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    2009

06.29

「マーキングブルース」室井滋

マーキングブルースマーキングブルース
(2009/03/17)
室井滋

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室井滋という名前を見て、想像するのは何か。庶民派女優、エッセイスト、よくしゃべる面白いおばちゃん、「やっぱり猫が好き」の次女……。思うことは人それぞれだろう。でも悪い印象はなく、とても感じのいい人という印象は共通するように思う。本書はそんな室井滋の初小説集らしい。それもご自身が猫を六匹も飼っているという猫好きで、その猫を視点とした猫と女の七つの物語だ。まずエッセイでは、私の立場で描かれたある一つのエピソードが語られる。次にそのエピソードを元にしたネコの立場で書かれた短編小説があり、という二部構成になっている。その合間には、ご自信で撮影された猫写真が収録されている。

猫随想「深夜の訪問者」/猫物語「帰省」
おしゃべり主婦がなんとなく興味を持ったもの。それはお盆の迎え火という行事だった。主婦の母が死んだのは五年前。この家に引っ越してきたのは三年前程前。焚いた盆の迎え火に帰ってきた家族の正体は?/知らぬが仏。なむなむ~。ユニークな発想で、こういう感性がある人って羨ましい。猫目線ならではの面白さが存分に出ていたように思う。

猫随想「可愛い仔がお家で待ってます」/猫物語「クリスマス、タクシーで」
タクシードライバーのおっちゃんの猫で、名前は市子。おっちゃんが、離れて暮らす娘の名前をつけた。実は、おっちゃんの猫になる前は全然違う名前がついていた。片カナでモモカと。モモカが市子に変わったのには、少しややこしい事情があった。/子が親を選べないように、飼い猫も飼い主を選べない。しめっぽいけど、おっちゃんにグッときた。

猫随想「真夜中のチラシ」/猫物語「29番の猫」
兄弟一匹だけが家に残され、あとの三匹はコインパーキングの一番端っこ、29番の白線の中に捨てられた。その日、28番に移動火葬車が停められた。幼い三匹は、飼い猫のお別れの儀式とやらを見守った。その時、飢えた妹二匹はお供えのキャットフードに飛びついてしまって。/ノラにはノラの意地がある。夢がある。29番が切ない。にく(肉)~。

猫随想「美容師A子、かく語りき」/猫物語「若いうちから猫と暮らすと」
弘美が泣いている。次第にイライラして、弘美に向かって呼び掛けてみた。だが、残念ながら、声は彼女に届かない。何故かというと、もうすでに死んだ猫だから。今いる所は、テーブルの上に置かれた骨壷の中だった。/猫の霊にまで心配される三十三歳独身女性。そうとうに病んでいる。猫好きもここまで行くと、怖い。

猫随想「あの仔のためならどこまでも」/猫物語「粉雪の舞う夜に」
小さなスーパーのレジ周りの風景はいつも同じだった。女主人の秀子がレジを打ち、看板猫のヒデ婆がレジ横に陣取っている。大晦日の夕暮れのこと。筋金入りの猫婆で、いつもは挨拶もしない人嫌いの志村婆が、妙に緊張した眼差しで睨みつけてきた。/猫のエサ代ってバカにならない。飼い主としては、我が身を削ってもという気はわかる。でもねえ。

猫随想「シゲルとチビ その愛の形」/猫物語「ぼくは繋がれし者」
飼い主は猫っ可愛がりというやつで、至れり尽くせりしてもらう毎日だ。食べ物は贅沢で、トイレもとっても清潔。おまけに冷暖房完備。ただ難点はひとつ。猫用リードを体に装着されて外をお散歩すること。その飼い主がやらかした悪気のないイイ事とは。/想像すると笑える。服を着せられた犬はよく見るけど、あれって犬的にはどうなんだろう。

猫随想「大切にしよう"エコ″と"ネコ″」/猫物語「男一匹、松岡!」
名は松岡。喫茶店のマスターがつけた名前だ。メシ場はあえて分散させている。マスターの店。ボランティアがやって来る公園。コンビニのわき道。そして、リリーが飼われている豪邸。その豪邸から人気がなくなった。/捨てられたロシアンブルーのリリーと、保護者になったノラの松岡の交流が微笑ましい。ラストの締めとしては絶妙。


猫と同居していると不思議に思うことは数々ある。例えば、壁の一点をじっと見つめていたり、はっと何もない空間を見たり、突然饒舌に話し出したり、居ないと思っていたら、なんでというところからゴソゴソ出てきたり、獲物を誇らしげに持ち帰ってきたり、ふいと出かけたまま何日も家に帰らずに心配させて、ふらっと何事もなかったように帰ってきたり。同居人はとにかく振り回されるのだ。

でもこいつが意外とかしこい。なでなですると小ちゃい頭。あっちを向いてこっちを向くと忘れていそう。しかし、窓を開ける、ドアを開ける。しかも、人間のその時の気分を読み取るすごいやつなのだ。でもその能力を発揮するのは、猫自身がそう思ったときだけ。それ以外のときは、オレ猫だよ~ん、と腹を出して撫でろのポーズ。ずるい。でも、その姿に「もう!」と人間は操られてしまうのだ。そういう人と猫の距離感の妙を本書で堪能されたし。


室井滋さんのサイン。

室井

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