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    2009

06.03

「空中ブランコ」奥田英朗

空中ブランコ (文春文庫)空中ブランコ (文春文庫)
(2008/01/10)
奥田 英朗

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伊良部総合病院神経科は、瀟洒な建物の地下一階にあった。受付とロビーは明るく美しいのに、階段を降りるなり、そこは一転して薄暗く、薬品の臭いが鼻をついた。ドアをノックすると中から「いらっしゃーい」という場違いに明るい声が聞こえた。そこには白衣を着た太った男がいて、胸には「医学博士・伊良部一郎」の名札がついている。どういうわけか、患者用スツールの前には注射台が用意されていて、それをポンポンとたたいた。

「おーい、マユミちゃん」その声に、カーテンの奥からやけに肉感的な若い看護婦が姿を現した。手にしたトレイにはホットドックほどの太さの注射器が載っている。疑問をはさむ間もなく、左腕をゴムチューブで巻かれた。マユミという看護婦が注射器を突き刺す。看護婦が身をかがめる。胸の谷間がくっきりと見えた。ふと横を見る。伊良部が顔を上気させ、針が皮膚に刺さった箇所を凝視していた。

トンデモ精神科医・伊良部のもとに、今日も悩める患者たちが訪れる。ジャンプの出来なくなってしまったサーカス団の空中ブランコ乗り、鋭利なものを見るだけで腰が砕ける尖端恐怖症のやくざ、養父である学部長のカツラを剥ぎ取りたい衝動に襲われる大学講師、ボールがまともに投げられなくなったベテラン野球選手、同じ設定があったかが気になって書けなくなった嘔吐症の女流作家。

そんなおかしな患者たちに対する伊良部の診療とは、マユミちゃんに指示をしてビタミン注射を打つだけ。本人は巨体を揺らして空中ブランコに興じ、もっともらしいことを言っては騙して注射を打ち、歩道橋に書いてある地名を改ざんしたり、昼寝中の教授のヅラを外してみたり、野球選手相手のボール遊びにはまってしまい、憧れの印税生活を夢見て自作の支離滅裂な小説を押し付ける。

伊良部は自分が面白いと思うことしかやらない。ところが、患者らは稚気溢れる伊良部を見て、イライラしながらもしぶしぶ付き合っていくうちに、悩むことに馬鹿馬鹿しくなり、ふと気づくと、いつの間にか病気は治っている。伊良部は名医なのか。そこは疑問があるけれど、今回も笑わせてもらいました。特に「義父のヅラ」は人前で読むには危険。電車など、外で読む方はくれぐれもご注意を。

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奥田英朗
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comments

最近このブログ知りました。ちょくちょくお邪魔していきます。
がんばってくださいねー。
この作品、読みましたよー。前作も読みましたが、気楽に読めるのがいいですね。好きな作家さんの一人です。
ちなみに「サウスバウンド」は読みましたか?お薦めです。

しんごりん:2009/06/04(木) 17:13 | URL | [編集]

しんごりんさん
どもども。ありがとうございます。
がんばって続けたいと思っています。

こういったユルい作品は気分転換にもってこいですね。自分も好きです。
「サウスバウンド」ですが積んでいます。他に「町長選挙」「真夜中のマーチ」も。
読む本がいっぱいありすぎて......^^;

しんちゃん:2009/06/04(木) 18:32 | URL | [編集]

日々の出来事に汲々としている自分が馬鹿らしくなっちゃうような、伊良部の突き抜けたマイペースぶりが良いですよね。身近にいたら勘弁・・・なんだろうけれど(笑)

たくさんTBありがとうございました♪

エビノート:2009/06/04(木) 22:11 | URL | [編集]

エビノートさん、一度にいっぱい飛ばしてゴメンね。
訪問したら、あれもこれもだったので^^;

そうそう、身近にいたら勘弁だけど、空中ブランコをしてる伊良部は見たい!

しんちゃん:2009/06/05(金) 18:05 | URL | [編集]

こんにちは。
私も以前この作品を読みました。
「義父のヅラ」が一番笑えました。
特にヅラに手が伸びる場面では、「うわっよせっ!そのズラを取ったら君の人生が…」と心の中で叫びながら読んでいました(笑)
たしかに電車の中で読むときは笑わないように気をつけないとですね^^;
トラックバックさせて頂きます♪

はまかぜ:2009/06/12(金) 12:30 | URL | [編集]

はまかぜさん、こんばんは。
「義父のヅラ」はやばいですよね。でも取りたくなる気持ちもわかります。
それをやってしまう伊良部は、ある意味尊敬^^)

しんちゃん:2009/06/12(金) 17:24 | URL | [編集]

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空中ブランコ 〔奥田英朗〕


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