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    2009

07.10

「てるてるあした」加納朋子

てるてるあした (幻冬舎文庫)てるてるあした (幻冬舎文庫)
(2008/02)
加納 朋子

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金遣いが荒い両親のせいで、夜逃げすることになり、十五歳の照代は一人で切符を買い、一人で電車に乗って、一人で佐々良にやってきた。母の遠い親戚だという、鈴木久代さんだけが、頼りだった。久代さんは、たぶん七十歳か、それとも八十歳か、とても歳をとっていた。鶏ガラのように痩せていて、近所の人たちから魔女と呼ばれていた。元教師で、家事や作法に口うるさい。居候の身としては、「はい」と答えて言うとおりにする。最悪だ。

そう、佐々良という町が舞台で、久代といえば「ささらさや」に登場した三婆の一人。本書「てるてるあした」は、「ささらさや」の姉妹編なのだ。もちろん、ぼんやりのサヤさんにユウ坊も登場する。ヤンママで節約家のエリカさんに無口なダイヤくんも、相変わらず大声で世話焼きのお夏さんに、少女のようで好奇心旺盛な珠ちゃんと、残りの三婆も健在だ。

サヤさんは言った。佐々良は不思議な町。他の場所でなら絶対起きないことが、ここでなら起きるの。あり得ないことが、当たり前な顔して、会いにきてくれるの。照代はいつも怒っている。人を見れば見下げ、佐々良は寂れた町だと馬鹿にして、自分ばっかり不幸だ、かわいそうだ、私の気持ちなんてわからないと拗ねている。常にイライラして、何でもないことにすぐカチンとくる。ようするに、わがままで、甘えんぼで、大人を恨んでいる情緒不安定な女の子だ。読んでいてムカっとくる子だ。

そのどうしようもない感情がピークに達し、ヒステリーを起こす寸前、ふいにもの悲しい着メロ「てるてる坊主」が鳴る。知らないアドレスからのメールは、液晶画面にひらがなばかりで、その本文は照代を少しだけ慰めてくれる。メッセージを送ってきた相手はいったい誰なのか。そして照代は女の子の幽霊を見る。その女の子が照代に夢を見せて、何かを伝えようとしてくる。

そんな照代にも知り合いができる。嘘つきのクセして、隠し事がとても下手なエラ子だ。佐々良高校に入学早々もう落ちこぼれている。魔法みたいに機械をなおすリサイクル電気店の松ちゃんもそうだ。サヤさんは言った。人の心は鏡みたいなもので、嫌いだって気持ちも、好きだって気持ちも、ぜんぶ自分に跳ね返ってくると。照代は周囲のすべてが、羨ましくて、妬ましくて、自分が真っ黒になってしまう。そんな自分がいちばん嫌いだと思っている。そういう素の自分をふと出せることができるのが、エラ子であり、松っちゃんだ。

久代さんはいつだって真っ当で正しい。久代さんの「働け」発言だって正当だ。でも照代の胸にいちいち突き刺さる。正しいから、間違っていないから、だから余計胸にこたえる。照代は傷つくと、興奮して家を飛び出しては、渋々帰るの繰り返し。まったく可愛げのないやつだ。しかし、かつての久代さんと幽霊の女の子との関係と、久代さんの照代に対する厳しさが繋がった時、本当の意味での優しさに、読者は泣かずにいられない。でも、「てるてる あした。きょうはないても あしたはわらう」なのだ。ここは佐々良。不思議が起きる町。希望をくれる町。人が温かい町。

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加納朋子
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