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    2009

03.02

「大切なひと」石井睦美

大切なひと大切なひと
(2008/12/22)
石井 睦美

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「悲しいのはね、不幸せな思い出じゃなくて、幸福な思い出のほうなの」と、遥夏は言った。ぼくは、ちっともわかっていなかった。愚かにも思いこんでいた。遥夏がそんなことを口にするのは、ふたりの幸福な時間がいつか消えてしまうことを怖がっているからに違いないと、そう思っていただけだった。ぼくは、遥夏が言おうとしていたほんとうの言葉の意味さえわかろうとしていなかった。

情熱を傾けられるものは音楽だけだった歩は、東京の大学に進学して、いつも週末は井の頭公園で演奏し、自分のうたを歌っていた。それが自己満足に限りなく近いものだということはわかっていたが、聴いてくれるひとも出てくるようになった。だれもが一度きりの聴衆だった。ところが、その中にひとり、たびたび聴きにきてくれる子がいた。同い年の髪の長い女の子。彼女はいつも、歩の口元をじっと見つめて聴く。彼女は耳が不自由だった。

間宮歩と柏原遥夏。二人は恋をしていた。笑いあい、少しずつ親密になっていき、こころの奥にあることも話すようになっていた。遥夏は幼い頃に別れた父との約束を守り、耳が聞こえなくなってもバレエを続けていた。いまも父親を慕っていることがよくわかったし、ただ慕っているというだけでなく、会いたいと思っていることも、彼女の口ぶりや瞳の動きとかでわかった。おとうさんを捜しに行こう。ふたりは、遥夏の父を探す旅に出る。

すごく切ない物語だ。二人の気持ちがひとつになっても、お互いの理解を高め合っても切ない。なぜならば、冒頭で二人はすでに別れているからだ。歩はミュージシャンとしてデビューを果たし、そのデビュー曲が売れている。そのうたの歌詞は、耳の聞こえない遥夏との恋を歌ったものだ。だが、会うことはできない。そのことがマスコミに知られると、彼女の静かな生活が脅かされるからだ。

好きあったまま別れるという、ベタな展開を忠実に辿っていく。ただ、個人的には、こういう切ない系は苦手だ。泣かせようとする技巧が嫌いだとか、ハッピーエンドじゃなければ嫌という子供染みた理由からではない。明確な理由はないけれど、なぜか好きになれないのだ。だから、言いたいことはわかるのだが、作品の評価をまともに下すことをできない。それでも二人は乗り越えられたんじゃないの、と少しは思うけれど。

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石井睦美
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