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    2009

07.02

「贖罪」湊かなえ

贖罪 (ミステリ・フロンティア)贖罪 (ミステリ・フロンティア)
(2009/06/11)
湊 かなえ

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空気がきれい。それだけが取り柄の田舎町。当時、町にコンビニがないことを不便に思っている子どもなんていなかった。生まれたときからあるものが当たり前。テレビでバービー人形のコマーシャルをしていても、それは見たことのないおもちゃで、欲しいとも思わなかった。それよりも、フランス人形のほうが重要だった。この町に、日本一の精密機器メーカーの工場が建てられた。それと共に、東京から人が来た。エミリちゃんを含む東京からの転校生により、普通だと思っていた自分たちの日常が、かなり不便で取り残されたものであることを、じわじわと思い知らされた。

あの日の夕方、お盆ということもあって、校庭で遊んでいたのは、紗英と真紀と晶子と由佳、そしてエミリちゃんの五人だった。そこへ、作業着の男がやって来た。「誰か一人手伝ってくれないかな」あの頃の田舎町では、人を疑うことはまったくなかった。むしろ、手伝いという言葉を聞き、立候補したぐらいだった。エミリちゃんが選ばれた。男はエミリちゃんの手を引き、連れて行った。「グリーンスリーブス」のメロディで六時になったことに気づき、エミリちゃんを呼びに行くことにした。彼女の死体を見つけたのはその直後だった。

四人ともが、あの日のことははっきりと頭の中に浮かべることができるのに、どうしても男の顔だけが思い出せなかった。事件から日が経ち、町の人たちが事件のことを口にしなくなった。エミリちゃんのお母さんに四人が呼び出されたのは、中学一年の夏だった。わたしはあんたたちを絶対にゆるさない。時効までに犯人を見つけなさい。それができないのなら、わたしが納得できるような償いをしなさい。できなかった場合、わたしはあんたたちに復讐するわ。翌日、エミリちゃんのお母さんは町を出て行った。

事件から十五年が経ち時効まであとわずか。一番おとなしかった紗英が約束通り、彼女なりの償いを果たした。しっかりものだった真紀も、勇気を出して告白することにより、償いを果たした。ぼんやりだった晶子も、何においても脇役だった由佳も、事件について話し出した。それは彼女たちに間違った償いの連鎖が始まってしまったということだ。その償いだけど、特に真紀の怒りの演説は迫力満点。まるでいわれのない呪縛を振りほどこうともがいているようだ。そう、娘を失った悲しみや犯人が捕まらないもどかしさを、一緒に遊んでいた子どもたちに転嫁したエミリちゃんのお母さん、つまり、麻子さんに向けてだ。

少女たちに責任はない。いや、彼女たちも被害者だ。幼くして同級生のむごい死を目の当たりにし、犯人に顔を覚えられていたら、次は自分が殺される番かもしれないと恐怖している。その時の自分の行動を悔やんでいる。自分のせいだとまで思ってしまった。そうして起きてしまった償いという名の罪。そして最後に呪いをかけた張本人の身勝手な語りが始まり、本当の罪が浮かび上がってくる。またここまで犯人の存在を忘れていたら、強烈な一撃が振り下ろされた。これには絶句。見事にやられてしまった。

誰も自分をわかろうとしてくれない。自分はこんなにもかわいそうなのに。誰しもが抱いてしまうちっぽけな負の感情。そういう疎外感を突き詰めた作品でしょうか。そしてそこからくる背筋のざわざわ感が始めから終わりまで続いている。こういう「嫌ぁ~」な感じを今後とも続けて欲しい。自分としては、もっと毒々しくても大丈夫だけど。あと、突っ切った人ばかりではなく、その一歩手前のグレーゾーンにいる人も、読んでみたい、と思った。


その湊かなえさんのサイン会に参加してきました。今回で二度目です。
自分のことを覚えていられたので、チョットこそばかった^^;

湊かなえ2_r1

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湊かなえ
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comments

こんにちは。
湊さん、いや~な気持ちを書かせたらうまいですよね。
今回も結局、ひここまれて1日で読んでしまいました。
次作も期待したいです。

たかこ:2009/09/08(火) 19:22 | URL | [編集]

たかこさん、こんばんは。
嫌ぁ~なところを突いて来ますよね。
そして毎回背筋がぞくぞくします。
これが、快感(笑)

しんちゃん:2009/09/09(水) 20:50 | URL | [編集]

私は初湊さんだったんですけど、面白かったですね!
紗英の手紙から始まり、次の少女がなにをするのか、止められませんでした。
湊さんのサイン本の言葉通り、「因果はめぐる」ってことですよね。

じゃじゃまま:2009/11/19(木) 10:31 | URL | [編集]

じゃじゃままさん
読者に興味を持たせる構成力がうまいですよね。
嫌~な汗が出てくるところも好きです(笑)
これが大丈夫なら、悪意の濃い先の二冊もイケると思います。

しんちゃん:2009/11/21(土) 10:38 | URL | [編集]

しんちゃん、こんにちはー!
これは少し前に読んでいて、最近「告白」を読み終わりました。一番最初の作品なのに、3冊のうち最後に読んだというわけです。

私は、もしかしたら、この「贖罪」が一番、出てくる登場人物のキャクター作りが上手かったんじゃないか?と思ったりもしました。
最初に「告白」を読んでいたら、きっとすごいインパクトがあっただろうな・・と思うのですが、最後に読んだので、ちょっと弱まってしまったのかもしれません。

サイン会、覚えていらっしゃったなんて@@、嬉しいことですね。湊さんの記憶力、すごい!!

latifa:2009/12/22(火) 08:59 | URL | [編集]

latifaさん、こんにちは。
個人的にですが、「告白」はミステリに重点を置いているように思いました。章が変わるたびにひっくりかえされ、読み終えた時はふらふらでしたが、大満足でした。そして「贖罪」は不安感や弱さなど人の内面を突き詰めた作品だと思いました。自分は出版順に読んでいるので、その都度違うイヤ~な感じに酔っています(笑)

記憶されていたのは、変わった注文をしたからだと^^;

しんちゃん:2009/12/22(火) 15:09 | URL | [編集]

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