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    2009

04.07

「エ/ン/ジ/ン」中島京子

エ/ン/ジ/ンエ/ン/ジ/ン
(2009/02/28)
中島 京子

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お父さんは、それはものすごいエンジンカだったのよ。猿人。まさに自分の顔を見て、少女は確信した。だが、母親は断固としてこう答えた。エンジンのエンは、厭世の厭。いとう、いやがる、という意味よ。そのことについては、あなたが大きくなったら話すわ。少女が大きくなったときには、母親は認知症を患っていたから、すでに娘との約束をすべて忘却していた。彼女も相当な人嫌いに育った。彼女自身も小さいころからいっぷう変わっていた。

葛見隆一が身に覚えのない幼稚園の同窓会の招待状を受け取ったのは、二〇〇三年の三月の初めだった。それは、勤務先から届いた、契約更新を見送るという内容の通達と同時に届けられた。同時に彼女も失った。三十三歳の誕生日の三日前だった。同窓会に出席する気になったのは、することが他になかったからだ。会場にいたのはクラハシレイコの娘という彼女だけだった。

蔵橋礼子は、一九七三年の一年間だけ、園児は三歳児のみの幼稚園を開いていた。隆一もその園に通っていたみたいだ。入園の記念だろう集合写真に三歳児の自分が写っていた。そして、目の前の彼女と似た面影がある男も写っていた。蔵橋ミライは、人嫌いだったという父親の行方を捜していた。隆一の二歳上の姉が写真の男を知っていて、男をゴリと呼んでいた。手がかりは、「エンジン」と「ゴリ」の、二つのあだ名だけ。ミライの父の痕跡を追ううち、二人は「ゴリ」が消えた時代に遭遇する。それは、高度成長後の一九七〇年代だった。

冒頭から引き込まれた物語だった。夢の幼稚園の先生を目指していたという、ミライの母親が作った「おそらのうた」の歌詞に爆笑。三歳児に歌わせる歌が「きのこぐも」に「なぱーむだん」って。そして、歳を十歳ごまかしてコンパニオンをしている玉緒と、売れているとは思えないミュージシャンの耕太、バイセクシャルらしき耕太の恋人で、公務員のトンちゃんらとのたわいのない会話の中で出てきたのは、エンジンでゴリと言ったら、宇宙猿人ゴリだろう、ということ。

宇宙猿人ゴリとは、一九七一年に放映された特撮ヒーロー物、スペクトルマンという番組の敵役だったらしい。自分は七十年代前半の生まれなので、ギリギリのところでそれを知らない。そのマニアックな宇宙猿人ゴリから、宇宙厭人ゴリという小説、それを書いた小説家、作中のモデルにした人物と、ドミノは次々と倒れ、一九七〇年代の時代背景と共に、行方をくらませた父と、記憶障害が進む母の、かつての本当の姿が浮かび上がってくる。そのエンジンをたどる旅の人と人との繋がりに胸がいっぱいになった。やはり中島京子さんはいい。おすすめの作品です。

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中島京子
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comments

こんばんは~
私は「宇宙猿人ゴリ」を知っていたので、かなりテンションあがりました~
それにしても「ゴリ」でこんなお話を書いてしまう中島さんって、やっぱり面白いですね~
中島さん、次に何を読もうかな~と迷っているのですが、
おススメがあれば教えていただければ、嬉しいです♪

EKKO:2009/05/12(火) 21:14 | URL | [編集]

EKKOさん、こんばんは。
初めて見はじめた番組はゴレンジャーだったり、ウルトラマンでいえばセブン世代です。
だからまだ生まれていませんでした。でもゴリを知らなくても十分に面白かったです。

おっけー。訪問した時におすすめしちゃいます。

しんちゃん:2009/05/13(水) 18:19 | URL | [編集]

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JUGEMテーマ:読書 読書期間:2009/4/21~2009/4/24 [角川書店HPより] 身に覚えのない幼稚園の同窓会の招待状を受け取った、葛見隆一。仕事と恋人を失い、長い人生の休暇にさしかかった隆一は、会場でミライと名乗る女性と出逢う。蔵橋ミライは、人嫌いだったとい

2009/05/11(月) 23:27 | hibidoku~日々、読書~

『エ/ン/ジ/ン』 中島京子 角川書店


エ/ン/ジ/ン著者:中島 京子販売元:角川グループパブリッシング発売日:2009-02-28おすすめ度:クチコミを見る ♪うちゅう~えんじん、ゴォリなぁのぅだぁぁぁ~~♪ 古い古い記憶が蘇ってしまったではないですか。頭を回っているこの歌を、誰か止めてください~~...

2009/05/12(火) 21:15 | アン・バランス・ダイアリー

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