--

--.--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

スポンサー広告
トラックバック(-)  コメント(-) 

    2009

03.30

「富子すきすき」宇江佐真理

富子すきすき富子すきすき
(2009/03/19)
宇江佐 真理

商品詳細を見る

「藤太の帯」「堀留の家」「富子すきすき」「おいらの姉さん」「面影ほろり」「びんしけん」の六編を収録。

「藤太の帯」
柳原には古着屋がひしめくように並んでいた。そぞろ歩くおゆみに格別ほしい物はなかったが、すぐ近くの床見世に飾られた一本の帯が目に飛び込んできた。俵藤太の百足退治が描かれた帯。おゆみは身体が丈夫ではなく、お守り代わりにするとその帯を買う。しかし、その後、藤太の帯を締めたおゆみを見ることはなかった。おゆみの通夜になかよしの四人の娘が集まった。おゆみの形見で、持ち主を選ぶというその帯が、仲良し四人娘の間を順に回っていく。

「堀留の家」
干鰯問屋蝦夷屋の手代の弥助と女中のおかな。蝦夷屋に奉公できるようにしてくれたのは掘留の夫婦で、二人が堀留の家と呼んでいるのは、堀留町二丁目にある元岡っ引き、鎮五郎の家だった。女房のお松は無類の子供好きであり、親に捨てられたなどの訳ありの子供が常時、堀留の家で暮らしている。弥助もおかなもその一人だった。捨て子として一緒に育ったおかなから思いを寄せられても、弥助は、妹以上の気持ちにはなかなかなれなかった。

「富子すきすき」
内匠頭が刀傷に及んだ仔細をもっと突き詰めてほしかったと富子は日毎、栓のないことばかり考える。そして、綱吉の裁量で、せめて浅野家が存続さえできていたなら、この度の赤穂藩士の討ち入りは、少なくとも行われることはなかったはずである。富子は上野介の死と跡継ぎの左兵衛の配流と、吉良家の改易に泣いて泣いて、虚ろな日々を過ごしていた。吉良上野介を、世間はますます悪者にしていく。「富子、すきすき」と言ってくれる優しい夫だったのに。

「おいらの姉さん」
生まれも育ちも吉原の沢吉は引き手茶屋の手代。根本屋を訪れたのは小原作左衛門という武士だった。初会の次に裏を返し、晴れてなじみとなるその夜、作左衛門の表情は心なしか上気しているように見えた。九重の名が出ると沢吉は我知らず緊張する。九重が禿であった頃から沢吉が知っている花魁だった。九重とは、花魁と引き手茶屋の手代以上の心の繋がりがあった。そしてひそかに思いを寄せていた。

「面影ほろり」
母親が病を得て床に就くと、八歳の市太郎は邪魔になるというので、辰巳芸者のおひさの家に預けられることになった。おひさは意気地と張りのある女で、女中のおつねは市太郎の姉のようなものだった。手習所の辰之進は少し変わった師匠だった。母親のことを別にすれば、市太郎の毎日は結構、楽しいものだった。だが、深川八幡宮の宵闇の日、忘れられない事件が起きた。市太郎が再び深川八幡宮を訪れることになったのは、二十五歳の時。祝言を挙げることになったからだ。

「びんしけん」
浅草の裏手に市右衛門店と呼ばれる裏店があった。店子としては古参の部類に入る小左衛門は手跡指南の師匠をしている。小左衛門はまれにみる堅物で、行儀にうるさく、子供が膝を崩そうものなら、傍らに置いた物差しでぴしりと打った。四十二歳になった今も小左衛門は独り者のままだった。そのような小左衛門の家に、お蝶がやってきた。二十歳になるのに、読み書きはおろか、まともな行儀作法も心得ていない。小左衛門は渋々引き受け、ひとつ屋根の下でお蝶と暮らすことにした。


人生の分岐点が訪れた時に、一途に想う江戸の女たちは何を思うのか。それぞれの女たち、また関わることになる人たちに起こる人間ドラマ。その心の動きが非常に面白い。特に良かった作品をあげてみる。捨て子として一緒に育った男女の「堀留の家」では、明暗別れる行末にやるせなさを感じる一方で、感動で胸がいっぱいになった。高嶺の花と知っていながら思い切れない「おいらの姉さん」は、報われない恋が切なくて、一生一度の瞬間に美しさを覚えた。忘れられない思い出とあの言葉が甦る「面影ほろり」では、ラストでおもわず涙しそうになった。この三編は断トツで好きな作品だった。

追記。トーク・ショー&サイン会に参加しました。お天気お姉さんに宇江佐さんという人がいて、天気でウェザってすごいと思ったことで、ご自分のペンネームにもらったそうで。他にも、デビュー前は現代ものを書いていたことや、時代ものしか書かない理由や、逆に時代ものは読まないこと、作品にまつわるお話や取材の裏話に、今後書きたい題材のことや、自身が少林寺拳法の有段者であること、函館のお宅での意外な執筆風景も披露されていました。自分の座った席が最前列ということもあって、とても有意義な時間を過ごすことができました。ちなみに宇江佐さんの最終的に欲しい賞は”菊池寛賞”だそうです(笑)

宇江佐真理さんのサイン。

Image227_r1.jpg

他のサイン本はこちらをクリック。→「サイン本」


ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

その他の作家
トラックバック(1)  コメント(2) 

Next |  Back

comments

ああ、いいな。この本、書店でチェックしてました。
宇江佐真理さん、短編が、さえていますね。
吉良上野介の奥さんなんて、目のつけどころがしぶいです。

くまま:2009/03/31(火) 16:42 | URL | [編集]

くままさん
江戸の女がテーマだそうで、古いのから最近のまでを集めた作品集です。
今なら忠臣蔵は絶対に書かないとおっしゃっていましたよ。

しんちゃん:2009/03/31(火) 18:28 | URL | [編集]

コメントの投稿











 管理者にだけ表示を許可
trackback
この記事のトラックバックURL

『富子すきすき』 宇江佐 真理   講談社


富子すきすき純で健気な江戸に暮らす女達を描く作品集 夫・吉良上野介を殺された富子は鬱々と暮らしていた。「富子すきすき」と言ってくれる、いい夫だったのに・・・。純で健気な江戸の女達を熟練の筆で描く作品集。 6編の短編集です。統一感はあるのですが、話はバラエ

2009/09/02(水) 19:43 | みかんのReading Diary♪

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。