け引きはない。その揺れ動く心を人に見せられずに、気づかれることを極度に恐れている。純粋そのものだけど、彼らのその純粋という若さがほろ苦く、それでいて切ない。でも、恋する乙女は、かわいくて素敵だった。煮えきらない彼の行動も元男子の自分には理解できた。恋っていいなぁ。素敵な一冊でした。

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濱野京子
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♪ただ 一度だけの たわむれだと 知っていたわ♪ ♪もう 逢えないこと 知ってたけど 許したのよ♪ ハイファイセットのフィーリン...

2009/09/13(日) 23:07 | つきよのみみず

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