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    2009

04.08

「助手席にて、グルグル・ダンスを踊って」伊藤たかみ

助手席にて、グルグル・ダンスを踊って (河出文庫)助手席にて、グルグル・ダンスを踊って (河出文庫)
(2006/09/05)
伊藤 たかみ

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主人公は高校三年生の僕ことカオル。父さんの愛車は赤いコンバーチブル。僕はその車に、女の子を乗せて走っていた。彼女の名前は大越ミオ。三日前に知り合ったばかりだ。だけど、始めから最高に気が合っていた。彼女は西区の出身だ。そこが僕たちの山手と違った場所だというのは、誰が見ても一目で分かる。そこに住んでいる人たちは、僕たち山手の家と比べて、ずっと貧しい。そういう空気は当たり前な町だった。

ミオがある女性ファッション雑誌の表紙を飾ったのは先月のことだ。ことさら盛り上がりを見せたのは男子生徒で、文化祭に行われる校内ミスコンがあったからだ。ミスコンはガチガチ・レースで、僕たちと同じ山手に住む、香代子って女の子がダントツだからで、わが校史上二人目の三年連続、三冠に輝く予定だった。だけど、突然のミオの出現で、ミスコンは混戦模様になった。この香代子ってのは、僕の友人の恋人で、これから僕が車で向かう先は、そんな香代子のバカでかい家だった。彼女の家でパーティーがあるのだ。

文筆業の父は息子に無関心で、同居する父の新しい恋人シーナさんは友だち感覚。彼女を車に乗せて走らせ、幼なじみとふらふら遊び、タバコを呑んで酒も飲んで、悪ぶることが格好いいと思っている年代の若者だ。こういう時期ってあると思うし、憧れる人もいると思う。だけど、この若者たちはお坊ちゃんで、親の財力に頼っているところが甘すぎる。せめて自分の遊ぶ金くらいはバイトするなりして稼ごうよ。そこが情けない。

まあ、そういうお坊ちゃんの青春グラフィティにも波乱は訪れる。山手と西区でつまらないケンカが始まるのだ。きっかけは、幼なじみの車を蹴られたことが発端だった。いつの間にか彼のことがそっちのけに、主人公の周りで大ごとになっていく。主人公はお金持ち側に属し、彼女はおもいっきり貧乏な家の子。そして、対立の決着をつけようとするその日、彼女は突然学校を辞めて、この町を出ると言い出した。さあどうする?

だけど、この坊ちゃんたちだって、自分の立場は分かっているだ。親の七光りを借りて、もっと大きくなる予定だけど、自分の才能の問題もあるし、さらに言えば、この町で暮らすことが条件であり、この町から離れれば、親の力は財力だけになっていく。それだけなら自分らは立ち枯れていく。だから、小さな自由の詰め込まれた学生生活を、今だけの自由を謳歌したいと、坊ちゃんなりに考えてはいるのだ。庶民からすれば、ふ~んと鼻で笑うような甘い考えだけど。

デビュー作なので荒さはあるものの嫌いではなかった。自分にもこういう年代があったし、若気からくる勘違いや思い込みや間違いもあった。今日はやることがありすぎて忙しいと思った日もあれば、なにもすることがないと一日ごろごろした記憶もあるし、土曜日に寝て起きたら月曜日の朝だったということもあった。そういうのも含めてすべてが若さなんだろう。第32回文藝賞受賞作。

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伊藤たかみ
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