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    2009

06.06

「レッドシャイン」濱野京子

レッドシャインレッドシャイン
(2009/04/10)
濱野 京子

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さきたま工業高等専門学校は五年制の共学校ではあるが、圧倒的に男子学生が多く、女子は一割強というところだ。澄川怜は、ぼんやりと構内を歩いているうちに、学生寮の前に出てしまった。その時、頭の上から声が落ちてきた。そこの迷える子羊君、ちょっと手を貸してくれたまえ。むっとしながらも、それが妙に今の心情と合うようで、しばし周平を見上げていた。

黒松周平は、怜と同じ、電気工学科の三年生だった。とはいっても、年は一つ上で、昨年度に単位不足で留年したため、今年の春から同じクラスになったというわけだ。頼みたいのは、機械の修理だという。それも夏にかけてのんびり行う。ただ、一応部活の部員という形を取ると言われ、別にかまわないと答えた。だから部活の名前さえ聞かなかった。周平は、やおら携帯を取り出すと、誰かと話し出した。

周平が電話した相手は、白石創太という機械工学科の五年で、怜同様、この時に創太に捕獲されたのがやはり機械の四年生、中島隆一であったことを怜が知るのは、その半月後のことだった。ゴールデンウィークが過ぎたある日、怜は指定された場所に出向いた。物質工学科一年の谷原瑞生と、紅一点、情報工学二年の河原奈緒を加えたそこは、エネケン。つまりエネルギー研究会だった。

顧問は電気工学科教授の北泉先生と、新顧問になった名物英語教師の大谷まどか。周平の言う機械の修理とは、太陽電池のパネルで走るソーラーカーのことで、七月の終わりに秋田県の大潟村で、三日間で何周できるかを競うレースが行われるという。怜はレースのことなどまったく聞いていなかったので、機械の修理以上はやる気がないと宣言した。一瞬で、場が凍りついたが、周平だけは呑気そうにしていた。

作品タイトルは、エネ研のソーラーカー、レッドシャイン号からきている。内容は、ソーラーカーの三日間のレースに向けて仲間が一致団結していくというオーソドックスなもので、とりわけ目新しさがあるというわけではない。ではどこにオリジナリティがあるのかというと、主人公のちょっと複雑な悩みにある。

頭も悪くないし、手先も器用。彼の姉が言うには器用貧乏で、何でもさほど努力しないでそこそこやれる。それゆえに本当にやりたいものが見つからない。それがソーラーカーを通して、何をしていったらいいのかを模索していく。違う景色を見ることを真剣に考えている。しかし、ひとつの「何で?」の答えが見つかると、また新しい「何で?」が現れる。

目の前に道はない。道は自分で作るもの。その未来と過去をつなぐ今を自分は走っている。振り向くと、道は後にできているのだろうか。未来はわからない。だから、面白い。主人公の先行きは未確定のまま終わるけど、それでも爽快な気持ちになれた。そして恋人未満の関係も、彼を取り巻く仲間たちも微笑ましく、主人公の現在を歩こうとするその姿に共感することができた一冊だった。

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濱野京子
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