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    2009

04.27

「純情エレジー」豊島ミホ

純情エレジー純情エレジー
(2009/03)
豊島 ミホ

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べつに恋や愛を真剣に考えたわけじゃなく、ただカラダを重ねただけなのに……上京して、仕事して、別の恋人ができても、ふとした瞬間に心を支配する愛しい思い出たち。20歳のデビューから7年。より甘く、切なく、官能的に開花した著者が、人生最初の岐路に立った「オトナ」になりかけの女の子を描く全7篇。「最初のオトコ」が女の心の「ふるさと」になる――号泣必至のエロティック純愛小説。《出版社より》

「青空チェリー」で第一回「女による女のためのR―18文学賞」読者賞を受賞してデビューした豊島ミホさん。突然の休筆宣言にビックリしたが、置き土産は「女による女のためのR―18文学賞」出身者らしい作品になっている。そういう作品なので、内容紹介もできるだけ露骨な表現を避けて書いてみる。

磐田は終業式終了後の教室に樋口愛子とふたりで取り残されていた。再テストを受けているその時、見せてくれたらやらしたげる、と樋口はすり寄ってきた。樋口愛子には、ジュース一本で誰にでもやらせるって噂があった。「十七歳スイッチ」

照は、遥が最初にセックスをした相手。高校三年生だった。遥は二十五で、年に一度帰ってくる照を迎えるのは、七度目だった。作家になった照は、もう東京の人だった。会っている数日のあいだ、二人はセックスしかしない。おぼえたての高校生のままみたいに。「あなたを沈める海」

同い年の西目は、その知識や経験を隠さずに、手を取って教えてくれた。西目のすべてに、弓子はぞくぞくし、いつまで経っても飽きなかった。恋人、妻、愛人、どこにも分類されないまま関係だけが続いた。三十一歳にして、西目は結婚することになり、弓子は田舎に帰った。「指で習う」

万一は他人に期待せずに生きるのが一番楽な方法だと信じた。晴ちゃんと結婚したのは、彼女が自分と同じ行くところのない人間だったから。事故に遭い、今は脳だけが単体で生きている。どうして手を伸ばさなかったんだろう。俺を受け入れて欲しいと、晴ちゃんを幸せにすると言えばよかった。「春と光と君に届く」

マーは毎年山のようなスイカを出荷する。澄果はマーの嫁を見たことはない。畑で働くマーとだけ、時々約束して会った。澄果はマーが好きだった。お腹にメロンができた。畠くんの子どもだ。畠くんは見合いした相手で、妊娠したと、畠くんに言ったら結婚が決まるだろう。マーに会いたい、と思った。「スイカの秘密を知ってるメロン」

照は十八でライトノベルの新人賞を通って、東京に来た。気付くとまったく自由じゃなくなっている。照は、帰ろうと決めた。彼女と暮らすようになった去年から帰っていない、田舎の女のところに逃げようと思った。遥はまったく見事に、俺を俺から逃がしてくれた。「避行」

久遠は原石だ。そしてその原石を磨くのは私だ。中学の同級生だった。同級生でしかなかった。接点を持ったのは、東京に出てきてから。たくさん人がいても、誰も久遠と同じでない。きれいな久遠が、彼にふさわしいこの東京の中で、私をわざわざ探して会ってくれるのは、そこに郷里を探しているからだ。「結晶」


「十七歳スイッチ」の頃って、あいつはすぐにやらせてくれる、という噂がよく飛び交った。それが本当だったのか、偽ネタだったのかは分からない。それを作品にしてしまった豊島さん。勇気があるな~、と読者としては呆然とするしかない。主人公の男子は、挑発してくる女子を馬鹿にしているのだが、最後には負けてしまうところに共感。男の浅さってこんなもんでしょう。

「あなたを沈める海」と「避行」は対になった作品。前が女性視点で後が男性視点。ただ待つだけの女と身勝手な欲望を処理するだけの男。どちらもそこで止まってしまった男女だ。そして次の作品「指で習う」もまた、その時で止まってしまい過去を引きずって生きている。その真逆を行くのが「スイカの秘密を知ってるメロン」と「結晶」の二作品。前に一歩踏み出す作品だけど、自分の力ではないところが豊島さんらしいと思う。

ここに出てくるのは、ふわふわとした人たちで、何かに必死になるような人たちではなく、毎日をぼけ~と漂っているような人たちだ。そんなダメな人たちでも欲情するし、暇だからこそやることがなくて欲情するのかもしれない。いや、どこにでもいそうな普通の人なのかもしれない。自分だってその一人かもしれない。そんな彼ら彼女たちだからこそ愛おしく思えるのかもしれない。別れにせつなさを覚えるのかもしれない。したくなるのかもしれない。

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