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    2009

07.04

「町長選挙」奥田英朗

町長選挙 (文春文庫)町長選挙 (文春文庫)
(2009/03/10)
奥田 英朗

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伊良部シリーズ第三弾。

「オーナー」
七十八歳になる田辺満雄は、悪役になることにはとっくに慣れた。週刊誌のアンケート記事では「不愉快な日本人」ナンバーワンに選ばれた。いまや小学生までが、「ナベマン」とマスコミがつけたあだ名で呼ぶ。満雄は、日本一の発行部数を誇る新聞社の代表取締役会長である。同時に、プロ野球の人気球団のオーナーでもあった。ここ数週間は、球団のオーナーとしてマスコミ各社の集中砲火を浴びていた。経営が苦しい数球団に合併を勧め、一リーグ制への移行を推進しようとして、世間の反発を買ったのだ。満雄は暗闇が怖かった。その先にあるのが怖いのだ。そして、日本医師会の理事の息子が神経科医だと聞いて、伊良部の診療を受けるはめに。

「アンポンマン」
三十二歳の安保貴明は東大の学生時代、インターネットによるホームページ作成サービスの会社を設立した。ライブファストは企業買収を重ねて成長を続け、IT業界のみならず経済界全体からも注目を集める存在になった。貴明の企業家人生は順風満帆と言ってよかった。連日メディアに登場し、アンポンマンのニックネームは子供まで知るようになった。最近ではラジオ局の株買い付けで、連日記事の見出しになっている。嫌う人間もいるが、世の中は目立った者の勝ちである。貴明は生まれついての目立ちたがり屋だ。刺激的な発言をして物議をかもすのが好きだ。そして物事を理屈で考えられない馬鹿が嫌いだ。そんな貴明は平仮名を忘れるようになって。

「カリスマ稼業」
白木カオルは女優だ。まだ大丈夫だ。リストアップをしている同年代の女優たちに見せつけてやりたい。こっちはナチュラルだ。整形なんて考えたこともない。会う人会う人から「きれい」「若い」と褒められる。東京歌劇劇団時代から美貌が売りだったが、最近は一気にエスカレートした感じだ。初めて経験するブームと言っていい。自分は渦中の人なのだ。今日も忙しかった。ドラマの収録があって、女性誌の表紙撮影があって、ラジオの公開番組にも出た。そういえば今日、スタジオのガラス越しに、女子高生たちから「かわいい」と言われた。十代からそんなことを言われる四十四など、日本中で自分一人だ。だが、裏では美容のことを考えると我を失う自分がいた。

「町長選挙」
二十四歳の宮崎良平は、公務員になって三年目。今年になって、東京都庁から千寿町役場に出向していた。伊豆半島の沖にぽつんと浮かぶ千寿島は、島民の気性は激しく、単純だ。四年に一度の町長選挙が、今日告示された。千寿島の選挙は、その激しさで有名だった。毎回島を二分し、前町長と現町長が熾烈な戦いを繰り広げるのだ。早い話が土建屋同士、公共工事の奪い合いだ。町役場の人間関係もまた、きれいに二分されていた。利権の奪い合いだ。投票率九十五パーセント超。この島では傍観は許されない。千寿島には町営の診療所がひとつあり、伊良部とマユミちゃんは二ヶ月任期でこの離れ島にやって来た。


実在の人物をモデルにした作品は、どうしても本人が目に浮かんでしまう。その人物をやり込める伊良部は面白いのだけど、トンデモぶりはちょっとぼやけてしまうのも事実で、どうしても「ナベマン」たちの方に目がいってしまいがちだ。それと、三作目は白木カオルよりも、ライバルで登場した川村こと美を主人公にした方が面白くなったかもしれない。ワインがどうのと言ってるところを、ケチョンとしてくれれば溜飲だったのに。でも、こういった作品は、悪意ある嘲笑で読ませるわけであって、作家としてはどうなんでしょうか。で、結論を言うと、モデルがいない「町長選挙」が一番面白かった。現金が飛び交う違法選挙において、さすがの伊良部にも人間らしい神経があったことがわかって、おもわずニヤリ。

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奥田英朗
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