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    2009

03.29

「赤い指」東野圭吾

赤い指赤い指
(2006/07/25)
東野 圭吾

商品詳細を見る

「あなた、早く帰ってきてほしいんだけど」妻の声には余裕がなかった。真っ先に思い浮かぶのは、母親の政恵のことだ。老母の身に何かあったのか。昭夫が八重子と結婚したのは、今から十八年前のことだ。三年後には子供が生まれた。男の子だった。直巳が生まれてから、八重子は子育てを中心に物事を考えるようになった。その子育てをきっかけに、八重子は正恵とそりが合わなくなった。

重い気持ちで家に帰ると、家の中はやけに暗かった。八重子は顔色が悪く、目が充血している。「庭を見て」と八重子がいった。ブロック塀の手前に女の子が死んでいた。昭夫は目の前が絶望的に暗くなった。少女の死体と部屋に閉じこもる中学三年の息子は、無関係ではない。その息子の顔に反省や後悔の色など微塵もなかった。どんな時でも自分は悪くなく、すべての責任は周りの人間にあるのだと甘え続けてきた顔だ。

「捨ててきて」八重子は顔を上げていった。無茶だ。昭夫は口の中で繰り返した。だがそう呟きながら、彼女のこの提案をじつは自分も待っていたことを自覚していた。その時ふと、ある考えが彼の脳裏を横切った。同時に、たった今生じたアイデアを振り払おうとした。考えること自体がおぞましく、思いついた自分自身を嫌悪しなければならないほど、そのアイデアは邪悪なものだったからだ。

これは加賀恭一郎のシリーズだそうで。「卒業」を随分前に読んだきりなので、シリーズものとしてではなく、単独作のように読んだ。この最低最悪のどうしようもない家族について、思ったことを語りだすと止まりそうにない。だけど、よくよく冷静に考えてみると、これはこれで非常にステレオタイプな人間たちばかりだ。

自分は逃げるばかりで、すべてを妻に任せてきた夫。ヒステリックで身勝手な一方で、息子を溺愛し甘やかすばかりの母親。その結果、現実に背を向け、自分の貧相な世界に閉じこもっている息子。そして、同居の母は認知症。あきらかにダメな人のオンパレードだが、こういう人たちはどこにでもいる。その小心ゆえに、バカ息子の犯罪を隠すという愚挙に突き進む。

こうした家庭崩壊という社会性のあるテーマが題材で、その犯人隠匿のための自分勝手な言動や行動に終始苛々とさせられて、嫌悪感が募るのだが、それなのに意外とするすると読めてしまう。さらに、最後には加賀が言い放ったひと言で溜飲を下げてしまう。東野さんらしいエンターテイメント小説であった。犯人側にこれっぽっちも同情できない作品だけど、直木賞受賞作の「容疑者Xの献身」よりも、こちらの方が好き。ただ、これ以上ネタバレなしで書くことは無理なので、この作品についてはここでおしまい。

おまけ。サイン本を購入できますと、講談社からのメールマガジンにあった。買い物カゴに入れて、届いたのがこれ。おおっと思った方。残念ながら、すでに売り切れです。というわけで、東野圭吾さんのサインをゲット。

東野

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東野圭吾
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comments

おはようございます。
この家族は全員が強烈だけど
誰でもこういう風になっちゃうかもしれない。
そんな怖さがあるなって思いました。

なな:2009/03/30(月) 06:24 | URL | [編集]

ななさん、こんばんは。
バカな家族ですが個人個人ではいそうな人でしたね。
おばあちゃんも安心して呆けれないな~、と。

しんちゃん:2009/03/30(月) 19:48 | URL | [編集]

いやいや、不愉快な家族でしたけど、そういう愚かな家族がテーマですもんね、そう思ってもう一度読んでみたいです。案外さらっと読んでしまったので。

じゃじゃまま:2009/04/03(金) 22:43 | URL | [編集]

じゃじゃままさん
不愉快な家族だけど、同じくさらっと読めてしまいました。
同情なんてこれっぽっちも出来ないし、救いのないバカ家族だけど。

しんちゃん:2009/04/04(土) 19:30 | URL | [編集]

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