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    2009

06.30

「フリッカー式」佐藤友哉

フリッカー式 <鏡公彦にうってつけの殺人 > (講談社文庫)フリッカー式 <鏡公彦にうってつけの殺人 > (講談社文庫)
(2007/03/15)
佐藤 友哉

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鏡家は壊れている。鏡家七人兄弟も、みごとなまでに破壊されていた。まともなのは僕(公彦)と佐奈だけだ。僕は妹の佐奈には甘かった。その佐奈が死んだ。首を吊って自殺した。大槻涼彦と名乗る男が僕のアパートにやって来た。大槻は愉快そうにビデオを再生した。映し出されたのはホテルの一室。それは中年男たちによる妹の陵辱ビデオだった。デブ。眼鏡。老人。三人のレイプ魔は財界などの大物だった。復讐してやる。だが一般人を殺すのとはわけが違う。大槻はプレゼントだと言って、一枚の封筒を取り出した。それは連中の愛娘の写真と行動スケジュールだった。僕はスタンガンを手に捕獲を開始する。

一方、公彦の幼馴染で同級生の明日美は、特異な能力を持っていた。最初に彼との接続が発生したのは小学校高学年のときだった。誰かの目を通した風景が広がる。ナイフが少女の首に突き刺さった。突き刺しジャック。八年間で七十七人もの少女を殺害した大量殺人者の名称だ。また接続が始まった。その現場には見覚えがあった。彼に殺害される少女の多くは、とびきりの笑顔だった。彼は、少女の首筋にナイフを突き刺した。行くしかない。少女の死体。その死体を見下ろすように、男が立っていた。二人の人間と一つの死体が集う部屋。半開きになったそのドア越しに、突き刺しジャックは立っていた。

さすがメフィスト賞受賞作。他の新人賞ではありえない壊れぶりだ。登場人物のほとんどが壊れている。でもなぜか憎めない。彼らの倫理観はともかく、その思考の末に出した結論が、わかってしまえるからだ。強姦魔のような凶悪犯によって身内に被害者が出たならば、その怒りはどうしたって収まりそうにない。例え犯人が死刑になったとしてもだ。人が人を裁くことは許されない。でもその行為がいけないと理性でわかっていても、感情的には別になってしまう。自分の手で破壊したいという衝動は押さえられない、と思う。

主人公は誘拐に成功した。だが、そのあとを考えていなかった。その困惑がまた、益々憎めなくするのだ。その一方で、ヒロインは突き刺しジャックを追いかけ、その過程である男と出会ってコンビを組むことになる。読者にとって、その男は愉快な男じゃないかと勘ぐる仕掛けが施されている。そしてジャックもまたヒロインに接近していく。その突き刺しジャックの犯行にも、一応筋が通った理由がある。人を殺す、という結論があって、読者の意識の中での、殺人という危険な定義を投げかけた作品のようだった。

この壊れた作品は、その後シリーズ化されているみたいだ。「鏡サーガ」と呼ばれているらしい。ロボット工学者という長男の潤一郎はどんな人?公彦が引っ張られた次男の創士は?自殺したという長女の癒奈は?予言能力を持つ次女の稜子は?三女の佐奈は?四女の奈緒美は?まだまだクレイジーな兄弟の物語が待っている。今後これらを読むのが楽しみになった。

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