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    2009

03.20

「アレグリアとは仕事はできない」津村記久子

アレグリアとは仕事はできないアレグリアとは仕事はできない
(2008/12)
津村 記久子

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「アレグリアとは仕事はできない」
万物には魂が宿る。ミノベの信仰にはそうある。だからミノベは舌打ちをし、目を眇め、衝動に震える足を踏み鳴らし、叫ぶのである。「おまえなあ、いいかげんにしろよ!」ミノベは、商品名アレグリアの原稿テーブルを、平手で何度も叩きつけた。アレグリアはうんともすんとも答えなかった。やっと動き出したかとなけなしの希望に目を輝かせたミノベを嘲うように、再び沈黙した。

A3からA1対応のプリンタ、スキャナ、コピーの三つの機能を持つ複合機であるアレグリアを、ミノベはほとんどコピー用途で使っていたが、他の二つでの仕事ぶりと比べて、彼女はまるでそれをさげすんでいるかのような拒みようだった。ピー、と八秒間鳴り、アレグリアは再びウォームアップに入った。自社ビル四階技術部フロアの片隅における機械と人との攻防は、当分終わりそうになかった。

ミノベに言わせると、アレグリアはどうしようもない性悪だった。快調なスキャン機能で、それを主に使う男性社員の歓心を買い、そのじつ怠惰そのものの態度をミノベには示し、まるで媚を売る相手を選んでいるようにも見える。メンテナンスの人間がやってくるとぐずっていたそれまでの様子を覆し、突然ちゃんと動き始めたりもする。こいつは女嫌いなんだと思います、と社内でただ一人ミノベと同じ仕事をしている先輩に話すと、不思議な顔をされた。

これは使えない機械との格闘でありながら、他人と理解し合うことの困難さを描いた作品だと思う。同じように不満に思っているはずの先輩が、何故か同調してくれないもどかしさ。しかも誰もこの慢性的な不具合に気づいてくれない腹立たしさ。とにかく、主人公の怒りっぷりと、話の切り口が面白かった。作品とは関係ないけれど、うちのコピー機もよく紙詰まりを起こす。だけどメンテナンスの人間がやってくると、嘘のように動き出す。何故だ!?

「地下鉄の叙事詩」
通勤通学客で満員の地下鉄車両内。心の中で周囲に毒を吐く大学生。運良くシートに座ることができたサラリーマン。通勤電車に乗ると人格が変わってしまうOL。痴漢に遭って抵抗できない少女。同じ電車に乗り合わせた四人が遭遇したある事件。それぞれの視点から描かれた書下ろし作品。

満員電車に乗ると、誰もが不快に思うことがあるだろう。イライラして毒づきたくもなるだろうし、座れたラッキーに余裕が持てたり、無性に攻撃的になる自分がいたり、痴漢に遭う可能性も。そういった乗客たちの心情がすごくリアルだった。そう言いながらも、自分の職種は満員電車とは縁がない。しかし学生時代の通学を思い出した。特に雨の日の電車内は、整髪料の異様な臭いが漂っていたことを。

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津村記久子
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2015/04/05(日) 21:46 |

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