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    2009

07.08

「龍神の雨」道尾秀介

龍神の雨龍神の雨
(2009/05)
道尾 秀介

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父が出ていき、母が交通事故で死に、残されたのは酒屋で働く十九歳の蓮と中学三年生の妹・楓。そして血の繋がっていない継父は、彼らに暴力を振った挙句、仕事もせず、部屋に閉じ篭っている。ふた月ほど前に聞いた、楓の告白。あの男を殺したい。蓮は湯沸器のスイッチを入れたまま仕事に出かけた。湯沸器は不完全燃焼を起こしてくれる――かもしれない。室内に一酸化炭素が流れ出し、寝ているあの男を殺してくれる――かもしれない。その日は台風の影響により、雨の勢いが強まりつつあった。

一方、母が海で死に、父が病気で死に、残されたのは小学五年生の圭介と中学二年生の兄・辰也。そして血の繋がっていない継母に嫌われようと、兄はわざと万引きを繰り返す。母を殺したのはあの人だと疑う辰也。母親を殺したのは自分だと思っている圭介。嵐の夜、圭介と辰也は、蓮と楓を見た。二人で運んでいた大きな荷物。兄妹が落とした赤くて四角い布を持ち帰った辰也。早朝、ノートに綴っていた脅迫状らしい辰也の文章。心の読めない兄。変わってしまった兄。圭介はずっと怖かった。すべては雨のせいだった。

よく似た家庭環境の二組のきょうだい。一方はお互いを思いやることで過ちを犯す。一方は過去に目が眩んで疑念が疑念を呼ぶ。些細な勘違いと思い込みが新たな悪意を引き寄せ、二組のきょうだいを交錯させる。掛け違えたボタン、と言うにはあまりにも大きな歪み。すべては雨のせいなのか。雨を降らした龍のいたずらなのか。龍神の雨。彼らは雨の中に龍を見た。龍が駆け抜けた。その龍の突風は読者をも襲った。やられた。やられたーー!! まんまと道尾の仕掛けにしてやられた。

これは道尾。これは道尾。そう思いながら読んでいたはずなのに、非常に緊迫感があって、気づけば文字を追うことで必死になっていた。いつの間にか作品の世界にどっぷりと引き込まれ、疑うことを忘れていた。途中でふとこれは伏線ぽいと思う。だがなにしろ展開がはやい。結果で言うと、それは伏線だった。けれど、その読みは検討違いな方向でしかなかった。トリック・スター道尾は健在だった。

前作の長編は、伊坂のものまねとまで強く言ってしまったが、本書は道尾ならではのカタルシスを味わうことができた。やっぱり道尾は面白い。期待通りにやってくれた。とにかく構成力が半端じゃない。単純なミスリードなんだけど巧い。こういう作品を今後も期待したい。また、やられたー!と叫びたい。そして、誰の心の中にも、禍々しい化け物はいるのかもしれない、と思った。


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道尾秀介
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comments

こんばんは。
本当にまんまと騙されたというのか
勢いがあったので
「道尾さんだから騙されるかも?」って思うことも忘れてました。
本当に面白かった。

なな:2009/10/04(日) 21:04 | URL | [編集]

ななさん、こんばんは。
身構えていても、いつの間にかやられています。
後で思い返すと、あれだったのかと感心してしまう自分がいる。
見破れない悔しさがない作品って、この人らしいです。

しんちゃん:2009/10/05(月) 22:52 | URL | [編集]

そうそう、疑いながら読んでいて、あ、これは怪しい、きっとこれも伏線だ、と思いつつ、やっぱり見事にやられました。
蓮と楓の継父に関しては、できればやめて~~~、と内心叫びながら読んでました。悲しすぎますよね。

藤姫は誰のせいで死んだんでしょうね。
蓮はやっぱり犯罪者になっちゃうんでしょうかね。

じゃじゃまま:2009/10/12(月) 21:55 | URL | [編集]

じゃじゃままさん
初の短編では意外とシンプルだったのに、長編の道尾に勝てたたためしがありません。完全に長編向きの作家だと思います。
そして、子供が登場する道尾作品は切ないよね。悪いのは絶対に大人なのに、やり切れない結末にもやもやします。
でも、普通のミステリではこうも心は動かない。人物描写が綿密な道尾だからこそ、作品世界に入ってしまうのでしょう。

しんちゃん:2009/10/14(水) 22:12 | URL | [編集]

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