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    2009

04.18

「崖の館」佐々木丸美

崖の館 (創元推理文庫)崖の館 (創元推理文庫)
(2006/12/21)
佐々木 丸美

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目も眩む断崖。百人浜の哀れな伝説が今も生きているその地に白い館が建っている。吹雪けば一面の白で木も館も見えなくなってしまう。雪はいつも道を埋めて交通を遮断してしまう。高校二年生の涼子と年上の五人のいとこたちは小さい頃から長い休みになるとこの館へ遊びに来た。館の主は涼子たちの大好きなおばさん。おばさんは気前が良くて話がわかって大金持ちでよき理解者である。おばさんは孤独を愛しこの世のしがらみから解き放たれて暮らしている。

おばさんは子供がなくて、姪の千波を養女にし、それは大事に育てた。千波は天性の才と美しさを持って生まれてきたかのようにまわりの人々を魅了した。おばさんはお金の力にまかせてありとあらゆる図書を集めて千波に与えた。千波は数年間でほとんど読破し、いとこの誰もかなわない教養と膨大な知識を身につけた。そして千波はいとこの一人研さんとの結婚の約束がとり交わされていた。その青春のさなかに千波は崖から足を滑らせて死んだ。二十歳の夏だった。

千波が崖から落ちて死ぬなんて誰にも信じられなかった。そしてみんなが考えた。これは本当に事故だろうかと。千波の事故から二年すぎた今も涼子たちはその哀しい思い出をたたみながらやって来る。しかし到着した当日、絵画が消失した。翌日、消えた棹子はあかずの間になった千波の部屋で発見された。研さんは非常階段から落とされた。電話線が切られ、交通も遮断された。とうとう殺人まで起こった。この館には昔から殺意がひそんでいた。そして、いとこの中に犯人がいる――。

東京創元社の復刊にハズレはない。そう思っていたから、この作家のことはまったく知らなかったけれど、なんとなく買っていた。約三十年前の作品なのに想像以上に面白かった。ただ、自分とは肌が合わない部分があった。このいとこたちは美術論や犯罪論などを延々と論じており、この偏った知的な会話をやかましいと感じてしまう自分がいた。こんな会話がまかり通るって外に友達がいないだろうとさえ想像してしまった。自分はこの人たちとは友達になれない。

だが、いわゆる「雪の山荘」ミステリとしての完成度の高さは感じられた。また、雰囲気のある作品でもあった。何かが起こりつつあるのに、どこかゲーム感覚なこの館の非日常感も心地よかった。誰もが千波を愛し尊敬し、特別な存在と認めて憧れ、そして誰かが笑顔の下で憎悪していた。その眼に見えない悪意を思うと背筋がゾクゾクしてきた。そして、千波が残した日記と、そこから導き出される真相と犯人。動機はやはりそれしかありえないけれど、きれいなゲームセットだと思った。

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comments

佐々木丸美さん、私高校時代から大好きなんですよ~。
「雪の断章」シリーズから始まり、「崖の館」シリーズ、「沙霧秘話」など、どこかで繋がっていて、壮大なスケールなんですよね。頭が悪いのか、記憶力も乏しいし、その繋がりを、相関図に何度かチャレンジしてみたんですけど、これがまたややこしくて。(苦笑)
でも佐々木さんの物語には神秘を感じます。

じゃじゃまま:2009/04/23(木) 12:20 | URL | [編集]

じゃじゃままさん
伝説の作家らしいですね。恥ずかしながらまったく知らなかったです。
「水に描かれた館」「夢館」の二冊。すでに手元にあります
創元推理文庫の復刊にちゃっかり乗ってます(笑)

しんちゃん:2009/04/23(木) 19:29 | URL | [編集]

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