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    2009

04.13

「猫の名前」草野たき

猫の名前 (講談社文庫)猫の名前 (講談社文庫)
(2007/07/14)
草野 たき

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となりの家の窓が開く。紗枝子さんがあらわれる。約束の時間。佳苗はベランダの鉄格子をまたぐ。そして、ジャンプ。そうして、紗枝子さんの部屋に窓から侵入。いつもの、窓からのお呼ばれ。紗枝子さんは、佳苗の家のとなりに住んでいる人だ。年齢は佳苗の母親と同じ。中一で料理、中二で洋服作り、そして今は、家庭教師と生徒という関係。友人の絵理と夜遊びに行くときは、ふたりは紗枝子さんの家でお勉強していることになっている。一方、ライブハウスに行ったりするときは、紗枝子さんと一緒に出かける。

その日、佳苗は生活指導の先生に呼び出された。夜遊びがばれたか? そうではなかった。平野春名が会いたいと言い、会えなかったら、今度はビルの屋上から飛び降りると言っているらしい。彼女は手首を切って死のうとして入院しているという。小学校時代のクラスメイトだが、ほとんどしゃべったことがない。なんで、私が? 命、かかってる。先生のこのセリフは反則だ。これじゃ強迫じゃないか。佳苗は行くしかないとあきらめた。ところが、春名から出た言葉は予想外のものだった。

自分の犯している罪に気づきもしないで、のんきにふつうの毎日を送ってる。復讐したいの。たとえばさ、もう生きるのがイヤになりました。私が死ぬのは奥村さんのせいですっていう遺書を残してここの屋上から飛び降りれば、奥村さんの人生、変わっちゃうよね。ふふふと春名が笑う。とりあえず、私に生きててほしかったら、またお見舞いに来て。春名はどんどん勝手に話を進めた。理由がわからない佳苗は戸惑うばかり。またね、とは言わないで部屋を出る。そして、ダッシュ。佳苗は背筋をぞくぞくさせながら逃げた。

しかもそれ以降、友人の絵里とすれ違い、紗枝子さんとの仲直りもうまくいかない。人は気づかないうちに誰かを傷つけることもあるし、自分が傷つくこともある。ここに登場する人たちは傷ついた人たちばかりだ。そして何かが欠如している人だ。その感情の持っていく方向を間違えた人たちだ。学校生活がうまくいかないことを全部、佳苗のせいにする春名。佳苗をひとりじめしたくて、嘘をついたり秘密をばらすと脅迫する紗枝子さん。そして、自分がない佳苗。

主人公の佳苗には、自分というものがなく、小心ゆえに人に付き合って生きてきた。紗枝子さんの新しく買った猫のぬいぐるみの名前を毎回つけさせられたり、絵里が好きなバンドのライブに付き合って行ってあげたり。好きでもなく、興味もないのに付き合う。そして、友達でもないのに、行く義理もないのに、春名の一方的な命令をのんで病院へ見舞い続ける。佳苗はこれまでそうして生きてきた。だが、それではいけない局面がやって来たとき、彼女はどのような答えを出すのか。

人の心はどうして理解できないのか。人とはままならないものなのだ。だけどひとつだけ腑に落ちないことがあった。友人の絵理は知り合って一週間もしない人に、紗枝子さんにお金を借りてまでしてみつごうとする。大事な人が間違っていると思ったら注意をする。その人のこと思うなら当たり前のことだ。佳苗はそんな絵理を止める。佳苗の行為は間違っているとは思えない。それをきっかけに距離を置く絵理のほうが幼稚だ。しかし、仲直りは佳苗のほうからごめんと謝っている。どう考えても絵理に非があると思うのだが。

佳苗の反省、紗枝子さんの反省、春名の反省は大きな成長だと思えるが、いくら紗枝子さんのでっちあげだったとしても絵理のことだけは理解不能だった。なんかすっきりしない。消化不良だ。人に借りてまでみつぐ。これが女という生き物で、男には分からない何かがあったんだろうか。最後は友人を信じる信じないという論点のすり替えにもなっているような気がした。絵理以外が良かっただけに、もやもやの残った読書となったのは残念だ。

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草野たき
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