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    2009

05.06

「遠くの声に耳を澄ませて」宮下奈都

遠くの声に耳を澄ませて遠くの声に耳を澄ませて
(2009/03)
宮下 奈都

商品詳細を見る

前作の長編「スコーレNO.4」はそのすべてに惚れてしまった。そんな注目の第二作品は、旅をテーマにした12の短編集。作家によって長編向き短編向きはあるが、この作家は長編も短編もすごくいい。普通の人たちの日常におとずれるある出来事。ある者は、悩み、迷い、戸惑い、煩い、気を揉み、屈託し……、そこで主人公たちはふと気づく。その一瞬に感動がじわっと膨らんでくる。言葉にできない想いに共感する。

専業農家の祖父は、お盆とお正月にしか休まない。その祖父が倒れたと、祖母から知らせを受けたとき、目の前にぱっと広がった光景があった。青い空をバックに高い山がそびえ、湖の畔には赤い花が咲き乱れ、そこに群がるように虫や小さな鳥が羽ばたいている。その鮮やかな映像は、浮かんだときと同じくらい唐突に姿を消した。どこだろう。いつか、確かに見た景色だった――。ラジオにじっと耳を傾けている祖父母の姿を想像すると泣けてくる。一作目の「アンデスの声」からやられてしまった。

他にもいいなと思う作品がいっぱいあった。旅人をじっと待つ「どこにでも猫がいる」は読み進めるうちに切なさがどんどん深まり、方言を聞いてふと初恋を思い出す「秋の転校生」は淡い回想場面が印象深く、衝動で旅に出る「部屋から始まった」は未練との訣別が爽快で、友人の様子が気になる女同士の温泉旅行「初めての雪」とまさかにドキドキする「足の速いおじさん」はその後を想像して微笑み、何かをしてあげたいという気持ちを思い出す「ミルクティー」と「白い足袋」ではその姿と自分を合わせてハッとする。

どこにでもある光景。しかしこの作者にかかるとそれが瑞々しい光景に一変する。どの物語も何気ない日々の出来事をつづっているのに、なぜか一つひとつが優しくて、温かくて、静謐で、真直ぐで、そしてまるで自分のことのように胸にしみ入ってくる。自分も頑張らなくてはと、背中をぽんっと押してくれるようなそういう前向きな気持ちにさせてくれる作品だ。また、瑞穂ってあの瑞穂? 梨香ってあの梨香? 蔵原やみのりや濱岡など、忘れた頃にひょっこり再登場、なんてリンクしているところを見つける楽しさもこの作品には仕掛けられている。

この作品というか、作家・宮下奈都に贈る言葉はただ一つ。ブラボー!

収録作。「アンデスの声」「転がる小石」「どこにでも猫がいる」「秋の転校生」「うなぎを追いかけた男」「部屋から始まった」「初めての雪」「足の速いおじさん」「クックブックの五日間」「ミルクティー」「白い足袋」「夕焼けの犬」

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宮下奈都
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comments

宮下さんの新しい作品、出ていたのですね!
知りませんでした。早速予約いれます。
ありがとう♪

ゆう:2009/05/07(木) 09:16 | URL | [編集]

ゆうさん
借りて読むつもりが買っちゃいました。
はやく読めるといいですね。

しんちゃん:2009/05/07(木) 17:57 | URL | [編集]

おはようございます。
本当に「ブラボー」です。
1話読んではボーっとして、又次…と楽しみました。
次作、いつになるかわからないけど楽しみですね。

なな:2009/05/13(水) 08:43 | URL | [編集]

ななさん、こんばんは。
良かったですよね。ブラボーですよね。
もう一度「スコーレ」も読みたくなりました。

しんちゃん:2009/05/13(水) 18:25 | URL | [編集]

宮下さん、素敵です。
「スコーレ」も良かったけど、こちらの短編集には本当にやられました。
とにかく登場人物たちが羨ましくて、自分もああいう感性を持ちたいと思えるお話ばかりでした。
本当にブラボー!ですね。

EKKO:2009/05/31(日) 22:46 | URL | [編集]

EKKOさん
素敵でしたね。期待通りに読み応えのある短編集でした。
次回作が待ち遠しいですよね。早く読みたいです。
この人は今後も大注目ーー!。

しんちゃん:2009/06/01(月) 17:10 | URL | [編集]

本当にうまいなぁ、としみじみ読みました。
お話ごとに、年齢やキャラクターがしっかり書き分けられていて、
よく知らないけど若いお嬢さんだろうに、すごい・・・。
ごく普通の日常を描いていて、あー私にも似たようなことがあるって
思うんだけど、この作者ならではの「みずみずしさ」が素敵でした。

つつつ:2009/07/16(木) 21:22 | URL | [編集]

つつつさん
どれもレベルが高く、ハズレのない短編集でした。
もっと大事に読めば良かったと後悔しています。
一話目の感動が大きくて、一気読みしてしまった。勿体無い!
でも買って読んだので、いつでも再読できますけど^^)

しんちゃん:2009/07/17(金) 17:17 | URL | [編集]

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「遠くの声に耳を澄ませて」宮下奈都


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2009/05/13(水) 08:44 | ナナメモ

『遠くの声に耳を澄ませて』  宮下奈都  新潮社


遠くの声に耳を澄ませて著者:宮下 奈都販売元:新潮社発売日:2009-03おすすめ度:クチコミを見る 宮下さんの作品は「スコーレNo.4」に続いて2冊目ですが、これも良かった!これを読んでいるあいだは、とにかく嬉しくて仕方のない時間でした。 いい、いい、本当に...

2009/05/31(日) 22:46 | アン・バランス・ダイアリー

「遠くの声に耳を澄ませて」 宮下奈都


「王様のブランチ」で松田さんがお薦めしているのを見て、なおさら期待度が増しちゃいました。

2009/06/16(火) 16:50 | ポコアポコヤ

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