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    2009

02.21

「森に眠る魚」角田光代

森に眠る魚森に眠る魚
(2008/12)
角田 光代

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引っ越してきて、新人ママになった繁田繭子。ものすごい人見知りをする息子を持つ久野容子。息子を母に預け、お洒落して外出する高原千花。ボランティアの人脈だけがすべてだった小林瞳。母子ともにブランドを身にまとい、不倫関係を制裁できずにいる江田かおり。東京の文教地区の町で出会った五人の母親。育ってきた環境も、今の生活水準も違う母親たちだが、やがて母親たちは育児を通してしだいに心を許しあう。

繭子は開けっぴろげで話していて気持ちがいいし、容子はもの静かだが思慮深さが感じられ、かつて母親たちに感じた違和感を、瞳なら隅々までわかってくれるだろう。千花は派手で華やかだけど、気さくでこまやかな気配りができて、かおりは高級品に囲まれた理想の生活を過ごしている。この人たちとなら、ユウくんママ、コウちゃんママといったよそよそしいつきあいでもなく、ママ友なんて一時的なつながりでもない、もっと長いつきあいができるのではないか。だれかの母とか、だれかの妻ではなく、自分自身として。

だが、五人の母親は、小学校受験をきっかけにすれ違い、深い森の中へさまよい込んでいく。羨望、気後れ、嫉妬、疑心、不快感、疎外感、依存、陰口、被害妄想。他人と比べることで、母親たちは負の感情に溺れてしまうのだ。今、なんでここにいるんだろう。あの人とはわかり合えるはずだから共感したい。なのになぜ私を置いてゆくの。子どもを預かってあげたんだから……。あの人たちと離れればいい。そうだ、終わらせなきゃ。果ては憎悪。相手の存在自体を否定するまでになっていく。

母親たちの子どものためという考え自体が、自分の見栄でしかないように思う。それぞれの夫たちは、妻まかせというポジションに定着させてはいるが、この母親たちにもし意見を言ったとしても、口論でねじ伏せて、結果的に我を通してしまう人のように思えた。お受験を経験した方は、ここに共感を得るのだろうか。自分にはこの負の連鎖がわからないし、彼女たちが怖くてしかたなかった。

そんな母親たちの狂騒の中で、当事者である子どもたちが、とにかくかわいそうだった。子どもは親を選ぶことができない。その頼るべき母親が熱病にかかったように狂ってしまい、子どもたちの目にその母親はどう映っているのか。それを思うと寒気がする。そんな中で、おいら口調の光太郎くんの存在が、閉塞感が漂う息苦しさの救いになっていたように思う。そのようなお受験熱が醒めたあと、一気に訪れる静けさに、読者は考えさせられる。あれは何だったのだろうと。

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角田光代
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comments

こんばんは。
お母さん達怖かったですね。
小学校お受験なんて所詮親の見栄でしかないんでしょうね。
だって、子供は近所で遊べるのが一番ですもん。

なな:2009/02/21(土) 21:01 | URL | [編集]

ななさん、こんばんは。
もうめちゃめちゃ怖かったです。
自分たちの子供の頃って、お受験なんてなかったですよね。
公立で十分。公立のなにが悪い、という感じです。

しんちゃん:2009/02/22(日) 19:28 | URL | [編集]

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