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    2009

05.20

「もうすぐ」橋本紡

もうすぐもうすぐ
(2009/03)
橋本 紡

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産婦人科医が逮捕された。事件が起きたのは三年前。ひとりの妊婦の帝王切開の手術が行われた。子供は助かったものの、母親は戻ってこなかった。医師の不手際が問題になり、警察が動いた結果、なぜか一年以上もたってから逮捕という事態に至った。妊婦のたらいまわしや、医師不足が問題になっているが、原因のひとつがこの事件だった。しかし、その構図を描くだけでは、読者に伝わらない。ネット新聞記者の由佳子は、現代において女性が子供を産むということが、求めるということがどういうことなのか、妊娠と出産の現場を集中取材することにした。

まずは、読者の体験が綴られる。ある女性は流産し、ある女性はタイムリミットに焦り、ある男女は子供に対するずれを感じ、ある男女は生む場所探しに奔走し、ある男女は不妊治療を受けて女は病的になり、男はそれが重くなる。いい意味でも悪い意味でもそこにある感情が生々しかった。子を持つということは、男女共通の営みのはず。しかし男はいつだって子供を作れるが、女の体はそうではない。どちらも子供は欲しいという思いは同じだが、女は何としてもと強迫観念にとらわれ、男はそこまでの思いはない。そこからくる意識のズレが居心地悪く、ちょっと引いてしまった。

その一方で、由佳子は医療事故の裁判を傍聴し続ける。妊婦も、その家族も、当然のように子供が産まれてくると思っている。母親もまた健常な状態で帰ってくると。しかし必ずしもそうではない。医師の努力によって危険性を取り除き、その努力した結果、お産とは安全なものだと、みんなが思うようになった。しかし今もお産が危険なものであることに変わりはない。それに加えて、医師の人手不足や、無理な勤務体制に、産院の圧倒的な不足。このままでは医療が崩壊すると、某作家と同じことを説いている。

由佳子は記者という立場でずっと傍観しているが、友人の出産に立ち会うことで、自分の身近にある問題であったことに気づく。同じ女性なのに、由佳子はどこか他人事なのが気になっていたが、ここでやっと納得することができた。実感がなかったのだと。でもここは友人を助ける美談ではあるが、その一方で、産気づく当日までに産院を探さなかった友人は、母親の自覚が足りないとしか言いようがない。

医師や産院の不足は現実問題であり、妊婦のたらいまわしによる死亡事故は記憶にも新しい。しかしここにある問題に対しての明確な解答はない。でも一人ひとりが考えて向き合っていかなければならないと思う。医療を受ける側からすれば、先生は神様かもしれないが、先生だってひとりの人間だ。お上は現場に目を向けていない現状で、この先どうなってしまうのだろう。産院だけでなく医療全体が不安だ。そして子供を産むということは奇跡だと、あらためて思った。

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橋本紡
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comments

はじめまして!読書メーターつながりで来ました。
いつも楽しく拝見しています。

そして子供を産むということは奇跡だと、あらためて思った。
同感です。色々考えさせられました。

TBさせていただきました!
またお邪魔します★

きのこ:2009/05/22(金) 10:20 | URL | [編集]

きのこさん、はじめまして。
いろいろ考えるところもあり、男女の気持ちのズレにもなるほどと思いました。
男性作家なのに女性側に重点を置いていましたね。その点も面白かったです。

しんちゃん:2009/05/22(金) 19:31 | URL | [編集]

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