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    2009

02.09

「愛の保存法」平安寿子

愛の保存法 (光文社文庫)愛の保存法 (光文社文庫)
(2007/12/06)
平 安寿子

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「愛の保存法」「パパのベイビーボーイ」「きみ去りしのち」「寂しがりやの素粒子」「彼女はホームシック」「出来過ぎた男」からなる、ダメ男とわがままな女たちが登場する短編集。

「愛の保存法」
久井光太郎と高坂まゆみが結婚することになり、奈香子は披露宴の司会役を嫌々ながらすることになった。現在離婚中の光太郎とまゆみは、過去十六年の間に三度結婚し、その度に式を挙げている。つまり今度が四度目の披露宴になるのだ。二人は十五歳になる娘の親でもある。まゆみがでしゃばりで話題の中心になっていたいタイプだということは、周知の事実だ。光太郎はいつ見ても安定した笑顔を崩さないが、その本心は不明だ。そんな結婚離婚を繰り返すはた迷惑な二人だが、そこには意外に深い理由があった

「パパのベイビーボーイ」
琴絵が、結婚の話は考え直したいと言い出した。理由は丈彦の親父にあった。本当は紹介なんかしたくなかった。結婚するのなら両方の親の顔合わせをしなければと琴絵が言い出したので、一生会わずにすませたいと思っている親父を紹介した。琴絵への愛ゆえにだ。父を思うと、丈彦の胸に普段使ったことのない荒々しい罵声の言葉が湯水のように湧いてくる。その親父と琴絵はキスしたと言う。しかも、お父さんを好きになったの、と言われてしまい、こんな気持ちで結婚なんてできないと告げられた。

「きみ去りしのち」
有子の母親が死んだという知らせがあった。卵巣に癌が発見されたとき既に末期だと宣告されていた。剛はこのところ毎日、心の中で訃報を聞いたときにどう振舞うか、予行演習をしていた。やることは、ひとつである。有子を抱きしめて、思う存分泣かせてやるのだ。その場面を思い浮かべるだけで、不謹慎だと思いながらも、うっとりした。母親の闘病中、有子の関心はそっちに集中した。剛も腫れ物に触るような気持ちで、及び腰だった。そんな八ヶ月が過ぎて、母親は死んだ。有子の心に大きな穴が開く。自分の出番だ。

「寂しがりやの素粒子」
二階から宅田が顔をのぞかせた。旋盤工の鉄太郎は、こいつの顔をなるべくなら見たくない。彼がいう仕事とは、論文とか文献を読むことなのだそうだが、当然、一円にもならない。宅田は息子が通っていた工業高校で、数学の講師をしていた大学院生だった。息子の不登校を説得し、復学のきっかけを作ってくれたのは彼だ。あれから、二年半である。宅田は会社からも妻からもリストラされていた。そのうえ、平気で教え子の家に転がり込んできた。そんなところに、独立していた娘が出戻ってきた。

「彼女はホームシック」
もうすぐ引っ越す。これは都季子の口癖だ。そして本当に、ほぼ二年おきに引っ越す。都季子はただ歩いているだけでも不動産屋の看板を見ると自動的に中に吸い込まれていき、マンションやモデルハウス見学で陶然とする。泊りがけの旅行に出かけても物件見学を強行する。一人で行ったら話を決めてしまう。夕食おごるから一緒にきて、わたしを止めて。都季子がそう頼み込むから、暇な文房具屋の島津とその店のバイトで都季子の姪のクルミは彼女の不動産見学ツアーに付き合ってきた。そう躾けられている。

「出来過ぎた男」
今年二十歳になる娘の瑠璃に告白しようと思う。信光に相談されたミチルは「いいんじゃない?」と軽く答えた。離婚したことを納得している子供たちだが、腹違いの兄弟がいることまでは知らない。わざわざ知らせることはないと、二人で決めたからだ。信光はどうしても瑠璃に告白したいそうだ。それだけにとどまらず、できることならみんな仲良くなってほしいと言う。みんなとは、瑠璃と貴光、二度目の妻との間の男の子、三度目の妻と作った女の子、さらに結婚していないが認知している男の子の計五人だ。


ここに登場するのはダメ男たちばかりだが、どうにも憎めないヤツらばかりだ。結婚離婚を繰り返すどうしようもないカップル。年甲斐もなく軽薄な父親と、その父に婚約者の気持ちを持っていかれた屈折した息子。彼女の母の葬儀を利用して、関係前進をねらう夢見がちな男。働かずに勉強しか頭にない、浮世離れした仙人のような男。女友達から呼び出しを受けると、ほいほい飛び出す便利屋化した男。あちこちに作った子供には受けがいい、子煩悩で絶倫な親父。それと比べて、わがままな女たちは少々きつい。簡単に憎めてしまうのだ。

ある男は解く。女の人には意見なんかしちゃいけない。そもそも女の人には男の意見なんか必要ない。何か相談されたり愚痴られたりしたら、優しく抱き寄せて、よしよし、きみのしたいようにしたらいいよと、こう言ってやらなくちゃ。それが、男のたしなみだよ。また、男は解く。昨日と今日で、言うことが全然違うんだから。平気で矛盾してるんだよ。だけど、それが女の人ってものなんだ。だから、何を言われても言い返しちゃいけない。はいはいと承る。それが女の人を安心させる――。まことにごもっともな意見だ。

その一方で女は毒を吐く。言わなきゃわかんないじゃ、そもそも、わかる頭がないってことよ。思いやりがないんだわ。本当に悲しかったり怖かったりすると、何にもいえなくなるのよ。言えなくても、あの人はわかってくれた。だからわたし、あの人の前でずいぶん泣いた。あの人、その間、ずっとそばに座ってくれた。わたし、もともと弱いのよ。わたし、あの人のこと、相当好きみたい――。自己弁護から逆ギレする女の対処法はないの?

こういった共感できる部分が多々あって、一見ダメな人間にも学ぶべきところがあったりもする。やっぱり平安寿子はいい。男女の本質が見事に描かれていて、あるある、わかる~、と膝を打ちまくりの読書となった。そうして、平安寿子のダメ人間を読んで我がふり直せ、ってか。それは一理あるかも。おすすめの一冊です。

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平安寿子
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comments

この前の瀬尾さんに続いて、平さんの本も読んだので、トラバさせていただきましたm(_ _)m
平さんの書く、恋愛話って面白いですよね~。
しみじみとくるところあり、元気をもらえるところあり、見習わなければと思うところあり…。
まだ未読本があるので、引き続き読んでみたいと思います。

たかこ:2009/06/04(木) 23:19 | URL | [編集]

たかこさん
平さんの書く人って、ダメなんだけど憎めないんですよね。
このユルさに嵌ってしまい、気がつけばコンプ作家です。
もちろん今後も読み続けたいと思います。いいよね~!

しんちゃん:2009/06/05(金) 18:11 | URL | [編集]

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愛の保存法 / 平安寿子


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2009/06/04(木) 23:05 | たかこの記憶領域

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