--

--.--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

スポンサー広告
トラックバック(-)  コメント(-) 

    2009

04.28

「夜の神話」たつみや章

夜の神話 (講談社文庫)夜の神話 (講談社文庫)
(2007/02/10)
たつみや 章

商品詳細を見る

都会っ子のマサミチは、新しい家ができあがるまでの間おばあちゃんの家に住むことになり、引っ越した田舎での生活に気が滅入っていた。一学期の終業式からの帰り道、なぜだかそこへ行ってみたくなった。そこは古びた神社で鎮守の森だった。そこで白い着物に白い袴のお兄さんが、紅白のまんじゅうを差し出した。マサミチの手はしぜんに上がって、口も勝手に開いた。そんなつもりはないのに、まんじゅうを食べ始めていた。ふと見たお兄さんの目は、銀色だった。流れ落ちている髪も、美しく冷たい月光色。

銀色のお兄さんは夜のお方さまと呼ばれ、アマテラスのご兄弟でツクヨミの神だった。まんじゅうは月夜が原のサトリ草で作られたもので、我欲に毒され「闇鬼」になった人の心を治す薬。マサミチは多分に闇鬼的になってしまっていた。さらにムー大陸が沈んだのは、神々方の闇鬼退治だったことを知る。そしてサトリ草の効き目でマサミチは家霊のヨネハラさんが見えるようになり、動物や虫や植物と対話できるようになって、命の大切さに少しずつ気づいていく。

その一方で、原子力発電所の技師である父が、同僚のスイチョさんを連れて家にやって来た。幼い頃から遊んでもらっていた、おもしろくて大好きなお兄さん。そのスイチョさんは衰弱し、全身を青い炎におおわれていた。原子炉で事故が発生し、スイチョさんは大量の放射能を含んだ蒸気を浴びて被爆していたのだ。なんとかスイチョさんを救えないかと、マサミチはツクヨミの神に会いに行くのだが、そこで月うさぎにだまされてマサミチはうさぎと身体が入れ替わってしまった。さらに、原子炉は暴走事故を起こそうとしていた。


今時の都会っ子である少年は、軟弱で文句ばかりたれている。友達ともなじめずにいつも不貞腐れている。そんな少年が成長していく冒険物語であり、現代社会が抱えた原発問題と向き合った作品だ。ツクヨミの神と出会い、生物の声が聞こえるようになり、うさぎに姿を替え、幻想的な月の世界、夢のような巨大な宇宙船と鳥船、瞬時に神棚へ移動と、とにかくスリリングな展開だ。だけど、若干慌しくもあった。もう少し一つの場面を掘り下げても良かったのではなかろうか。そこに漂いたいという思いを自分は持った。

そして前作では自然の崩壊を取り上げたように、今回は原子力発電所の事故を取り上げている。原子炉の暴発を食い止めようと奮闘する場面はもちろん応援したくなる。神々の助けにも胸が熱くなる。だけど、必ずしもハッピーエンドと言える終わり方ではなく、大人の嫌な部分が意図的に仕掛けられている。そこに空しさや、やり切れなさを感じてしまうのだ。でも少年は何が起こったのか真実を知っている。何事もままならないのがこの世界だけど、ほんの少しだけ見えた少年の明るい希望に、心なしか救われた思いがする。

ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

その他の作家
トラックバック(0)  コメント(0) 

Next |  Back

comments

コメントの投稿











 管理者にだけ表示を許可
trackback
この記事のトラックバックURL

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。