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    2009

06.28

「アンハッピードッグズ」近藤史恵

アンハッピードッグズ (中公文庫)アンハッピードッグズ (中公文庫)
(2001/10)
近藤 史恵

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作家の真緒(マオ)はパリで暮らし始めて3ヶ月。3年前からホテルで働く岳(ガク)から、犬の弁慶の面倒を見るためにと、日本から呼びつけられて同棲が始まった。人なつっこさと愛嬌。このふたつはだれもがあげる、ガクの長所だろう。とはいえ、マオは他人ほど、彼のこの長所を評価するつもりはない。彼がそれをうまく武器にすりかえる瞬間を、何度も目にしている。マオだって、いつも彼のこの武器にほだされたり、振り回されたりしているようなものだ。

そんなある日、ガクが若い日本人カップルを連れて帰ってきた。都築夫婦は新婚旅行にきて、パスポートとお金を空港で掏られたという。とにかくホテルまで行けばなんとかなるだろうと思っていたが、旅行代理店の不備で、予約が入っていなくて、部屋も満室だった。それで、唯一の日本人スタッフであるガクが、親切心を出したわけだ。そこで、浩之と睦美夫婦をしばらく泊めることにした。しかし四人で出かけたベルサイユ宮殿ではぐれたことから、四人の関係の歯車は微妙に狂い始めた。

マオと浩之は待ち合わせ場所で待ち続けたのだが、ガクと睦美は一向に現れない。弘之は睦美のことが心配で、明らかに不機嫌だった。マオは知っている。ガクにはそばにいる人を楽しくする才能が備わっている。しかも相手が女性だと効果は絶大だ。案の定、睦美は浩之とはぐれたにも関わらず、彼女は明らかに楽しんでいた。その日から都築夫婦は不協和音を立て出した。

大人の恋愛小説は苦手だ。だが、著者はミステリ作家だけあって、一筋縄ではいかない作品へと仕上げていた。まず、過剰なドロドロが一切ない。嫉妬に狂うような鬱々とした描写もない。とても静かだ。だからといって、傷ついていないわけではない。思考を停止させているわけでもない。でも、二人はこうなることをあらかじめ知っていた。それでもある結末を迎えてしまう。

何百回も繰り返された喧嘩と仲直り。それでも一緒にいるマオとガク。うまくやるためのマナーとか、方程式とか、そういうのを心得て、なおかつ、パリで孤立した異邦人でいることで二人は平衡を保ってきた。そんな危ういバランスの上に成り立っているカップルと出会ってしまったことが、都筑夫妻の不幸だったに違いない。とびきりの毒に鳥肌が立った。そして、ため息をもらしたままページを閉じた。これはすごい。

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