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    2009

06.11

「恋細工」西條奈加

恋細工恋細工
(2009/04)
西條 奈加

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仰向けに横たわった病人は、静かなたたずまいだった。もう、駄目なのだ。ふいにお凛は、はっきり悟った。四代続いた錺職、椋屋は、ざっと百年の伝統がある。この細工所をはじめたお凛の曾祖父は、職人の域をこえた見事な錺が評判を呼び、晩年は春仙を名乗った。そしてお凛の父、三代目長兵衛が亡くなると、姉と縁組した義兄、宇一が四代目春仙を襲名した。その四代目が病に伏せた。だが、五代目の器が弟子の中にいなかった。

お凛、おまえの目利きは誰よりたしかだ。だから頼む。時蔵という男を番屋から引き取ってくるんだ。お上の禁令にふれる奢った細工をこしらえ、手鎖を受けている。あつかい辛い男だが、そいつはめずらしい細工を手掛けている。少なくともこの江戸では、あいつより他にできる者はいない。きっと、五代目を立てるのに、この時蔵は欠かせない。年が明け、お凛は亡き義兄の言いつけどおり、時蔵という職人を迎えに出向いた。

四代目の遺言がひらかれた。その場には、一門の中から五人の職人が集められていた。五代目は、三年後に選ぶべし。五代目を選び決める者は、三代が娘、四代が義妹、凛とする。ここにはもう一人の職人が呼ばれていた。時蔵だった。たしかに時蔵の腕はすばらしい。揺るぎのない信念も、決して譲らぬこだわりも、細工の高みへと翔け上がる凄みに満ちている。だが時蔵がきてから、椋屋はおかしくなった。いちばん根深いのは時蔵対椋屋という、いわば技のにらみ合いだった。

時蔵は一匹狼の職人で、おれはてめえの作りてえもんを作ると、協調性の欠片もない。しかし誰も見たことがない平戸と呼ぶ線細工を、己で工夫を編み出していた。一方で、女は職人になれない世界で、意匠を編み出すというなら女にもできるんじゃないかと、先代の仕込みでお凛はみなに内緒で細工の修行をしていた。お凛は時蔵の細工に惚れ、独り黙々と細工に打ち込む天才肌の時蔵に振り回されながらも、次第に時蔵に惹かれていく。

だがここにきて、水野忠邦による贅沢品が禁止される取締りがいよいよ厳しくなり始めた。天保の改革で奢侈への戒めが激しくなる中、作りたいものが作れない職人たちのイライラが募り、親戚筋の生駒屋の商いも成り立たない状態に追い込まれた。お上にひと泡吹かせてやりたい。くすんじまった江戸の街に景気をつけてあげたい。生駒屋の道楽娘で、一番の親友であるお千賀から、お凛はとんでもない計画を持ちかけられた。

まっとうな時代小説でした。そして面白かったです。しかし欲張って詰めすぎたのでしょうか。終盤になるとバタバタとしていたところが気になった。しかし、その落ち着きのなさがもったいなかったけれど、それを差し引いてもこれまでの西條作品の中で一番の傑作だと思った。読んで損はないかと。おすすめです。

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西條奈加
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