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    2009

03.31

「ポトスライムの舟」津村記久子

ポトスライムの舟ポトスライムの舟
(2009/02/05)
津村 記久子

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ナガセこと長瀬由紀子(二十九歳)は、新卒で入った会社を、上司からの凄まじいモラルハラスメントが原因で退社し、その後の一年間を受けた恐怖のリハビリに費やし、時給八〇〇円のパートから、月給手取り十三万八千円の契約社員に昇格し、先月、工場のライン副リーダーに昇格した。

ナガセは自分の腕に刺青を入れることを考える。「今がいちばんの働き盛り」と。先週、工場の給料日があった。いつも通りの薄給の明細を見て、おかしくなったようだ。時間を売って得た金で、食べ物や電気などのエネルギーを細々と買い、なんとか生き長らえている自分の生の頼りなさに。それを続けてなければならないということに。それを紛らわすための最高の特効薬が、「今がいちばんの働き盛り」という考え方だった。

工場のラインについている時間はもちろん、工場が終わってから友人のヨシカが経営しているカフェでパートをしている時も、家でデータ入力の内職をしている時も、ずっとそのことを考えていた。土曜のパソコン教室に出かけて、お年寄りにメールのやり方について教えている時に、このパソコン講師の仕事に刺青は不利なのではないか、とふと思い直した。

ナガセは実家で母親と暮らしている。できる限りの節約生活をしているため、観葉植物のポトスを育てることが唯一の安らぎだった。工場の掲示板に貼られた世界一周のポスター。代金、一六三万円。彼女の目標は、自分の年収と同じ世界一周旅行の費用を貯めること。そこに離婚を決意した友人のりつ子が娘の恵奈と共に転がり込んできた。第140回芥川賞受賞作。

大事件が起こるわけではなく、淡々とした日常ながら、飽きずに一気に読めるのはいつもと同じ。金額を見て自分の生活とあてて計算してみたり、こういう時ってそんなふうに考えてしまうよね、自分だけの拘りだけどこれは譲れない、なんかわかる~、という小さな小さな共感。これが津村記久子という作家の魅力だと思う。

その一方で、同時収録の「十二月の窓辺」にあるような、無駄を一切省いた文体で、現代社会の病理を題材にした不穏な空気が終始漂う作品もまた、津村記久子らしい作品だ。ユーモアのある表題作で読者の興味を惹きつけ、極端に違う作風で読者を怖がらせる。いつものパターンだけど、この組み合わせのバランス感覚は絶妙だ。芥川賞受賞で初めて読んだ人は、これにビックリかな。津村作品では、これが普通なのだ。


津村記久子さんのサイン。

津村

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津村記久子
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津村記久子 「ポトスライムの舟」


ポトスライムって、なんのことだろうかと思いながら読んでいたら。植物の{{ポトス}}の種類と知りました。正確には、 「ポトス ライム」だそうです。しかし、ポトスを食用にしようという発想は、面白いですね。

2009/12/14(月) 21:46 | ゼロから

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